

再読文字って、一度読んだのにもう一度呼び戻されるんですよね。忘れ物をした漢字みたいです。

たしかに動きだけ見ると、教室へ戻ってくる生徒みたいですね(笑)。でも、戻る場所と二度目の読みが決まっているので、仕組みは意外と素直ですよ。

一覧を丸暗記する前に、読む順番をつかんだほうがよいですか?

その通りです。漢字、一度目の読み、二度目の読み、意味を一組にして、短い例文で確かめていきましょう!
【今回の真実】
漢文の再読文字は、一つの字を一度目は副詞として読み、返り点に従って戻ったときにもう一度読む文字です。一覧だけでなく「二度目の読み」と意味を組にし、例文で読む順番まで再現すると得点につながります。
①漢文の再読文字とは?一つの字を二度読む
②まず覚えたい再読文字9字の一覧
③読み順は3ステップで考える
④迷いやすい組は二度目の読みと意味で分ける
⑤例文で書き下し文と現代語訳を確認する
⑥10分練習で「見れば言える」から「使える」へ
①漢文の再読文字とは?一つの字を二度読む

再読文字とは、漢文を訓読するときに、一つの漢字を二度読む文字です。
たとえば「未」は、「未だ」で一度読み、下の語を読んでから「ず」ともう一度読みます。
「未だ帰らず」なら、「まだ帰らない」という意味ですね。
一度目は返り点をいったん無視して副詞として読み、二度目は返り点に従って戻って読みます。
再読文字が難しく見えるのは、「漢字を二回発音する」というより、一つの字が離れた二つの働きを受け持つからです。
最初の「未だ」が「まだ」という意味を加え、最後の「ず」が打ち消しを完成させます。
書き下し文では、一度目の字を漢字で残し、二度目に返って読む「ず」「べし」「ごとし」などはひらがなで書くのが基本です。
「二度読む字」という名前だけで覚えず、「最初と最後で一組を作る字」と考えると整理しやすくなります。
②まず覚えたい再読文字9字の一覧

高校漢文の基礎として、まずは「未・将・且・当・応・宜・須・猶・盍」の9字を押さえましょう。
教材によって異体字などを加える場合もあるため、最後は学校の教科書や授業プリントの範囲も確認してください。
数だけを見ると多そうですが、読みの型でまとめれば7組です。
将と且、当と応をそれぞれ一組にすると、暗記の負担が軽くなります。
覚える単位は漢字だけでなく、「一度目の読み+二度目の読み+意味」の三点セットです。
「須=すべからく」だけを覚えても、文末の「べし」が出なければ書き下し文は完成しません。
反対に、三点がそろっていれば、読みの問題にも現代語訳にも対応できます。
③読み順は3ステップで考える
再読文字を含む文に出会ったら、勘で語順を入れ替えず、次の3ステップで読みます。
●ステップ1:再読文字を見つけ、一度目の読みをその場で読む
●ステップ2:返り点に従い、下にある語を読む
●ステップ3:再読文字へ戻り、二度目の読みで結ぶ

「未ダレ帰ラ」のような形なら、まず「未だ」、次に「帰ら」、最後に未へ戻って「ず」と読みます。
完成する書き下し文は「未だ帰らず」です。
再読文字では、一度目だけ返り点を無視し、二度目は返り点どおりに戻るのがポイントです。
ここで、最初から「未だ帰らず」を丸ごと知っているから読めた、で終わらせないことが大切です。
初めて見る文でも、再読文字に印を付け、指で読む順番を追えるか確かめてください。
書き下し文にしたら、二度目の「ず」を漢字やカタカナのまま残していないかも確認しましょう。
音読、読む順番、書き下し文の三つを同じ例文で往復すると、ルールがばらばらになりません。
④迷いやすい組は二度目の読みと意味で分ける

再読文字で混ざりやすいのは、最初を「まさに」と読む将・且・当・応です。
最初の読みが同じなので、二度目に注目します。
将・且は「〜んとす」で、今にも動作が起こりそうな近い未来を表します。
当・応は「〜べし」です。
ただし、当は「当然〜すべきだ」、応は「きっと〜だろう」と、現代語訳で役割が分かれます。
「まさに」を見たら、将・且は動き出す「んとす」、当・応は判断を表す「べし」と二度目で分けましょう。
もう一組、宜と須もどちらも「〜べし」で結びます。
宜は「〜するのがよい」という勧め、須は「ぜひ〜する必要がある」という必要性を表します。
訳の強さを機械的に決めすぎず、実際の問題では前後の文脈に合う日本語に整えることも必要です。
同じ読みがある字ほど、漢字単体ではなく、二度目の読みと現代語訳を並べて比べると区別できます。
⑤例文で書き下し文と現代語訳を確認する

一覧を見て言えるようになったら、短い例文で読む動作を確かめましょう。
「未」は「まだ」を訳に入れる
白文の「人未還」は、「人未だ還らず」と書き下します。
現代語訳は「人はまだ帰らない」です。
単なる「帰らない」ではなく、未が持つ「まだ」の意味を落とさないようにします。
「将」は動作が起こる直前
「日将暮」は、「日将に暮れんとす」と書き下します。
意味は「日が今にも暮れようとしている」です。
「暮れるべきだ」ではないので、当・応の「べし」と混同しないようにしましょう。
「当」と「応」は訳で区別する
「当に寸陰を惜しむべし」の当は、当然や義務の気持ちを表します。
一方、「応に故郷の事を知るべし」の応は、「きっと故郷のことを知っているだろう」という推量です。
例文では、再読文字に線を引き、二度目に読む部分を丸で囲んでから、書き下し文と訳を書くと確認しやすくなります。
答え合わせでは正誤だけでなく、「一度目の読み」「二度目の読み」「意味」のどこで止まったかまで見てください。
戻る場所が分かれば、9字全部を最初から覚え直す必要はありません。
⑥10分練習で「見れば言える」から「使える」へ

これまで指導してきた中でも、一覧を長く眺めるだけでは言えた気になりやすく、例文になると手が止まる生徒は少なくありませんでした。
そこで、暗記と問題演習を別の日に分けず、短い時間で一緒に回します。
●3分:一覧を隠し、9字の読みと意味を声に出す
●3分:短い例文で読む順番を指で追う
●2分:書き下し文を書く
●2分:現代語訳を作り、間違えた組だけ印を付ける
翌日は順番を入れ替え、意味から漢字と読みを言えるかも試します。
完成の基準は一覧を見て分かることではなく、初めて見る短文で二度の読みを再現できることです。
返り点そのものがあやふやなら、再読文字だけで粘らず、レ点や一・二点の読み方へ一度戻って大丈夫です。
苦手なのは漢文全体ではなく、読む順番の一段だけかもしれません。
まずは「未だ〜ず」の一文を、何も見ずに読む、書く、訳すところから始めてみましょう。
一字が二役をする仕組みさえ見えれば、再読文字は怖い例外ではなく、決まった型で処理できる得点ポイントになりますよ!




●未:いまだ〜ず/まだ〜しない
●将・且:まさに〜んとす/今にも〜しようとする
●当:まさに〜べし/当然〜すべきだ
●応:まさに〜べし/きっと〜だろう
●宜:よろしく〜べし/〜するのがよい
●須:すべからく〜べし/ぜひ〜する必要がある
●猶:なほ〜ごとし/ちょうど〜のようだ
●盍:なんぞ〜ざる/どうして〜しないのか、〜したらどうか