

先生、テストで80点なら通知表は4ですよね?あと1点だった教科は、先生がおまけしてくれたり……。

駄菓子屋さんのサービスみたいにはいかないね(笑)。そもそも、全国共通の「80点なら4」という決まりはないんだ。

えっ、じゃあ何を基準に4がつくんですか?

3つの観点と、学校が示す評価方法を見るんだよ。自分のテストや提出物まで並べれば、次に何を直すかも見えてくるよ!
【今回の真実】
成績4は、教科の目標に照らして「十分満足できる」状況です。ただし全国共通の点数ラインはなく、3観点と自校の評価資料を合わせて見なければ、4がつく基準は正確に分かりません。
①成績4がつく基準は「十分満足できる」状況
②4はテストの点数だけで決まらない
③「80点なら4」「Aが一つなら4」は自校の基準とは限らない
④3観点ごとに評価材料を確認しよう
⑤先生には評定ではなく次の評価機会を聞こう
⑥最初の一週間は一教科・一観点に絞ろう
①成績4がつく基準は「十分満足できる」状況

まず、いちばん知りたい答えからお伝えします。
文部科学省は、中学校の評定4を、各教科の目標に照らして「十分満足できる」状況と位置づけています。
3は「おおむね満足できる」状況、5は「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」状況です。
つまり4は、授業内容をだいたい理解しているだけでなく、その教科で求められる力を十分に身につけたと判断された評価なのです。
胸を張ってよい、立派な成績ですよ!
ここで大切なのは、友達より何番上かではなく、教科の目標にどれだけ届いたかを見ることです。
今の中学校の評定は、クラス内の順位で人数を割り振る数字ではありません。
ですから、「平均点より上だったから4のはず」とは言い切れないのですね。
反対に、学年平均が高いテストで平均点を少し下回ったからといって、それだけで4の可能性が消えるわけでもありません。
②4はテストの点数だけで決まらない

現在の中学校では、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で学習状況を捉え、それを評定へ総括します。
定期テストはもちろん大切です。
ただし、一枚の答案の合計点だけで3観点すべてを読み切ることはできません。
たとえば用語や計算を問う問題は、主に「知識・技能」の材料になります。
理由を書く記述、資料を読み取る問題、学んだことを別の場面で使う問題は、「思考・判断・表現」の材料になり得ます。
さらに、レポート、発表、実技、作品、振り返りなど、教科と単元に応じた材料もあります。
同じ80点でも、どの観点で何を示せた80点なのかによって中身は違うわけです。
「主体的に学習に取り組む態度」は、挙手の回数やノートの見た目だけではなく、粘り強く取り組みながら、自分の学び方を調整しようとしているかを見る観点です。
間違いを見つけて解き方を変えた、助言を受けて作品を直した、振り返りを次の課題へ生かした、といった学びの過程が大切になります。
提出物も、「出したから自動的にA」ではありません。
期限を守るのは大事ですが、学校がその課題でどの観点を見ているのか、内容まで確かめる必要があります。
③「80点なら4」「Aが一つなら4」は自校の基準とは限らない

ネットでは、「80点以上なら4」「Aが一つあれば4」「ABBなら4」といった表を見かけます。
分かりやすいので、つい自分の通知表にも当てはめたくなりますよね。
ところが、評定の具体的な決め方は各学校が定めます。
そのため、全国共通の「定期テストで80点なら必ず4」という線はありません。
実際に府中市立府中第一中学校は評定4を達成度80%以上と公開していますが、同じページで、教科や範囲によって観点の比重が異なり、観点別評価が同じでも評定が同じとは限らないと説明しています。
これは、「80%という数字が間違い」という話ではありません。
その学校が公開した基準は、その学校では大切な一次情報です。
ただし、別の学校の生徒が全国共通表として使うことはできない、ということです。
学校名が書かれた基準は、その学校の資料として読みましょう。自校の基準は、生徒手帳、学習の手引き、シラバス、年度初めの評価資料などで確認します。
「観点別評価がAAAだったのに4だった」という場合も、すぐに採点ミスとは決めつけないでください。
Aの中にも達成状況の幅があり、評定へ総括する方法も学校で定められています。
疑問があれば、まず評価資料と返却物をそろえて先生へ確認しましょう。
④3観点ごとに評価材料を確認しよう

では、自分の教科で成績4がつく基準をどう確かめればよいのでしょうか。
おすすめは、点数を一つだけ見るのではなく、「学校の評価資料→通知表の3観点→実際の返却物」の順にたどることです。

知識・技能
定期テストの知識問題、小テスト、計算や実技の技能などを確認します。
合計点だけでなく、同じ種類の問題を安定して自力でできたかを見ましょう。
答えを見れば分かる状態と、何も見ずに再現できる状態は違います。
間違えた問題を翌日にもう一度解くと、今の定着度が見えやすくなります。
思考・判断・表現
記述問題、理由説明、資料の読み取り、レポート、発表などを確認します。
正解だけでなく、根拠を使って説明できているかがポイントです。
テストの合計点は悪くないのに評定が3だった生徒は、ここで失点が続いていないかを見てください。
学校によっては、問題ごとに観点の印が付いています。
主体的に学習に取り組む態度
振り返り、課題を直した記録、学習方法を変えた跡、授業内の活動などを確認します。
「頑張りました」だけで終わらず、何ができず、どう直し、次に何をするかまで書けると、自分の学習を調整する姿が伝わります。
ここでも、きれいなノート作りを競う必要はありません。
先生が評価する場面で、学びが前へ進んだ証拠を残すことが大切です。
⑤先生には評定ではなく次の評価機会を聞こう

資料を見ても分からなければ、教科担当の先生へ聞いて大丈夫です。
ただし、「どうして4じゃないんですか」と数字だけを問い詰めると、評定の交渉のように聞こえてしまいます。
知りたいのは、過去の数字を変えてもらう方法ではなく、次に何をできるようにするかですよね。
そこで、次の3点をメモして聞きましょう。
●今回、4に届かなかった主な観点はどれですか
●その観点は、どのテスト問題や課題、活動で評価されましたか
●次は、どの評価機会で何を示せれば4へ近づけますか
「何点取ればいいですか」だけでなく、観点・評価材料・次の機会をセットで聞くのがコツです。
先生の答えが「記述をもう少し詳しく」のように広ければ、「理科の考察なら、結果と理由まで書くということですか」と具体化しましょう。
ここまで聞ければ、家庭学習でやることが見えるはずです。
保護者の方は、先にお子さんへ「どの教科の4を狙いたい?」と聞いてみてください。
全部の数字を責める反省会より、一教科の資料を一緒に探す作戦会議のほうが、ずっと次の行動につながります。
⑥最初の一週間は一教科・一観点に絞ろう

基準が分かったら、いよいよ行動です。
ここで「テストも提出物も授業態度も全部!」と広げると、何が効いたのか分からなくなります。
最初の一週間は、4へ上げたい一教科を選び、弱い一観点に絞りましょう。
知識・技能なら、前回間違えた基本問題を少数選び、答えを閉じて解き直します。
思考・判断・表現なら、記述問題の答えに根拠が入っているかを毎回確認します。
主体的に学習に取り組む態度なら、直しと具体的な振り返りまで終えて一つの課題を完成させます。
一週間後は、勉強時間の長さではなく、「何も見ずにできたか」「説明できたか」「次のやり方まで書けたか」で確かめてください。
成績4を直接取りにいくのではなく、4と判断できる学習の証拠を一つずつ増やすのです。
成績3は、失敗の判定ではありません。
教科の目標へおおむね届いているからこそ、次に直す観点を一つ選べます。
まずは自校の評価資料を探し、通知表と返却物を机に並べてみましょう。
基準が見えれば、「もっと頑張る」というぼんやりした目標が、「次の記述で根拠まで書く」という動ける目標に変わりますよ!




教科の目標に照らして「十分満足できる」学習状況。クラス内順位や定期テスト一回の点数につく賞ではありません。