

先生、通知表が全部3でした。数字はきれいにそろったけど、喜ぶ場面ではないですよね……?

失敗ではないよ。3は「何もできていない」ではなく、学習目標におおむね届いている成績なんだ。

では、通知表を額に入れて、このまま3年間保存を……。

保存するのは通知表だけで十分だ(笑)。中1の今なら、3の中身を見れば次に動かす一教科が見つかるよ!
【今回の真実】
中1の成績がオール3でも、受験の結果が決まったわけではありません。ただし、評定を使う学年は地域で異なります。まず入試制度と観点別評価を確認し、次の学期は一教科・一観点を動かしましょう。
①中1の成績がオール3でも、失敗と決まったわけではない
②中1の成績が高校入試に使われるかは地域で違う
③今回の3がどの期間の評価かを確かめる
④評価対策と中1内容の穴埋めを分ける
⑤次の通知表までにやる4つの行動
⑥保護者は結果より作戦を一緒に見る
①中1の成績がオール3でも、失敗と決まったわけではない

先に答えると、中1のオール3は「もう受験が厳しい」「勉強ができていない」と決めつける成績ではありません。
文部科学省は、評定3を、教科の目標に照らして「おおむね満足できる」状態と示しています。
文部科学省の指導要録に関する資料にも、5から1までの評定の意味が明記されています。
つまり、授業で目指す基本的なところには、おおむね届いているということです。
オール3は失敗の印ではなく、次にどこを伸ばすかを考える出発点です。
9教科がすべて3なら、単純合計は27点です。
ただし、これは45点満点の評定を足した数字であり、偏差値や学年順位ではありません。
「3は数字の真ん中だから学年でも真ん中」「オール3なら偏差値は必ずこのくらい」とは言えないんですね。
ここを混ぜると、必要以上に落ち込んだり、反対に安心しすぎたりします。
大切なのは、27という合計より、9教科それぞれの3がどのように付いたかを見ることです。
②中1の成績が高校入試に使われるかは地域で違う
保護者の方からよく聞かれるのが、「中1の成績は高校受験に入りますか?」という質問です。
答えは、住んでいる地域や選抜方式によって違います。
「中1は関係ない」「中1から全部入る」のどちらかを、全国共通の話として信じないことが大切です。
広島県は中1から中3までを対象にして、評定の学年比を1対1対3としています。
詳しくは、広島県教育委員会の制度説明で確認できます。
一方、神奈川県の一般的な全日制・定時制の第1次選考では、中2の9教科合計と、中3の9教科合計を2倍した数字を使います。
詳しくは、神奈川県の公立高校入学者選抜制度をご覧ください。
このように、二つの県を比べただけでも対象学年が違います。

学校や学科による例外、制度変更もあり得るため、自分の地域の教育委員会が出す最新の募集案内・実施要項を確認してください。
ただし、入試の計算に中1評定を直接使わない地域でも、中1の学習がどうでもよいわけではありません。
英語や数学は前の内容を使って次へ進むため、分からない所を中2まで持ち越すと、点数を上げる負担が大きくなります。
中1の通知表は、合否を宣告する紙ではなく、早めに弱点を見つけられる資料として使いましょう。
③今回の3がどの期間の評価かを確かめる

中1の成績を見るときは、数字の前に「いつからいつまでの学習を評価した3か」を確かめてください。
1学期の通知表なのか、後期の途中なのか、学年末の結果なのかで、次に残された評価機会が違うからです。
学校が二学期制か三学期制か、通知表の評定を各学期で区切るか年間の学習も踏まえるかによっても、見方は変わります。
ここはネットの一般論では決められません。
学校から配られた評価方法、年間予定、今回の通知表を並べ、次の三点を確認しましょう。
●今回の評定が対象にした期間
●次に評定が示される時期
●次の評価に使われるテスト・課題・実技
中1の今は、3という結果より「次に評価される場面がいつあるか」をつかむほうが役立ちます。
そのうえで、観点別評価を見ます。
観点は次の三つです。
●知識・技能
●思考・判断・表現
●主体的に学習に取り組む態度
これは文部科学省の学習評価に関する通知で示されている区分です。
通知表のA・B・C、定期テストの観点別得点、返された課題を並べると、同じ3でも次の一手が違うことが分かります。
資料を見ても分からなければ、教科担当の先生へ聞くのが一番確実です。
「なぜ3なんですか?」だけだと、答える側も広すぎて困ります。
「今回の3はどの課題やテストをもとに決まり、次はどこで改善を見てもらえますか?」と聞けば、次の行動につながる答えを得やすくなります。
④評価対策と中1内容の穴埋めを分ける

中1の今は、二つの課題を分けて考えると整理しやすくなります。
一つ目は、次の通知表へ向けた評価対策です。
これは、次のテスト、レポート、実技、振り返りなど、学校が評価する場面で改善を示す取り組みです。
二つ目は、中1で習った内容の穴埋めです。
こちらは評定のためだけでなく、中2以降の授業についていくための復習です。
たとえば英語なら、be動詞と一般動詞を混ぜていないか、疑問文と否定文を自力で作れるかまで戻ります。
数学なら、正負の数や文字式など、どの単元から手が止まったかを答案とワークで探します。
提出物を丁寧に出せば次の評価材料にはなりますが、それだけで英語や数学の分からない所が消えるわけではありません。
反対に、家で問題集を解けるようになっても、学校が次に見る課題や期限を外せば、改善が通知表に表れにくいことがあります。
「次の評価で示すこと」と「次の学年へ持ち越さないこと」を、別々に一つずつ決めましょう。
私が生徒さんを見ていても、この二つを分けずに「とにかく全部頑張る」と始めると、やることが増えすぎて続かないケースがよくあります。
一教科に絞り、評価用の行動と復習用の行動を一つずつ持つほうが現実的ですよ。
⑤次の通知表までにやる4つの行動

ここからは、通知表を受け取った後の動きを順番に整理します。
1.地域の入試制度を公式サイトで確認する
教育委員会の募集案内や制度説明で、評定を使う学年を確認します。
現在の中1が受験する年度までに変更される可能性もあるため、受験学年になったら最新情報をもう一度見ましょう。
2.学校で次に評価される場面を聞く
今回の評定が対象にした期間と、次のテスト・課題・実技を確認します。
ネットの「何点なら4」という表より、自分の学校が示した資料が先です。
3.一教科に二つの目標を作る
評価対策は「次のレポートで根拠を一行入れる」、穴埋めは「前の単元を答えを見ずに解き直す」のように分けます。
期限と終わりが見える言葉にすると、行動しやすくなります。
4.週に一度、二つの証拠を見直す
評価対策では、直して出したワークや書き直した記述を確認します。
穴埋めでは、前に間違えた問題を何も見ずに解けるか確かめます。
次の通知表までに、評価の改善と学習の穴埋めの両方へ、小さな証拠を残すことが目標です。
四つ全部を今日やる必要はありません。
まず学校の資料を出し、一教科を決めるところまでで十分です。
⑥保護者は結果より作戦を一緒に見る

お子さんがオール3の通知表を持ってきたとき、「全部3なの?」と先に言うと、本人は責められたと感じやすくなります。
中1は、小学校と違う教科担当制や定期テストに慣れている途中でもあります。
まずは「中学校の生活を続けながら、ここまで取り組んだんだね」と受け止めてあげてください。
そのうえで、「どの教科なら次に動かせそう?」と、作戦を一緒に考えます。
保護者が答えを決める必要はありません。
学校の資料を一緒に探す、先生へ聞く質問を一緒に一文にする、ワークを見直す時間を決める。
このくらいの支え方で十分です。
中1のオール3は、将来が決まった数字ではなく、立て直しを早く始められる現在地です。
入試に使われるかは地域の公式情報で確認し、成績の中身は学校の観点別評価で確認する。
そして次の学期は、一教科・一観点・一行動から始めてみてください。
通知表の数字を眺め続けるより、次の評価機会へ向けて一つ動くほうが、成績はずっと変わりやすくなりますよ!



