

京大の整数問題、問題文は短いのに手が止まります。余白まで「自分で考えてね」と言っている気がします……。

余白からの圧はありません(笑)。ただ、京大は途中の誘導が少なく、自分で最初の一手を決める力を見ています。

では、合同式をたくさん暗記すれば安心ですか?

道具を増やすだけでは足りません。小さい数で実験し、規則を予想し、証明して、最後に漏れを確認する。この流れを答案まで通せるようにしましょう!
【今回の真実】
京大の数学で整数問題を解く鍵は、特殊な裏技の暗記ではありません。小さい数で規則を探し、余り・因数・範囲から方針を選び、必要性と十分性を分けて論証する力です。
①京大の整数問題は方針と論証で差がつく
②最初に試したい4つの入口
③実験から論証へ進む4手順
④過去問は正解より分岐点を復習する
⑤答案では必要性と十分性を分ける
⑥整数を得点源にする学習の進め方
①京大の整数問題は方針と論証で差がつく

先に結論を言うと、京大の整数問題は「公式を知っているか」だけでなく、どの性質に着目し、どう筋道を立てたかで差がつきます。
京都大学が公表した2026年度一般選抜の出題意図でも、文系・理系とも第3問は整数を題材に、正しく推論して的確に記述する力を問う問題だったと説明されています。
しかも、京大数学は小問による誘導が少ない傾向があります。
「まず(1)を計算すれば、次の方針が見える」という親切な階段を期待すると、短い問題文の前で固まりやすいのです。
ただし、何でも思いつき勝負というわけではありません。
約数・倍数、余り、偶奇、素数、最大公約数、値の範囲といった基本事項を、問題に合わせて選び直しています。
難しい道具を探す前に、整数の基本性質をどう使うか考えるのが京大対策の出発点です。
②最初に試したい4つの入口

整数問題で手が止まったら、闇雲に式変形を続けるのではなく、次の四つを順に点検します。
1.小さい数を代入する
条件を満たす数をいくつか書き出すと、「3つおきに同じ動きをする」「偶数だけ残る」「ある値から先は無理そうだ」といった規則が見えてきます。
実験は証明ではありませんが、証明する内容を見つけるための立派な作業です。
2.積の形と約数を見る
整数の積が一定の値になるなら、候補は約数へ絞れます。
和や差の式でも、因数分解できないかを一度確かめましょう。
3.余りと偶奇で分類する
「3で割った余り」「4で割った余り」のように分類すると、取り得ない場合をまとめて消せることがあります。
合同式を使ってもよいですが、答案では何で割った余りを考えたのかが伝わる形にします。
4.値の範囲を挟む
不等式や平方数の間隔を使い、候補が存在できる範囲を狭めます。
整数は連続していないため、範囲を少し絞るだけで候補が一つに決まることもあります。
この四つは別々の必殺技ではありません。
実験で規則を見つけ、余りで分類し、範囲で候補を絞るように組み合わせて使います。
最初から華麗な一手を狙わず、調べられる入口を一つ選べれば十分です。
③実験から論証へ進む4手順
京大の整数対策で身につけたいのは、知識のリストよりも思考の順番です。
次の四手順を、普段の演習から固定しましょう。
STEP1 小さい数や端の値で実験する
STEP2 共通する規則を言葉で予想する
STEP3 余り・因数・範囲のどれで証明するか決める
STEP4 候補の漏れと元の条件を確認する

たとえば、いくつか代入して「すべて3の倍数になりそう」と気づいたとします。
そこで止めず、整数を3で割った余りが0、1、2の場合に分ければ本当に言えるのかを確かめます。
次に、問題が「すべて求めよ」なら、条件から候補を絞るだけでは終われません。
残った候補を元の式へ戻し、本当に条件を満たすか確認します。
指導で答案を見ていると、アイデアが浮かばない生徒より、良い予想ができたのに証明へ渡せず止まる生徒が珍しくありません。
ですから、演習後は「何を思いつけなかったか」だけでなく、「実験・予想・証明・確認のどこで止まったか」を記録してください。
④過去問は正解より分岐点を復習する

京大の過去問を解いたあと、解説を最初から最後まで写して満足していませんか?
それでは、その問題の答えには詳しくなっても、次の整数問題で方針を立てる力は育ちにくいです。
復習で探すべきなのは、解答の中の「分岐点」です。
●どの具体例から規則に気づいたか
●なぜその数で割った余りを考えたか
●どの式変形で約数の問題へ変わったか
●どの不等式で候補が有限個になったか
●最後に十分性をどこで確認したか
このうち、自分が止まった最初の一か所へ印をつけます。
そのうえで解説を閉じ、最初の一手から白紙に書き直すところまでが復習です。
京都大学は公式サイトで近年の試験問題と出題意図を公開しています。
年度や文理を混同せず、まずは公式資料で対象の問題を確認し、その後に解説を使いましょう。
問題を大量に集めるより、一問から「次も使える判断」を一つ持ち帰るほうが効果的です。
⑤答案では必要性と十分性を分ける

整数問題では、答えの候補が合っていても、論証に穴があると完成答案になりません。
特に「すべて求めよ」では、次の二方向を分けて考えます。
必要性:条件を満たすなら候補はここまで絞れる
余りや因数分解、不等式を使って、ほかの整数が条件を満たせないことを示します。
ここは「候補を漏れなく絞る」部分です。
十分性:残った候補は本当に条件を満たす
候補を元の条件に代入し、成立を確認します。
見つけた数を並べただけでは、「ほかにないこと」と「その数でよいこと」の両方を示したことにはなりません。
答案を書いたら、「候補を絞った根拠」と「候補を確かめた行」が両方あるかを見直しましょう。
「明らか」と一言で飛ばした場所ほど、実は説明が必要なこともあります。
●文字の範囲を最初に書いたか
●場合分けは重複も漏れもないか
●使った性質の根拠が読めるか
●必要条件だけで終わっていないか
●元の条件へ戻して確認したか
⑥整数を得点源にする学習の進め方

いきなり京大の難問だけを何十題も解く必要はありません。
まず教科書や標準問題で、約数・倍数、最大公約数、余りによる分類、不定方程式、素数の基本を「説明できる状態」にします。
その次に、京大の過去問を一問選び、時間を区切って実験します。
解けなかったら、解説で最初の分岐点だけを確認し、いったん閉じて続きを考えます。
最後は、翌日に何も見ず答案を再現しましょう。
おすすめの復習メモは長い解答ノートではなく、次の三行です。
●問題文の合図:素数、すべて求めよ、整数解など
●最初の一手:小さい数を試し、3で割った余りを見る
●答案の注意:候補を元の条件へ戻して確認する
京大対策は、解法名を増やすことより「問題文の合図と最初の一手」を結びつけることが大切です。
一問ごとにこの結びつきが増えれば、短い問題文を見ても動き出せるようになります。
整数問題は、ひらめく人だけの分野ではありません。
実験し、予想し、証明し、漏れを確かめる。
この地道な四手順を答案まで繰り返せば、京大の数学で整数を得点源にする道筋はきちんと見えてきますよ!




解答を見ればわかる状態ではなく、問題文から「まず何を試すか」を自分で一つ選べる状態を目指しましょう。