

句形の一覧を毎日見ています。でも、問題になると私の記憶だけ先に下校しているんです。

ずいぶん帰宅の早い記憶ですね(笑)。一覧を見て「わかる」だけでは、本番で自分から思い出す練習が足りないんです。

では、もっと長く眺めればいいですか?

逆です。短く確認したら閉じて答え、最後に別の文で使いましょう。今日は、その順番を一緒に作ります!
【今回の真実】
漢文の句形は、一覧を長く眺めるより「例文を読む→答えを隠して再現する→別の文で見つける」の3段階で覚えます。形・読み・意味・例文を一組にし、思い出せなかった部分だけ戻るのが近道です。
①句形は3段階で覚える

漢文の句形を覚えるとき、最初から一覧を全部暗記しようとすると苦しくなります。
まずは学校で習ったものや、問題で間違えたものから5つほど選べば十分です。
その5つを、次の順で練習します。
覚えるとは、見たらわかることではなく、隠された状態でも自分から出せることです。
これまで指導してきた中でも、一覧を見ている時間が長いのに点につながらない生徒さんは、この「隠して出す」が抜けていることがよくありました。
学校の小テストも入試問題も、一覧表を開いたまま解くことはできませんよね。
だから勉強の途中から、必ず教材を閉じる時間を作ります。
ただし、いきなり初見の長文へ行く必要はありません。
短い例文で再現できてから、別の文へ移れば大丈夫です!
②形・読み・意味・例文を一組にする

句形を「反語」「使役」のような名前だけで覚えても、本文ではなかなか使えません。
一つの句形につき、次の4点を同じ場所にまとめましょう。
●形:どの漢字や並びが目印か
●読み:どう書き下すか
●意味:現代語でどう訳すか
●例文:実際の文の中でどこに現れるか
たとえば「豈ニ~ンヤ」なら、豈が目印、読みは「豈に~んや」、意味は「どうして~だろうか、いや~ない」という反語です。
さらに短い例文と結びつけると、本文中で豈を見た瞬間に読みと意味を呼び出しやすくなります。
句形名だけでなく、目印から読みと訳まで一本につながっている状態を目指しましょう。
なお、教材によって「句形」「句法」という呼び方がありますが、勉強の中心は名称の違いではありません。
授業や教材の表記にそろえ、文中で読みと意味を判断できることを優先してください。
③第1段階は例文を見ながら音読する

最初は、教科書や学校の句形集に載っている短い例文を使います。
目印になる漢字を指で追い、書き下し文、現代語訳の順に声へ出しましょう。
ここでは速さよりも、どの形を見てその読みになったのかを確かめることが大切です。
「反語だからこの訳」ではなく、「豈と文末の形があるから反語」と根拠を言えるようにします。
音読には、形と読みを音のまとまりで結びつけやすい良さがあります。
ただ、何度も読んで口が滑らかになっただけでは、まだ完成ではありません。
教材を見ている間は、答えを思い出したのではなく、答えを見て読めている可能性があるからです。
同じ例文を2、3回ていねいに読んだら、早めに次の「隠す」段階へ進みましょう。
学校の授業で習っていない難しい句形を、先回りして増やす必要もありません。
まずは定期テストの範囲、授業で繰り返し扱った句形、問題で間違えた句形の順で絞ると取り組みやすいですよ。
④第2段階は隠して再現する

次は教材を閉じ、句形の形だけを手がかりに読みと意味を答えます。
紙に書いても、声に出しても構いません。
大切なのは、答えを見る前に一度、自分の記憶から取り出そうとすることです。
学んだ内容を繰り返し思い出す練習は、同じ内容を繰り返し読むだけの場合より、後の保持を助けることが記憶研究でも示されています。
正解した句形を眺め直すより、止まった句形だけをもう一度確認し、すぐ隠して再テストしましょう。
おすすめは、表の上から同じ順番で答えるだけでなく、カードや付箋で順番を混ぜる方法です。
順番そのものを手がかりにせず、どの句形が出ても答えられるか確認できます。
その日の最後には全部言えたとしても、翌日の最初は一覧を開かずに試してください。
忘れていたら失敗ではありませんし、全部を覚え直す必要もありません。
忘れた句形が、今日の復習場所だとわかっただけです。
⑤第3段階は別の文で見つける

一覧では答えられるのに長文で気づけない場合、暗記量を増やすより「発見する練習」が必要です。
教科書や学校ワークから、習った句形を含む短い文を一つ選びます。
そして、目印に線を引く、句形を答える、書き下す、現代語訳する、の順に確かめましょう。
別の文でも自分で目印を見つけ、読みと訳を説明できたら、その句形は実戦で使える知識になっています。
ここで全文を完璧に訳せなくても大丈夫です。
今回の目的は、覚えた句形を初見の文から発見して使うことだからです。
逆に、句形は正しく判断できたのに文章全体が読めないなら、原因は句形以外にあるかもしれません。
返り点の順番、重要語、主語と目的語、前後の文脈のどこで止まったかを分けてみましょう。
何でも「句形を覚えていないせい」にすると、せっかくできている部分まで最初からやり直すことになってしまいます。
⑥覚えられない原因別の戻り方

句形が覚えられないと感じたら、まず「何が出てこないのか」を確かめます。
●目印に気づけない→例文へ戻り、目印へ線を引く
●読みが出ない→書き下し文だけを隠して音読する
●意味が出ない→読みと現代語訳を一組で確認する
●似た句形が混ざる→間違えた2つだけ横に並べる
●本文で見つからない→別の短文で発見練習をする
たとえば疑問と反語が混ざるなら、すべての句形を覚え直す必要はありません。
その2つについて、目印、文末、前後の文脈を比べればよいのです。
全部を何周したかではなく、どこで止まり、そこを自力で直せたかを復習の基準にしましょう。
15分勉強するなら、最初の5分で例文を読み、次の5分で隠して再現し、最後の5分で別の文を解く形にできます。
時間が短い日は、3句形だけでも構いません。
量を欲張って一覧を眺め続けるより、少ない句形を「見つけて、読んで、訳せる」ところまで仕上げるほうが前へ進めます。
漢文は、覚えるものが無限に増える科目ではありません。
今日の授業で扱った句形から、見る、隠す、使うの3段階を始めてみてください!




●例文を見ながら、書き下し文と意味を声に出す
●教材を閉じ、形から読みと意味を再現する
●別の短い文から同じ句形を見つけて使う