

漢文の参考書を買おうとしたら、ヤマが二つ並んで見えてきました。どっちへ登ればいいんでしょう?

山で遭難する前に違いを整理しようか(笑)。2冊は優劣より、句法の覚え方が違うんだ。

名前の勢いで選ぶところでした。私に合うほうを知りたいです!

では、現行版の中身と、選んだあとに点へつなげる方法まで見ていこう!
【今回の真実】
説明を読んですぐドリルで確かめたいなら『漢文ヤマのヤマ』、独特の読みを手掛かりに句法を素早く引き出したいなら『漢文早覚え速答法』が候補です。名前やページ数だけでなく、自分が再現しやすい覚え方で選びましょう。
①結論!2冊は覚え方で選ぼう

先に答えを出します。
『漢文ヤマのヤマ』は、句法を一つずつ説明で理解し、その直後にドリルで確認したい人に向いています。
『漢文早覚え速答法』は、「いがよみ」という漢字以外の読みを手掛かりにして、頻出の型をテンポよく取り出したい人に向いています。
丁寧派ならヤマのヤマ、音や決まりを合図に覚える速習派なら早覚え速答法と考えると、最初の候補を絞りやすいでしょう。
ただし、「受験まで時間がないから、名前に『早覚え』とある本」と即決するのは待ってください。
現行のパーフェクト版は、早覚え速答法が310頁、ヤマのヤマが208頁です。
ページ数には別冊や解説、演習なども含まれるため、厚さだけで終わる速さは決まりません。
また、どちらも主役は句法の土台づくりです。
返り点どおりに読むところで毎回止まるなら、参考書を比べる前に学校の教科書や授業プリントでレ点・一二点・書き下し文を確認しましょう。
山選びの前に、靴ひもを結ぶ段階ですね(笑)。
②現行版の違いを比べよう

ここで比べるのは、Gakkenから2025年3月27日に発売された「パーフェクト版 共通テスト完全対応」です。
古い版も流通しているため、購入時は表紙の版名まで確認してください。
大切なのは、「10公式だから少ない」「66句法だから多い」と単純比較しないことです。
分類の仕方が違うので、数字はそのまま暗記量の差にはなりません。
ヤマのヤマは、項目を細かく見渡しながら、説明とドリルを往復する構成です。
早覚え速答法は、読みの合図となる公式と重要漢字を中心に、入試での判断へつなげる構成です。
どちらにも共通テストや入試を意識した内容があります。
したがって、「共通テストなら必ずこちら、二次試験なら必ずあちら」と試験名だけで機械的に分けるより、まず覚え方との相性を見たほうが失敗しにくいのです。
③漢文ヤマのヤマが向く人

次の項目に多く当てはまるなら、ヤマのヤマから見てみましょう。
●学校で句法を習ったが、知識がばらばらになっている
●「なぜこの訳になるのか」を説明で納得してから覚えたい
●一つ学んだら、その場で短い問題を解いて確かめたい
●句法の一覧性や、復習用の別冊・アプリも重視したい
この本の強みは、66の重要句法を解説とドリルの組み合わせで進められる点です。
「読んだ直後は分かったのに、問題になると出てこない」という生徒は珍しくありません。
その場合、説明を読む時間と、自力で答えを出す時間が同じ流れにあることが助けになります。
一方で、細かく納得してから進みたい気持ちが強すぎると、最初の数項目だけを読み込んで止まることもあります。
最初から完璧を目指さず、迷った句法に印を付けて先へ進み、二度目に弱点へ戻る使い方がよいでしょう。
④早覚え速答法が向く人

次の項目に多く当てはまるなら、早覚え速答法が候補です。
●漢字の形だけを見るより、読みを声に出したほうが覚えやすい
●使役・受身・反語などの頻出型を、少ない軸で整理したい
●句法だけでなく、重要漢字や設問への向き合い方もまとめたい
●まず型を入れ、問題の中で理解を深める進め方が合う
特徴は、句形の漢字以外の読みを使う「いがよみ」です。
たとえば使役なら「ヲシテ」のように、読みを合図にして句法を思い出します。
声に出したときに記憶が戻りやすい人には、この仕組みが相性のよい覚え方になり得ます。
ただし、公式を唱えられるだけで完成ではありません。
例文のどこが目印なのか、その文をどう書き下し、どう訳すのかまで自分で言える状態にしましょう。
演習量をさらに増やしたい場合は、学校の問題集や過去問のほか、公式の準拠問題集『漢文早覚え速答法読解トレーニング』へ進む選択肢もあります。
⑤買う前の3問で決めよう

まだ迷う場合は、次の3問に答えてみてください。
1.返り点どおりに書き下せるか
できないなら、どちらを買うかより、訓読の基本を先に短く復習するのが近道です。
句法の本を開いても、読む順番で止まると本来の良さを使い切れません。
2.説明と音のどちらで思い出しやすいか
教科書の説明を読んでから例題を解くと頭に残るなら、ヤマのヤマ寄りです。
読みを口に出すと形と意味がつながるなら、早覚え速答法寄りです。
3.買う前に同じ句法を試したか
出版社の試し読みや書店で、反語や使役など同じ項目を比べてください。
数頁眺めるだけでなく、いったん閉じて「目印・読み・意味」を言ってみます。
閉じたあとに自分の言葉で再現しやすかったほうが、あなたに合う一冊です。
これは評判の多さより、ずっと頼れる選び方です。
すでに学校の副教材で句法を整理でき、初見問題でも使えているなら、無理にどちらかを買い足す必要はありません。
新しい一冊を増やすより、手元の教材と過去問の間違いを直すほうが先です。
⑥選んだ一冊を得点につなげよう

どちらを選んでも、読むだけでは点数になりません。
次の流れで進めましょう。
●句法の目印・読み・意味を確認する
●本を閉じて、三つを声に出す
●例文やドリルで根拠を示して答える
●翌日に順番を変えてもう一度試す
●初見問題で使えたか確かめる
終わったかどうかは周回数ではなく、初見の文で句法を見つけ、訳の根拠を説明できるかで判断します。
同じ範囲を扱う2冊を最初から並行すると、勉強した量は増えても、問題を解く時間が減りやすくなります。
まずは相性のよい一冊に決め、間違えた場所へ戻りながら仕上げましょう。
その後、志望校の過去問を解いて、句法ではなく語彙・文脈・記述で止まっていると分かったら、そこで必要な演習を足せば十分です。
参考書選びのゴールは、立派な一冊を持つことではありません。
自分に合う方法で覚え、初めて見る漢文で使えるようになることです。
迷っていた時間を、今日から一問解く時間に変えていきましょう!




●漢文ヤマのヤマ
66の句法を「解説→演習ドリル」で学ぶ/巻末演習5回分/別冊「重要句法66」と四択アプリ/208頁/税込1,430円
●漢文早覚え速答法
10の「いがよみ」公式と「コレだけ漢字91」で学ぶ/受験のウラわざ/別冊「共通テスト漢文攻略マニュアル+私大&記述対策」/310頁/税込1,540円