

帰国子女なら、TOEICは準備なしでも満点に近いですよね?英語が体に入っていそうです!

英語は入っていても、TOEICの時間配分までは自動で入ってこないんです(笑)。聞ける力は大きな強みですが、それだけで点数は決まりません。

では、帰国子女という肩書きより、実際に問題を解いて確かめるほうが先なんですね。

その通り!使う目的を決めて、公式問題で「聞く・文法・読む速さ・時間」のどこが止まるかを見れば、必要な対策がはっきりしますよ。
【今回の真実】
帰国子女だからTOEICで一律に何点取れる、とは言えません。会話や聞き取りの経験は強みになりますが、語彙・文法・読解速度・試験形式への慣れは別に確認し、受験目的から必要スコアを決めるのが先です。
①帰国子女でもTOEICの点数は一律ではない
②TOEICで生きる強みと見落としやすい弱点
③受験目的から必要なテストと点数を確認する
④公式問題で弱点を4つに分ける
⑤弱点別にTOEIC対策を変える
⑥スコアと英語力維持を両立する
①帰国子女でもTOEICの点数は一律ではない

まず一番知りたいところからお答えします。
帰国子女ならTOEICで○点取れる、という共通の目安はありません。
海外で過ごした国、年齢、期間、通った学校、帰国後に英語を使っている頻度が一人ひとり違うからです。
英語圏の現地校で長く学んだ人と、日本人学校を中心に生活した人を「帰国子女」という一語で比べることはできません。
TOEIC公式が公開しているデータにも、帰国子女だけを切り出した平均スコアは見当たりません。
ですから、ネット上の「帰国子女で900点」「帰国子女だから満点」という個人例を、自分の基準にしなくて大丈夫です。
もし最初のスコアが思ったより低くても、海外で過ごした経験や身につけた英語が否定されたわけではありません。
TOEICという一つの形式に、まだ慣れていない部分が見つかっただけです。
むしろ大切なのは、帰国経験の看板ではなく、いまの自分がTOEICのどの問題を解けるかです。
一度も本番形式を解かずに目標点を置くと、できる所まで勉強し直したり、必要な弱点を後回しにしたりします。
最初の一回は点数を競う試験ではなく、勉強する場所を見つける診断だと考えましょう。
②TOEICで生きる強みと見落としやすい弱点

ここでは、一般的に受験機会の多いTOEIC Listening & Reading Test、いわゆるTOEIC L&Rを扱います。
TOEIC L&Rは、リスニング約45分・100問とリーディング75分・100問を合わせ、約2時間で200問に答える試験です。
問題は英文だけで構成され、和訳や英作文はありません。
帰国経験が強みになりやすい所
会話の流れを自然につかむ力、英語の音をかたまりで聞く力、前から意味を取る感覚は、リスニングで大きな強みになります。
一語を聞き逃しても、場面や話者の意図から補える人も多いでしょう。
点数を落としやすい所
一方で、TOEICには日常会話だけでなく、予定表、メール、広告、社内連絡などの文書が出ます。
自然に話せても、品詞や文の形を問う問題では「なんとなくこちら」から先へ進めないことがあります。
さらに、読む量が多いため、正確に読めても時間内に終わらなければ点数になりません。
会話力が高いことと、TOEICの形式で速く正解を選べることは同じではないのです。
私が指導で見かけるのも、音声はよく聞けるのに短文の文法で理由を言えず、最後の長文が残るタイプです。
これは英語力がないのではありません。
持っている英語を、試験の形で出す練習がまだ足りないだけです。
③受験目的から必要なテストと点数を確認する

TOEICを受ける理由は、大きく分けると進学、就職、現在地の確認の3つです。
目的によって、必要なテストも点数も変わります。
帰国生入試で使うなら、目標点を決める前に志望校の最新募集要項を開いてください。
たとえば東京理科大学の2027年度帰国生入学者選抜では、TOEIC L&RとTOEIC S&Wの両方が必要で、S&Wを2.5倍してL&Rと合算した1150点以上が出願条件です。
同要項ではIPテストのスコアは認められていません。
これはあくまで一大学の一年度の例です。
大学や学部が変われば、必要な資格、点数、有効期間、証明書の出し方も変わります。
ブログの一覧表だけで決めず、必ず自分が出願する年度の公式要項まで確認しましょう。
要項の言葉が分かりにくければ、自己判断で置き換えず、大学の入試窓口へ確認するのが一番確実です。
英語力の維持や現在地の確認が目的なら、最初から高い点数を掲げなくても構いません。
まず一回分を解き、次回までに直す弱点を一つ決めるほうが、学習が具体的になります。
④公式問題で弱点を4つに分ける
教材を買い足す前に、TOEIC公式サイトのサンプル問題で形式を確かめ、その後、公式問題集を使って本番と同じ順番で一回分に取り組みましょう。
最初から約2時間を確保できなければ、リスニングとリーディングを別日に分けても大丈夫です。
ただし、リーディングは75分を測り、どこまで進めたかを残してください。
答え合わせでは、間違えた問題に次の印を付けます。
●音:聞き取れなかった
●語・文法:単語や文の形を知らなかった
●読解:読めたが根拠を取り違えた
●時間:考えれば解けるが間に合わなかった

正解した問題にも、たまたま当たったものには印を付けます。
偶然の正解を「できた」に入れると、診断がぼやけてしまうからです。
合計点だけでなく、最初に崩れた種類と、時間切れになった位置を記録しましょう。
リスニングが強くても、Part5で時間を使いすぎてPart7が残るなら、重点は聞き取りではありません。
反対に長文を速く読めても、会話の意図を落としているなら、音声と設問の先読みを優先します。
帰国子女向けという名前の教材を探すより、この4分類から自分向けの勉強を作るほうが早いですよ。
⑤弱点別にTOEIC対策を変える

診断で一番多かった印を、まず一週間の重点にします。
全部を同時に直そうとすると、どの勉強が効いたのか分からなくなります。
「音」が多い人
間違えた音声を一文ずつ止め、英文を見て意味を確認した後、音声に重ねて読みます。
聞き流すだけでなく、聞こえなかった音がどの単語だったかまで戻りましょう。
「語・文法」が多い人
正解の選択肢だけを覚えず、「名詞が必要」「時制が合わない」など、他の選択肢が違う理由を短く言います。
感覚で英語を身につけた人ほど、この言語化が得点を安定させます。
「読解」が多い人
本文の根拠に線を引き、設問の言葉が本文でどう言い換えられているかを確かめます。
全文を日本語に訳すより、誰が、何を、いつまでにするのかを拾う練習が有効です。
「時間」が多い人
一問ごとの速さより、Part5・6を終える時刻とPart7に入る時刻を決めます。
迷った問題で止まり続けず、印を付けて先へ進む練習も必要です。
弱点を一つ直したら、同じ形式を時間を測って解き直し、正答と速さの両方が変わったかを見ます。
⑥スコアと英語力維持を両立する

TOEIC L&R対策は、聞く力と読む力を点数にするうえで役立ちます。
しかし、L&Rには自分で話す問題や書く問題はありません。
帰国後の英語を維持したいなら、TOEIC対策だけで一週間を埋めないことも大切です。
●平日3日:弱点別のTOEIC練習
●平日2日:英語で短い日記や独り言
●週末1日:時間を測った問題演習
●週末1回:会話や発表など、人に伝える英語
これは全員共通の時間割ではありません。
部活や学校課題に合わせ、回数を減らしてもよいので、聞く・読むだけに偏らない形を残します。
初・中級段階でTOEIC L&Rの約2時間・200問が重すぎる場合は、公式が初・中級者向けとするTOEIC Bridge L&Rから始める選択肢もあります。
大事なのは、難しい試験に早く挑むことではなく、目的に合う物差しで伸びを確認することです。
帰国経験を証明するためではなく、その経験で得た英語を次の進学や仕事へつなぐためにTOEICを使いましょう。
帰国子女だからできて当然、と自分を追い込む必要はありません。
公式問題を一回解き、最も多かった印を一つ直す。
そこから始めれば、いま持っている英語力をきちんとスコアへ変えられますよ!




●何の出願・応募に使うのか
●TOEIC L&Rだけでよいのか、Speaking & Writingも必要か
●公開テストとIPテストのどちらが認められるか