

数学のワーク、ちゃんと3周したのに点数が上がりませんでした。もう4周目に突入するしかないですか?

その前に、3周とも同じ所で止まっていなかったか確認しよう。回数より、止まった場所を直せたかが大事なんだ。

たしかに、答えを見たら毎回「ああ、それね!」とはなりました。

数学でいちばん油断しやすい「ああ、それね!」だね(笑)。今日は、わかった気で終わらず点数へ変える手順を説明するよ。
【今回の真実】
数学の成績を上げるには、問題集の冊数や周回数を増やす前に「最初にどこで止まったか」を見つけることが先です。必要な所まで戻り、答えを閉じて再現し、時間内に使えるかまで確かめると勉強が得点につながります。
①数学は「最初に止まった場所」から直す

数学の成績を上げたいとき、「もっと問題を解こう」と考えるのは間違いではありません。
ただし、解けない原因を残したまま問題数だけ増やすと、同じ止まり方を何度も練習することになります。
大切なのは、答案の最後に付いた×だけを見るのではなく、途中式をたどって「自分の力で進めなくなった最初の一行」を探すことです。
数学は、最後の答えより先に「最初に止まった場所」を直すと、次に戻るべき勉強が見えます。
たとえば二次方程式を間違えたとしても、原因が二次方程式とは限りません。
展開で符号を間違えたのか、因数分解が出てこなかったのか、解き方は合っていたのに最後の計算で崩れたのかで、戻る場所は変わります。
文部科学省の中学校学習指導要領解説でも、知識・技能の習得だけでなく、それをどう使うかという思考力・判断力・表現力等を合わせて育てる方針が示されています。
数学の点数も「公式を知っている」と「問題を見て使える」の両方がそろって初めて伸びていきます。
参考:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」
②解けない原因を3つに分ける

返却された答案か、最近解いた学校ワークを一つ用意してください。
間違いを次の3種類に分けると、やることがかなりスッキリします。
A:土台の知識で止まった
公式や用語を忘れている、分数や符号の計算があやしい、前の学年の内容が抜けている状態です。
この場合は、今の応用問題を粘るより、つながっている前の例題まで戻ります。
B:解き方を選べず止まった
解説を読めば理解できるのに、自分では最初の式を作れない状態です。
解説のすべてを覚えるのではなく、「問題のどの条件を見て、その解き方を選んだか」を一行で説明します。
C:わかっていたのに答案で出せなかった
途中式を飛ばして崩れた、時間が足りなかった、読み違えたという状態です。
これは知識を増やすより、途中式の残し方、解く順番、時間を測った練習を直すほうが効きます。
A・B・Cを全部同じ「数学が苦手」でまとめないことが、成績を上げる出発点です。
1000人以上を指導してきた中でも、解説を読んだ直後には解けるのに、翌日には最初の一手で止まる生徒さんは珍しくありません。
能力の問題と決めつける必要はなく、「理解した後に、自分だけで再現する練習」が抜けているだけのことも多いのです。
ここは練習の順番を変えれば直せますので、大丈夫ですよ!
③成績を上げる5ステップ
原因が見えたら、次の5ステップで一問ずつ直しましょう。

ポイントは、解説を読むことをゴールにしないことです。
米国教育省のWhat Works Clearinghouseによる中高生向け代数指導ガイドでも、解答例を使って推論や方略を分析すること、複数の解法から意図して選ぶことが勧められています。
解答例は写すためではなく、「なぜこの一手を選んだのか」を調べるために使いましょう。
「解説を見ればわかる」から「何も見ずに解ける」へ移れたところで、初めて一問の復習が完了です。
翌日は同じ問題を丸暗記で再生するだけでなく、数字や問い方が少し違う類題も一問入れてください。
そこで止まるなら、解法ではなく答えの並びを覚えていた可能性があります。
④単元ごとに戻る場所を変える

数学は内容同士のつながりが強いため、「とにかく中学1年の最初から」「高校数学を全部やり直す」と広げる必要はありません。
今の問題につながる一本の道だけを戻るほうが、勉強量を増やしすぎずに穴をふさげます。
方程式・式の計算
途中式のどこで符号、分数、展開、因数分解が崩れたかを探します。
公式が言えないなら教科書の説明へ、公式は言えるのに使えないなら例題へ、最後だけ崩れるなら短い計算練習へ戻ります。
関数
式だけを眺めず、表・式・グラフのどこで対応が切れたかを見ます。
傾きや変化の割合の意味があやしければ、座標を実際に書き込み、グラフを自分でかくところからやり直します。
図形・証明
答えを最初から最後まで覚えるのではなく、条件と結論に印を付けます。
使えそうな定理が出ないなら知識へ戻り、定理は出るのに並べられないなら「この条件から何が言えるか」を一行ずつ書く練習へ戻ります。
単元名ではなく、止まった動作まで細かくするのがコツです。
「関数が苦手」より「二点から傾きを出すところで符号を間違える」のほうが、今日の練習を決めやすくなります。
⑤教材は増やさず役割を変えて使う

成績が伸びないと、新しい参考書に答えがありそうに見えます。
けれども、定期テストなら最初に使うのは学校の教科書、授業ノート、プリント、ワークです。
教材ごとの役割を次のように分けてください。
●教科書・授業ノート:意味や考え方を確認する
●例題:解き方を選んだ理由をつかむ
●学校ワーク:何も見ずに再現する
●返却答案:時間内に点へ変えられたか確かめる
同じ教材でも、「読む」「理由を説明する」「白紙から解く」と役割を変えれば、ただ周回するより弱点が見えます。
学校ワークの問題が自力で解けないままなら、市販の難しい問題集を足す必要はありません。
逆に、基本問題を安定して解けるのに模試の初見問題で止まるなら、似た問題だけでなく、複数の単元が混ざった問題へ進む段階です。
教材を増やす基準は「今の一冊を終えたか」ではなく、「次に鍛えたい動作が今の教材では足りないか」にしましょう。
⑥まず1週間で一つの穴をふさぐ

数学全体を一気に得意にしようとすると、計画だけで大きくなってしまいます。
最初の1週間は、一単元の一つの止まり方に絞ってください。
●1日目 答案一枚から、直す一問とA・B・Cを決める
●2日目 必要な説明と例題まで戻る
●3日目 答えを閉じて同じ問題を解く
●4~5日目 似た問題を解き、途中式も確認する
●6日目 別の単元を混ぜて解く
●7日目 時間を決め、何も見ずに再テストする
この日数は点数保証ではなく、勉強を動かすための実行例です。
部活や学校行事がある週は、日数を伸ばしても構いません。
大事なのは毎日長時間やることではなく、一つの穴を「説明を読んだ」から「時間内に自力で解けた」まで運ぶことです。
解説の一行目から意味がわからない、どこまで戻ればよいか自分で決められない、同じ計算ミスが続く場合は、答案と途中式をそのまま先生へ見せてください。
「数学がわかりません」ではなく、「この式から次の式へ進む理由がわかりません」と聞くと、助けてもらう場所が伝わります。
数学の成績は、勉強時間を増やした翌日に急に変わるとは限りません。
それでも、止まった場所を一つずつ自力で通れるようにすれば、次のテストで取れる問題は着実に増えます。
焦って数学全部をやり直さなくて大丈夫です。
まず今日は、返却された答案を一枚出して、最初に止まった一行へ印を付けるところから始めてみましょう!




●ステップ1 前回答案か最近のワークから、間違えた問題を一問選ぶ
●ステップ2 自分の途中式を見て、最初に止まった場所へ印を付ける
●ステップ3 A・B・Cのどれかを決め、必要な例題まで戻る
●ステップ4 解説を閉じ、白紙に最初から解き直す
●ステップ5 翌日、似た問題を時間を意識して解く