



でも、誰と比べた数字かを確認すれば、志望大学までの距離はきちんと見えるよ!
【今回の真実】
高校の偏差値と大学の偏差値は、比べる集団や算出元が違うため単純換算できません。
高校名の数字ではなく、本人が同じ大学受験模試で取った偏差値と、学部・入試方式別の判定を照らし合わせましょう。
①高校の偏差値と大学の偏差値は単純比較できない
最初に結論をお伝えすると、偏差値60の高校に通っているからといって、偏差値60の大学が自動的に「実力相応」になるわけではありません。
反対に、高校の偏差値が50なら偏差値60の大学を目指せない、という意味でもありません。
高校名についた偏差値と、あなた個人の大学受験時の学力は別の情報です。
そもそも偏差値は、得点そのものではなく、ある集団の中での位置を表す数字です。
計算式は「(個人の得点-平均点)÷標準偏差×10+50」で、平均に当たる位置が50になります。
つまり、誰が受けたどのテストなのかが変われば、同じ学力でも数字は変わり得ます。
さらに、学校情報サイトなどで高校名の横に載る偏差値は、その高校の在校生全員の現在の学力を表す成績表ではありません。
高校入試の難易度を知るための目安です。
一方、大学の一覧に載る偏差値も、大学の教育の質や学生全員の賢さを採点した数字ではなく、特定の模試データをもとにした入試難易度の目安です。
●大学名・学部名に載っている入試難易度
●あなた自身が模試で取った偏差値
この三つを混ぜないことが、正しい比較の出発点です。
②同じ数字でも差が生まれる理由
受験する集団が違う
高校受験では、多くの中学生がそれぞれの地域で高校を目指します。
大学受験では、就職や専門学校などを選ぶ人を除き、大学進学を考える人たちの中で競います。
文部科学省の令和7年度学校基本調査では、令和7年3月の高校等卒業者のうち大学・短大へ進学した割合は61.4%、大学学部への進学は58.3%でした。
この数字からも、高校卒業者全員が大学へ進むわけではないことがわかります。
大学受験向けの模試には、大学進学を目指して勉強している高校生が集まり、模試によっては既卒生も受けます。
その集団の中で真ん中なら偏差値50です。
高校入試の偏差値50と大学受験の偏差値50は、比べている相手が違うため重みも違います。
模試会社と判定基準も違う
大学の偏差値は、情報元が変わると意味も変わります。
たとえば、ベネッセの大学偏差値一覧は進研模試3年生のB判定、つまり合格可能性60%の偏差値を利用しています。
一方、河合塾の入試難易予想ランキングのボーダーラインは、合否の可能性が50%に分かれると予想するラインです。
どちらが正しい、間違いという話ではありません。
基準が違う数字を横に並べて「こちらが2高い」と比べることに無理があるのです。
大学を見るときは、同じ情報元、同じ年度、同じ学部・学科、同じ入試方式にそろえましょう。
③「高校偏差値-10」は目安にできる?
検索すると、「進学する大学の偏差値は高校の偏差値から5や10ほど引く」といった説明を見かけます。
受験者層が変わるため数字が下がって見える、という感覚をつかむにはわかりやすいでしょう。
しかし、すべての生徒に使える換算式ではありません。
同じ高校でも、学年上位の生徒と下位の生徒では大学模試の結果が違います。
入学後の勉強量、得意科目、文系・理系、現役生か既卒生かによっても状況は変わります。
国公立大学と私立大学では必要科目の組み方が異なり、同じ大学でも学部や入試方式ごとに難易度が分かれます。
指導の面談でも、「偏差値の高い高校に入ったから大丈夫」と安心し、本人の大学模試や答案をまだ詳しく見ていないケースがあります。
そこで高校名の数字をいったん横へ置き、英語・数学・国語などの現在地を確認すると、やるべきことがようやく具体的になります。
高校の看板ではなく、今の答案から作戦を立てることが大切です。
●入学後の伸びやつまずきが反映されない
●模試会社や判定基準がそろっていない
●学部・学科・入試方式の違いが消えてしまう
④志望大学は何を基準に決める?
では、大学までの距離をどう測ればよいのでしょうか。
答えはシンプルで、大学受験向けの同じ模試で取った本人の偏差値と、志望学部・入試方式の判定を比べます。
まず、志望大学を「大学名」だけで止めず、学部・学科と入試方式まで決めます。
次に、その方式で必要な科目と配点を大学の入試要項で確認します。
そのうえで、模試の総合判定だけでなく教科別偏差値と答案を見ましょう。
たとえば総合偏差値が同じでも、英語で支えている人と数学で支えている人では、次の一手が違います。
判定が届かないときも「頭が悪い」と大きくまとめてはいけません。
単語不足なのか、典型問題の練習不足なのか、時間配分なのかまで分ければ、対策できます。
2.最新の入試科目と配点を公式要項で確認する
3.大学受験模試の本人偏差値と判定を見る
4.教科別偏差値と答案から失点原因を分ける
5.次の模試までに直す内容を一つか二つ決める
大学の偏差値は、大学の価値そのものでもありません。
河合塾も、ボーダーラインは入試難易度を表すもので、教育内容や社会的位置づけを示すものではないと明記しています。
最後は、学びたい内容、通学、学費、取得できる資格、卒業後の進路も合わせて選んでください。
⑤高1・高2からできる偏差値の使い方
この違いを知って、「大学受験は思ったより厳しい」と不安になった人もいるかもしれません。
でも、高1や高2で気づけたなら十分に作戦を立てられます。
偏差値は将来を決める判決ではなく、次に直す場所を見つけるための現在地です。
最初に、大学受験向け模試を継続して受け、同じ模試の中で推移を見ましょう。
模試が変わるたびに数字だけを比べるより、同じ基準で英語の長文、数学の典型問題、国語の時間配分などの変化を追うほうが役立ちます。
次に、学校内の順位も使います。
学校の進路資料に過去の合格実績があれば、自分と近い順位の先輩がどの大学へ進んだかは参考になります。
ただし、それも合格保証ではありませんから、最後は本人の模試と過去問で確かめます。
高校の偏差値が高くても、今から勉強しなくてよい理由にはなりません。
高校の偏差値が低めでも、挑戦を諦める理由にはなりません。
高校名についた数字から一歩離れて、まずは自分の答案を一枚開いてみましょう。
英単語の抜けが一つ見つかっただけでも、もう次にやることは決まります。
そうやって今の自分から順番に進めば、志望大学への距離はちゃんと縮められますよ!








