

漢文の句法をノートに何度も書いたのに、問題では思い出せないんです。私の記憶、学校に置いてきたのかな……。

記憶だけ毎日置き勉しているのか(笑)。でも、それは覚える力より、覚え方の問題かもしれませんよ。

漢文は漢字も句法も多そうで、どこから手を付ければいいのか分かりません。

全部を一度に暗記しなくて大丈夫です。読む順番を固め、句法を例文で覚え、閉じて思い出し、別の文で使う。この順番で進めましょう!
【今回の真実】
漢文の覚え方で大切なのは、一覧を眺め続けることではありません。返り点などの訓読、句法、重要語を順に学び、「見れば分かる」から「何も見ずに言える」「初めての文で使える」へ進めることが得点への近道です。
①漢文は「全部暗記」しなくていい
②最初に覚えるものを3つに分けよう
③覚える順番は訓読・句法・重要語
④句法を使える知識にする4ステップ
⑤毎日15分の復習メニュー
⑥覚えられない原因別の戻り方
①漢文は「全部暗記」しなくていい

漢文が苦手な高校生は、教科書の白文、書き下し文、現代語訳を全部丸暗記しようとしがちです。
これでは量が多く見えますし、作品が変わると知識を使えません。
結論から言えば、覚えるべきなのは本文そのものではなく、別の文でも使える「読み方のルール」です。
文部科学省の高等学校学習指導要領解説でも、訓読のきまりを断片的な知識で終わらせず、古典を読むために必要な範囲で扱う考え方が示されています。
つまり、返り点の名前を言えるだけでは完成ではありません。
返り点に従って読める、句法の目印から読みと意味を出せる、文章の中で人物の動きをつかめるところまで進んで、初めて役立つ知識になります。
「覚えてから問題を解く」のではなく、短い問題を使いながら覚えると考えると、漢文はかなり整理しやすくなりますよ。
②最初に覚えるものを3つに分けよう

漢文で覚える内容は、次の3つに分けると迷いません。
訓読は、漢文を日本語の語順で読むための土台です。
句法は「この形が来たら、このように読み、こう訳す」という型です。
重要語は、その文で誰が何をしたのか、話がどう動いたのかをつかむ助けになります。
この3つを一冊のノートへ延々と写す必要はありません。
学校の副教材や句法集を一冊決め、間違えた項目に印を付ければ十分です。
定期テストなら範囲表・授業プリント・教科書、受験なら志望校の出題範囲と手持ちの句法集を基準に、覚える範囲を絞りましょう。
教材を増やす前に、今の一冊から答えを隠して言えるかを確認する方が先です。
定期テストでは本文も覚えるべき?
授業で扱った本文から書き下し文や現代語訳が出るなら、その範囲の練習は必要です。
ただし、最初から訳を一字一句丸暗記するのはおすすめしません。
まず白文を見て読む順番をたどり、句法の目印に印を付け、自分で書き下し文を作ります。
次に、誰が何をした文なのかを確かめてから、学校で習った現代語訳と照合しましょう。
その後で白文だけを見て、書き下しと意味を口頭で再現します。
この方法なら、本文のテスト対策をしながら、別の文章にも使える訓読と句法の練習ができます。
定期テストで先生独自の表現が指定されている場合は、最後に授業ノートやプリントの表記へそろえてください。
③覚える順番は訓読・句法・重要語

最初は、レ点や一二点に従って読む順番を決め、短い文を書き下す練習から始めます。
ここで止まる人が句法一覧へ進んでも、覚えた形を本文から見つけにくいからです。
返り点付きの短文を見て、漢字を読む順番に並べられるようになったら、再読文字と基本句法へ進みます。
句法では、項目名だけでなく「本文の目印・読み・現代語訳」を一組にします。
例えば「未」なら、字だけを見て終わらず、「いまだ~ず」「まだ~ない」という形まで声に出します。
その後で、演習中に出会った重要語を少しずつ足していきましょう。
順番は「訓読で並べる→句法で意味を取る→重要語で文脈を補う」です。
いきなり難しい長文を読む必要はありません。
一文を正しい順番で読み、意味を説明できる状態を先に作ると、長文でも自分が止まった場所を見つけやすくなります。
④句法を使える知識にする4ステップ
ここが今回、一番お伝えしたいところです。
句法は次の4ステップで覚えてください。
1.例文の中で目印を見つける
2.読みと現代語訳を声に出す
3.教材を閉じ、目印だけから読みと訳を言う
4.別の短文で同じ句法を見つける

最初の2つは、知識を頭へ入れる作業です。
後半の2つは、入れた知識を自分で取り出して使う作業です。
多くの高校生を指導していると、きれいなノートを作ったのに点数へつながらないケースがあります。
これは努力が足りないのではなく、見本を見ながら書く時間が長く、自力で思い出す練習が少ないことが原因になりがちです。
外国語の語彙を用いた記憶研究でも、学習後に読み直しを重ねるより、繰り返し思い出すテストをした方が後の記憶に残りやすい結果が報告されています。
漢文だけを調べた実験ではありませんが、「閉じて答える」練習を入れる根拠にはなります。
正解を見て納得したら終わりではなく、閉じた直後にもう一度、自分の口で説明してみましょう。
⑤毎日15分の復習メニュー

さて、覚え方が分かっても、一回で全部を定着させようとすると苦しくなります。
そこで、毎日の勉強を次の3つに分けます。
最初の5分:読む順番を確認する
返り点や再読文字を含む短文を数問だけ解きます。
間違えたら、どの字を先に読んだかを数字で振り直しましょう。
次の5分:句法を閉じて答える
前日に学んだ句法の目印だけを見て、読みと意味を声に出します。
出てこなかったものだけ教材へ戻り、その場でもう一度閉じて答えます。
最後の5分:一文で使う
教科書や問題集の短文を一つ読み、句法の目印、主語、動作の対象に印を付けます。
書き下し文と現代語訳を確認し、間違いの原因を「訓読・句法・重要語・文脈」のどれか一つに分類します。
時間より大切なのは、毎回「思い出す」と「別の文で使う」を入れることです。
定期テスト前は授業で扱った本文を使い、受験勉強では句法集の例文と初見問題を往復してください。
⑥覚えられない原因別の戻り方

何度やっても覚えられないときは、自分の能力を疑う前に、止まっている場所を切り分けましょう。
●読む順番が分からない→返り点と再読文字へ戻る
●書き下せるが訳せない→句法の意味と古文の助動詞を確認する
●句法は言えるが本文で見つからない→目印に線を引く練習をする
●訳せるが内容問題を落とす→主語・人物関係・指示語を追う
●翌日に忘れる→答えを隠す再テストを翌日にも行う
全部を最初からやり直す必要はありません。
一問ごとに「どこで止まったか」を決め、そこだけ戻る方が、弱点を直しやすくなります。
漢文は、意味不明な漢字の壁に見えるうちはしんどい科目です。
でも大丈夫です。
訓読、句法、重要語と役割を分けると、今日やることがはっきりします。
まずは手持ちの教材から短い例文を一つ選んでください。
目印を探し、読みと意味を声に出し、閉じてもう一度答える。
その小さな一周から、漢文を「見たことはある」科目ではなく、「自分で読める」科目へ変えていきましょう!




●訓読のきまり:返り点、送り仮名、置き字、再読文字など
●句法:否定、疑問・反語、使役、受身、比較など
●重要語:現代語と意味や読みが違う漢字、人物を表す語、文の流れを作る語