



【今回の真実】
小・中学校の道徳は、点数で人柄のよしあしを決める科目ではありません。学校独自の確認問題が出ても、模範解答の暗記より、自分の理由を示し、別の立場から考え直すことが大切です。
①道徳のテストはある?最初に結論
「道徳が教科になったなら、中間・期末テストにも入るの?」と心配になりますよね。
まず結論から言うと、小・中学校の道徳には、全国共通の点数テストや、点数で付ける評定はありません。
「教科になった=5段階の点数評価が始まった」という意味ではないんですね。
文部科学省の中学校学習指導要領解説には、道徳では学習状況や成長の様子を継続して把握する一方、「数値などによる評価は行わない」と示されています。
通知表も、国語や数学のように5・4・3・2・1を付けるのではなく、学びや成長を文章で伝える形が基本です。
ただし、ここは少し丁寧に分けて考えましょう。
国が「学校で一切の確認問題を出してはいけない」と定めているわけではありません。
学校や先生によっては、教科書の内容を振り返る小テスト、ワークシート、作文、アンケートなどを行うことがあります。
それらは知識だけで人柄を採点するためではなく、授業で何を考え、見方がどう広がったかを確かめる材料として使われます。
→道徳では行いません。
●授業内容を振り返る確認問題や記述課題
→学校独自に行われることがあります。
ネット上の「道徳テスト」には、自分の価値観を知る診断やクイズもあります。
この記事で扱うのは、そうした性格診断ではなく、学校の「特別の教科 道徳」です。
②なぜ普通の点数テストで測らないのか
算数なら計算結果、英語なら語句や文法のように、答えを共通にできる問題があります。
ところが道徳で考えるのは、立場や状況によって大切にしたい価値がぶつかる問題です。
たとえば、友達との約束を守ることと、困っている別の人を助けることが同時にはできない場面を考えてみましょう。
どちらか一つの行動だけを「正しい人の答え」にすると、迷った理由や相手への配慮がこぼれてしまいます。
だから道徳では、答えの言葉だけでなく、「なぜそう考えたか」「別の立場ならどう見えるか」という考える過程が大切になります。
もちろん、何を書いても同じという意味ではありません。
教材の状況を読み違えていたり、理由がまったく書かれていなかったりすれば、考えを十分に伝えられません。
一つの模範解答を当てるのではなく、教材の事実に沿って理由を述べ、ほかの見方にも触れる。
これが道徳らしい学び方です。
③道徳では何が評価される?
文部科学省は、道徳の評価を他の生徒との比較ではなく、本人がどのように成長したかを見る個人内評価として、記述式で行うよう示しています。
「クラスで一番立派な意見を言った人が最高評価」という仕組みではありません。
特に見取る視点として示されているのは、考え方が一面的なものから多面的・多角的なものへ広がっているか、道徳的な価値を自分との関わりで深めているか、という点です。
授業で大切にしたい姿勢
●登場人物が置かれた状況を確かめる
●自分がそう考えた理由を言葉にする
●自分と違う意見を、すぐ間違いと決めずに聞く
●話し合いの後で、自分の考えの変化を振り返る
教師は、発言だけを数えているわけではありません。
感想文や質問紙、ワークシート、話を聞く姿など、さまざまな表れから学びを見取ります。
文部科学省の解説でも、発言が多くない生徒について、ほかの人の話を聞きながら考えを深めようとする姿に目を向けることが大切だとされています。
つまり、話すのが得意でなくても、考えを深めていく姿は評価の対象になります。
無理に「先生が喜びそうな立派な意見」を作る必要はありません。
④テストや課題を予告されたときの準備
もし学校から「道徳のテストをします」と言われたら、まず慌てて模範解答集を探すのではなく、何を確認するものかを先生に聞きましょう。
同じ「テスト」という呼び方でも、教科書に出てきた人物や用語の確認なのか、ある場面について自分の考えを書く記述問題なのかで準備が変わります。
準備は四つで十分
●学校から示された範囲と持ち物を確認する
●教科書、道徳ノート、返却されたワークシートを読み直す
●「自分ならどうするか」と「その理由」をセットで考える
●反対の立場から見た理由も一つ考える
記述問題では、最初から長い文章を書こうとしなくて大丈夫です。
「私はAだと考える。なぜなら○○だからだ。ただしBの立場なら△△という心配もある」のように、結論、理由、別の見方の順で組み立てると伝わりやすくなります。
なぜなら〜だからです。
一方で、〜という立場なら〜とも考えられます。
話し合いを通して、私は〜にも気付きました。
この型は「正解らしい意見」を作る道具ではありません。
自分の考えがどこから来て、何を聞いて変わったのかを整理する道具です。
点を取りにいく準備より、考えた道筋を伝えられる準備をする。
道徳では、こちらのほうが本質に合っています。
⑤成績や高校入試が心配なときの確認法
保護者の方が特に気になるのは、「道徳の評価が内申点や高校入試に響くのでは?」という点だと思います。
文部科学省は、道徳科の評価を調査書に記載せず、入学者選抜の合否判定に使わないよう明確に示しています。
したがって、道徳の記述評価が、そのまま高校入試の点数になることはありません。
また、「普段おとなしいから評価が低い」「一度よくない行動をしたから道徳の成績が下がる」と単純に決まるものでもありません。
道徳科では、授業の中での学習状況や、一定期間を通した成長を見ることが基本です。
ただ、学校独自の課題について不明点があれば、推測したままにしないのが一番です。
次のように具体的に確認してみましょう。
●今回のテストは、知識の確認ですか、考えを書く課題ですか
●点数は通知表の数値評定に使われますか
●どの教材やワークシートを見直せばよいですか
●記述では、どのような学びの過程を見ていますか
道徳は「いい子の答え当てゲーム」ではありません。
自分と違う考えに出会い、最初の見方を少し広げられたなら、それは立派な学びです。
答えを飾るより、自分の理由を正直に言葉にして、ほかの人の理由にも耳を傾けること。
テストという言葉に身構えすぎず、まずは学校が示した目的と範囲を確かめて下さいね!








