

共通テストの漢文、句法集は一周しました。これで選択肢は雰囲気で選んでも大丈夫ですか?

最後だけ急に運任せになったね(笑)。句法は入口で、本文のどこが根拠かを説明できて初めて得点になるよ。

覚える勉強の次に、読む練習が必要なんですね。

その通り。基礎、読解、共通テスト形式の順に進めれば、何を復習すべきかも見えやすくなるよ。
【今回の真実】
共通テストの漢文対策は、句法を覚えるだけでは完成しません。訓読の土台を作り、句法と重要語を文中で使い、最後に共通テスト形式で根拠を探す練習へ進む3段階が基本です。
①共通テスト漢文は45点、まず試験の形を知ろう
②対策は基礎・読解・実戦の3段階で進める
③第1段階は訓読と句法を自力で再現する
④第2段階は一文の構造から主旨へ広げる
⑤第3段階は根拠を残して選択肢を比べる
⑥過去問は点数より失点の原因を記録する
①共通テスト漢文は45点、まず試験の形を知ろう

最初に、現在の共通テスト国語の形を確認しましょう。
大学入試センターが公表した令和9年度の実施要項では、国語は90分・200点です。
近代以降の文章が3問110点、古典が2問90点で、古文と漢文は各45点とされています。
令和8年度の問題冊子では、第1問から第3問が近代以降の文章、第4問が古文、第5問が漢文でした。
つまり、漢文は国語200点のうち45点を占める、独立した大問です。
「国語は現代文で何とかする」と漢文を後回しにすると、45点分を不安定なまま本番へ持っていくことになります。
一方、漢文だけの公式な制限時間はありません。
国語全体の90分を自分で配分するため、まずは15〜20分を仮の目安にして過去問を解き、実測から調整するとよいでしょう。
時間配分は他人の数字を暗記するのではなく、自分の答案から決めるものです。
②対策は基礎・読解・実戦の3段階で進める
共通テスト対策というと、すぐ過去問を何年分も解きたくなるかもしれません。
しかし、返り点や句法が曖昧な状態では、解説を読んでも「そう訳すのか」で終わってしまいます。
逆に、句法集を眺め続けるだけでも、初めて読む文章の主旨まではつかめません。
そこで、勉強を次の3段階に分けます。

覚える→文章で使う→時間内に使う、の順を崩さないことが大切です。
この分け方なら、点数が伸びないときも「知識不足なのか、読み違いなのか、形式慣れの不足なのか」を切り分けられます。
参考書を増やす前に、今の自分がどの段階で止まっているかを確認してみてください。
止まっている場所がわかれば大丈夫です。
やることを増やすのではなく、一つ前の段階へ戻ればよいのです。
③第1段階は訓読と句法を自力で再現する

第1段階で優先するのは、返り点、書き下し文、再読文字、基本句法、重要語です。
ここでの目標は「見たことがある」ではありません。
例文を見て、読む順番・書き下し・意味を自分で言える状態を目指します。
句法は目印と訳を一組にする
たとえば反語なら、疑問の形だけでなく「どうして〜だろうか、いや〜ない」という訳まで声に出します。
使役や受身も、形の名前だけで終わらせず、誰が誰に何をさせるのか、誰が何をされるのかまで確認しましょう。
重要語は一つの訳語に固定せず、短い例文の中で意味を確かめます。
漢文では、同じ字でも前後関係で意味や働きが変わるからです。
おすすめは、教材を閉じて白紙に再現する方法です。
書けなかった項目だけを開き直せば、最初から全部を読み返すより復習箇所がはっきりします。
句法集を一周した回数より、閉じた後に説明できるかで完成度を判断しましょう。
④第2段階は一文の構造から主旨へ広げる

句法を覚えたのに点が安定しない生徒さんは、選択肢を見ると急に本文から離れてしまうことがあります。
言葉が立派な選択肢や、本文と同じ漢字が多い選択肢を選んでしまうのです。
ここで必要なのが、第2段階の読解です。
まず一文ごとに、次の三つを確認します。
●誰が、または何が主語か
●否定・反語・使役など、文の向きを決める表現はどこか
●対比、理由、結論を示す言葉はどこか
一文を正確に読めたら、「この段落では誰のどんな考えが述べられたか」を短くまとめます。
複数の文章や資料が出ても、先にそれぞれの主張を一行で整理すると、共通点と相違点を比べやすくなります。
河合塾の2025年度分析でも、重要語・慣用句・基本句形に加え、語順から文の構造を捉え、文章の主題を踏まえて趣旨を把握することが課題として挙げられています。
句法は暗記のゴールではなく、本文の構造を読むための道具です。
選択肢へ進む前に、本文だけで大意を一度つかむ練習を入れましょう。
⑤第3段階は根拠を残して選択肢を比べる

第3段階では、共通テスト形式の問題を時間を計って解きます。
ただし、速さだけを追う必要はありません。
最初は次の手順で、正確さを優先してください。
1.資料の数と設問の種類をざっと見る
2.本文を読み、人物・発言・対比に印を付ける
3.句法や語句の問題は、知識と文脈の両方で確かめる
4.内容問題は、選択肢を小さく区切って本文と照合する
選択肢は、前半が合っていて後半だけ違うこともあります。
丸ごと「それらしい」と判断せず、主語、理由、結果、程度の表現を分けて見ます。
正解を選ぶより先に、本文のどこを根拠にするか決めるのがコツです。
迷った二択には、根拠にした本文の行や言葉をメモしておきましょう。
復習時に「なぜ迷ったのか」をたどれるため、解説を読むだけの復習から抜け出せます。
慣れてから時間を縮めればよいので、最初から急いで根拠を飛ばさないでくださいね。
⑥過去問は点数より失点の原因を記録する

大学入試センターの公式サイトでは、共通テストの過去3年分の問題と正解が公開されています。
まずは公式問題を1回分解き、間違いを次の四つに分けましょう。
●返り点・句法・重要語を知らなかった
●主語や語順、文の構造を取り違えた
●本文と選択肢の照合が甘かった
●時間不足や焦りで根拠を飛ばした
点数だけを記録するより、失点の原因と戻る教材を一組で残すほうが次の勉強につながります。
知識不足なら第1段階へ、構造の読み違いなら第2段階へ、照合や時間の問題なら第3段階へ戻ります。
私が多くの生徒さんを見てきた中でも、句法をもう一周すべき人と、句法は十分で読解演習へ進むべき人は同じではありません。
だからこそ、全員が同じ参考書を同じ回数こなすより、答案から戻り先を決めることが大切なのです。
共通テストの漢文は、知らない文章が出るからこそ、勉強の順番がものを言います。
訓読と句法を再現し、短文で構造を読み、最後に公式の過去問で根拠を照合する。
この3段階を一つずつ進めれば、「何となく選ぶ漢文」から「根拠を持って選ぶ漢文」へ変えていけますよ!




第1段階:返り点・再読文字・基本句法・重要語を再現する
第2段階:短い文章で、文の構造と主旨を読む
第3段階:共通テスト形式で、設問と選択肢の根拠を照合する