

先生、「助長」って成長を助ける良い言葉ですよね。苗を少し引っぱれば、収穫も早まるのでは?

その発想を実行して、苗を全部枯らした人が出てくる話なんです(笑)。

善意はあったのに、やり方が豪快すぎました……。

そう!そこが核心です。書き下し文と訳を確認しながら、テストで説明できるところまで仕上げましょう。
【今回の真実】
漢文「助長」は、早く育てたい一心で苗を引っぱり、かえって枯らした宋の人の話です。訳を覚えるだけでなく、善意と結果の食い違い、文末に込められた孟子の教えまで押さえると得点につながります。
①「助長」はどんな漢文?結論を先に確認
②白文・書き下し文・現代語訳
③重要語句と句法を押さえよう
④最後の一文に込められた教訓
⑤定期テストで問われやすい問題
⑥音読と三列チェックで仕上げよう
①「助長」はどんな漢文?結論を先に確認

「助長」は、中国の思想書『孟子』の「公孫丑上」に出てくる故事です。
宋の国の人が、苗がなかなか伸びないことを心配し、早く成長させようと一本ずつ引っぱりました。
本人は「苗の成長を助けた」と満足して帰りますが、苗は根を傷めて枯れてしまいます。
つまり故事成語としての助長は、無理に手を加えて成長を早めようとし、かえって害を与えることを表します。
現在の日本語では「混乱を助長する」のように、ある傾向をいっそう強める意味でも使われます。
ここで「成長を助ける良い話だ」とだけ理解すると、故事の核心を外してしまうので注意しましょう。
短い文章なので簡単そうに見えますが、宋の人の気持ちと実際の結果を比べると、ぐっと読みやすくなりますよ。
②白文・書き下し文・現代語訳

教科書によって送り仮名や本文の範囲が少し違うことがあります。
定期テストでは、最後に学校の教科書と授業プリントの表記へ合わせてくださいね。
白文
宋人有閔其苗之不長而揠之者。
芒芒然帰、謂其人曰、「今日病矣。予助苗長矣。」
其子趨而往視之、苗則槁矣。
天下之不助苗長者寡矣。
書き下し文
宋人に其の苗の長ぜざるを閔へて之を揠く者有り。
芒芒然として帰り、其の人に謂ひて曰はく、「今日病れたり。予、苗を助けて長ぜしむ。」と。
其の子趨りて往きて之を視るに、苗則ち槁れたり。
天下の苗を助けて長ぜしめざる者寡し。
現代語訳
宋の国の人に、自分の苗が成長しないことを心配して、苗を引っぱる者がいました。
ぐったりした様子で帰り、家の者に「今日は疲れた。私は苗の成長を助けてやった」と言いました。
その人の子が走って行って苗を見ると、苗は枯れていました。
世の中には、苗の成長を無理に助けようとしない者は少ないのです。
この段落は、白文・書き下し文・現代語訳を一文ずつ対応させると覚えやすくなります。
③重要語句と句法を押さえよう

「助長」は短い文章ですが、普段と違う意味で使われる漢字がいくつもあります。
訳だけを丸暗記するより、次の語句を本文の中で説明できるようにしましょう。
●閔ふ(うれふ):心配する
●揠く(ぬく):引っぱる、引き抜く
●芒芒然:疲れてぼんやりした様子
●病る(つかる):ここでは「疲れる」
●予:私
●趨る(はしる):急いで行く
●槁る(かる):枯れる
●寡し(すくなし):少ない
特に「病」を病気、「寡し」を寂しいと訳すミスが起きやすいところです。
漢字の今の印象ではなく、本文での意味を答えるのが漢文の基本ですね。
「有〜者」は「〜する者有り」
冒頭は「宋人に、苗を引っぱる者がいた」と読みます。
長い一文に見えても、まず「有り」を述語として見つけると骨組みがつかめます。
「矣」と「而」の働き
「矣」は文末の語気を示す助字で、書き下し文では通常そのまま読みません。
「而」も接続関係を表す助字で、文脈に合わせて「そして」「すると」などのつながりを補って訳します。
④最後の一文に込められた教訓

いちばん大事なのは「天下之不助苗長者寡矣」です。
直訳に近づけると「世の中で、苗の成長を助けようとしない者は少ない」となります。
「少ない」ということは、裏返せば多くの人が宋の人と同じように、待てずに余計な手出しをしてしまうということです。
単に「変わった農夫が失敗した」という笑い話ではなく、私たちも同じ間違いをしやすいと孟子は指摘しているんですね。
原典では、何もしないで放っておくことと、無理に伸ばそうとすることの両方が適切ではないと説かれます。
苗には草取りや水やりが必要ですが、引っぱって成長を急がせてはいけません。
学習でも同じで、答えを全部教えてしまえばその場は早く進みますが、生徒が自分で考える力は育ちにくくなります。
一方で、わからないまま放置するのも違います。
必要なヒントを渡し、自分で考える時間を確保するのが、成長を支える関わり方です。
宋の人が苗を早く成長させようとして引っぱり、かえって枯らした話を通して、結果を急いで無理に手を加えることの害を戒めている。
⑤定期テストで問われやすい問題

なぜ宋の人は苗を引っぱったのですか
答えは「自分の苗が成長しないことを心配し、早く成長させようとしたから」です。
「苗が伸びなかったから」だけでは、宋の人の目的まで説明できていません。
記述問題では、本文の言葉を使いながら「何のためにしたか」まで答えると、採点する先生にも伝わりやすい答案になります。
宋の人の発言と結果はどう食い違っていますか
宋の人は苗の成長を助けたつもりでしたが、実際には苗を枯らしました。
「本人の認識」と「実際の結果」を一組で書くと、内容説明の答案がまとまります。
「助長」の意味を説明しなさい
「成長を助けること」だけでは不十分です。
「無理に力を加えて成長を促そうとし、かえって害を与えること」と、逆効果まで書きましょう。
文末から何が読み取れますか
宋の人だけが特別に愚かなのではなく、世の中の多くの人が結果を急いで同じ失敗をしがちだ、という孟子の批判が読み取れます。
答案では「多くの人も同様である」という広がりを入れるのがポイントです。
⑥音読と三列チェックで仕上げよう

漢文は、眺めて覚えるより、読んで戻す練習のほうが定着します。
まず書き下し文を三回ほど音読し、白文のどこがどの語順で読まれているか指で追いましょう。
次に紙を三列に分けて「白文」「読み・重要語」「現代語訳」を書きます。
一度埋めたら、書き下し文と訳を隠し、白文だけから再現してください。
止まった箇所が「閔」「病」「槁」なら語句へ戻り、内容説明で止まったら「目的・行動・結果」の三つへ分けます。
読めることと、意味を説明できることは別です。
最後は「なぜ苗が枯れたか」「助長とは何か」「文末は誰を批判しているか」を、教科書を閉じて一文ずつ答えてみましょう。
ここまで言えれば、丸暗記ではなく内容を理解できています。
全部を一気に覚えようとして手が止まるより、今日は語句、明日は内容説明と分けても大丈夫です。
「助長」は短いからこそ、語句・訳・教訓をきれいにつなげやすい教材です。
焦って全部を一度に覚えようとせず、一文ずつ確実に育てていきましょう!




宋の人の目的は苗を育てることでしたが、方法が自然な成長を壊していました。善意があっても、結果は逆効果になり得るという話です。