

先生、友達がこの前のテストで急に伸びたんです。僕にもある日、成績アップの雷が落ちてきませんか?

雷待ちはおすすめしないなあ(笑)。でも、成績が急に上がること自体はあるよ。

じゃあ、机の前で避雷針を持って待ちます!

危ないし、勉強もしづらいよ。大事なのは、伸びた子が結果の前に変えていた行動をまねすることなんだ。
【今回の真実】
中学生の成績が急に上がることはあります。ただし、何もないところから突然伸びるのではなく、基礎の穴が埋まり、自力で答える練習が積み重なった結果が、あるテストで一気に見えたと考えると実態に近いです。
①中学生は急に成績が上がることがある
②何の成績が上がったのかを最初に分ける
③伸びる前に見えやすい3つの変化
④急上昇を一度で終わらせない4手順
⑤保護者は結果より変えた行動を聞く
⑥上がらない時期も答案の変化を見逃さない
①中学生は急に成績が上がることがある
結論から言うと、中学生の成績が一度のテストで大きく上がることはあります。
ただし、昨日までできなかった子が、理由もなく今日から何でも解けるようになるわけではありません。
授業で聞いた知識、学校ワークの解き直し、覚え直した英単語などは、少しずつ本人の中にたまります。
それらがつながり、テストで自力で出せる状態になったとき、周囲には「急に伸びた」と見えるのです。

結果は急に動くことがあっても、実力はその前から少しずつ作られています。
とくに、今まで勉強のやり方が定まっていなかった生徒は、正しい範囲を自力で解き直すようになるだけで、取れるはずだった問題をまとめて回収することがあります。
これは才能が突然目覚めたというより、勉強と得点がやっとつながった状態です。
一方で、「1か月で何点上がる」と全員に共通する約束はできません。
現在の理解度、教科、テスト範囲、問題の難しさが違うからです。
期待は持って大丈夫ですが、近道の数字より、何を変えれば次の一問を取れるかを見ていきましょう。
②何の成績が上がったのかを最初に分ける

「成績が上がった」と聞いたら、最初に何の数字かを分けます。
●定期テストの点数
●学年順位や模試の偏差値
●通知表の評定
この三つは似ていますが、同じものではありません。
定期テストの点数が上がっても、平均点も上がっていれば順位はあまり変わらないことがあります。
模試は受験者や問題の難しさが回ごとに違うため、点数だけでなく偏差値や設問別の結果も見ます。
前回と同じ種類の成績を比べてこそ、本当に何が伸びたのかがわかります。
通知表の評定は、定期テストの点数だけで決まる数字ではありません。
文部科学省は、中学校の学習評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で整理しています。
ですから、テストが上がったのに評定がすぐ動かない場合は、提出物や記述、授業内の課題など、どの観点に改善の余地があるかを先生に確認するのが先です。
逆に評定が上がったなら、答案だけでなく3観点のどこが変わったかを見ると、次も再現しやすくなります。
ただし、一度だけ高得点を取った段階では、実力が安定したとはまだ言い切れません。
平均点、正答した問題、次の小テストでも解けたかまで見て、伸びの中身を確かめましょう。
③伸びる前に見えやすい3つの変化

私は1000人以上の生徒を指導してきましたが、点数が伸びる少し前には、派手さのない小さな変化がよく見えます。
ここでは、伸びる前に見えやすい変化を3つに整理します。
わからない場所を具体的に言える
以前は「数学が全部わからない」と言っていた生徒が、「比例式はできるけど、文章から式を作るところで止まる」と話せるようになります。
質問が具体的になるのは、自分の理解と未理解を分けて見られるようになったサインです。
答えを読んで終わらず、自力で解き直す
解説を見て「わかった」と言うだけでは、テスト本番で答えを取り出せません。
答えを閉じ、何も見ずにもう一度できるか確かめるようになると、勉強が作業から得点練習へ変わります。
間違いの数より、同じ間違いの繰り返しが減る
難しい問題に進めば、間違いの数が一時的に増えることもあります。
それでも、前に直した問題や同じ型の問題を取れるようになっていれば、実力は前へ進んでいます。
点数が動く前に、質問・解き直し・同じミスの三つが変わっていないか見てください。
この段階では、本人も「伸びている」という実感を持てないことがあります。
だからこそ、結果が出る前の変化を周囲が言葉にして伝えることに意味があります。
④急上昇を一度で終わらせない4手順

点数が上がったときは、喜んで終わりにせず、「今回うまくいった理由」を残します。
次のテストでも使える形にするため、4手順で残しておきましょう。
大事なのは、「今回は頑張った」だけでまとめないことです。
学校ワークの間違いだけを3回解いた、英単語を家族に出題してもらった、時間を測って最後まで解いたなど、再現できる行動まで言葉にします。
伸びた原因を勉強時間ではなく、できるようになった行動で残すのがコツです。
米国教育省の研究レビューでも、学習を時間を空けて復習することや、クイズのように自力で思い出す練習が推奨されています。
同じ日に答えを見ながら何周もするより、数日後に答えを閉じて試すほうが、「本当にできる」を確かめやすいのです。
もし再テストで解けなければ、急上昇が偽物だったという話ではありません。
定着前の場所が見つかっただけなので、そこをもう一度直せばよいのです。
⑤保護者は結果より変えた行動を聞く

お子さんの点数が上がると、保護者の方もうれしいですよね。
まずは素直に「よく頑張ったね」と一緒に喜んでください。
そのあとで、次のように聞いてみましょう。
●前回と何を変えた?
●いちばん効いた勉強はどれだと思う?
●次も続けたいことは何?
保護者の役割は、次の目標をすぐ上乗せすることではなく、本人が成功の理由を見つける手伝いをすることです。
「次はもっと上を取ってね」と急いで言われると、せっかくの達成感が一瞬で次のプレッシャーに変わることがあります。
伸びた直後こそ、できた理由を一緒に確認し、自分でも再現できそうだという感覚を育てましょう。
反対に、一回上がったあと下がったとしても、「やっぱりまぐれだった」と決めないでください。
平均点や範囲が違ったのか、前回の方法を続けられなかったのかを分ければ、次の一手が見えます。
⑥上がらない時期も答案の変化を見逃さない

成績は、努力した日から毎日少しずつ数字が増えるものではありません。
テストがある日まで、増えた実力が数字として見えない期間があります。
その間は、点数以外の変化を見ます。
●空欄が減った
●途中式や根拠を書けるようになった
●基本問題を自力で取れるようになった
●同じミスを自分で説明できた
これらが増えているなら、まだ大幅アップが見えなくても、勉強は前へ進んでいます。
逆に勉強時間だけ増えて、答えを見ればわかる状態から動いていないなら、時間より練習方法を変える合図です。
急に上がる瞬間を待つより、次のテストで取れる問題を一つずつ増やすほうが、結果として近道です。
まずは直近の答案を一枚出し、「解説を読めばわかるのに、自力ではできなかった問題」を一問選んでください。
解き方を確認し、答えを閉じて解き、数日後にもう一度試す。
この小さな一周が、あとから急に見える成績アップの正体です。




●前回と今回の答案、平均点、範囲表を並べる
●新しく取れた問題を知識・解き方・時間配分に分ける
●その問題を取れた勉強を一つ特定する
●数日後、答えを見ずに同じ型を再テストする