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勉強お役立ちコラム

得は漢文で「う」と読む!手に入れると可能の見分け方3手順

漢文の「得」から、手に入れるという本動詞の意味と、〜することができるという可能の意味の2方向へ矢印が伸びる図

ステコ
ステコ

漢文の「得」って、つい「とく」と読みたくなります。得点の「得」ですし……得した気分で読んではダメですか?


野口先生
野口先生

残念ながら、読み方までお得にはなりません(笑)。漢文では、まず「う」と読んで考えよう。


ステコ
ステコ

「う」だけですか?短すぎて、見落としそうです!


野口先生
野口先生

だからこそ、字だけでなく後ろを見るんだ。「何を得たのか」「何ができるのか」を分ければ、かなり読みやすくなるよ!

【今回の真実】

漢文の「得」は、「手に入れる」と「〜することができる」の2方向で考えます。後ろが名詞なら本動詞、動作なら可能を疑い、返り点と文脈で確定すれば、「得ず」「得ば」に形が変わっても迷いません。

 

①得は漢文で「う」と読む!意味はまず2つ

廊下のベンチで漢文の本を開き、「得」の読み方で手が止まって考え込んでいる高校生

漢文の「得」は、基本的に「う」と読みます。

音読みの「トク」や、現代語の「える」だけで考えると、書き下し文で手が止まりやすい字です。

そして「得」には大きく分けて、何かを手に入れる本動詞と、「〜することができる」という可能の用法があります。

得の2つの中心的な意味

●本動詞の得=得る、手に入れる
●可能の得=〜することができる

最初から細かな意味をすべて暗記する必要はありません。

高校漢文の問題では、まずこの2方向に分けるだけで、かなり整理できます。

大切なのは「得」という一字をじっと眺めることではなく、その後ろに何が続くかを見ることです。

後ろが物・人・機会などの名詞なら本動詞、後ろが動作なら可能を最初の仮説にしましょう。

ただし、これは即決のボタンではありません。

最後は返り点、送り仮名、前後の文脈まで見て確定します。

 

②後ろが名詞なら「手に入れる」の得

図書室の書棚から本を手に取る高校生。「書を得」のように名詞を手に入れる本動詞の得のイメージ

まずは、本動詞の「得」から見ていきましょう。

学習用の短い例として「得金」なら、書き下しは「金を得」、現代語訳は「金を手に入れる」です。

「金」は物の名前ですから、得の目的語となる名詞を先に出して「〜を得」と読むわけですね。

「得其時」なら、「其の時を得」と読みます。

この場合も、手に入れるものは「其の時」、つまり機会です。

形のある物でなくても、人・地位・方法・機会などを得るなら、本動詞として考えられます。

本動詞を見つける質問

迷ったら、次のように自分へ聞いてみてください。

「何を手に入れたの?」

この質問に、得の後ろの語で自然に答えられるなら、本動詞である可能性が高いです。

たとえば「得金」なら「金を」、「得其時」なら「その機会を」と答えられます。

「何を?」の答えが置けるかを見ると、意味をつかみやすくなりますよ!

 

③後ろが動作なら「〜することができる」の得

次は、可能を表す「得」です。

可能を表す「得」は、後ろの動作を先に読んで「〜するを得」と返る形が基本です。

『論語』の「得見君子者」は、「君子なる者を見るを得ば」と読み、「君子に会うことができれば」という意味です。

白文では「得」が「見」より先にありますが、日本語では「見る」を先に出して、あとから「得ば」へ戻ります。

可能の得の読み方

白文:得見君子者
読むまとまり:君子なる者を/見るを/得ば
意味:君子に会うことができれば

ここで注意したいのは、「得」を二度読まないことです。

「得」は一度だけ読み、二度読む再読文字ではありません。

下の動作を先に読んでから上へ返る「返り読み」だと考えましょう。

可能の得は下の動作を先に読んでから「得」へ返って読む、返り読みの順番を矢印で示した図解

なお、本文に訓点が付いているなら、まずその返り点と送り仮名に従います。

自分の知っている型へ無理に押し込まず、訓点と文脈の両方が合うかを確認してください。

 

④不得と不得不は否定の数まで見る

本文に二枚の付箋を貼り、「不」がいくつあるかを数えながら不得と不得不を読み分けている中学生

テストで特に迷いやすいのが、「不」と組み合わさった形です。

「不得入」なら「入るを得ず」と読み、「入ることができない」という意味になります。

これは、可能の得を一つの「不」で打ち消した形です。

また、「不得已」は「已むを得ず」=やめることができない、仕方がないと読みます。

では、「不得不学」はどうでしょうか。

これは「学ばざるを得ず」と読み、「学ばないことはできない」、つまり「学ばなければならない」という意味です。

不が二つあるため、結論は単純な「できない」ではありません。

否定の数を確認

不得A=Aするを得ず=Aできない
不得不A=Aせざるを得ず=Aしなければならない

字面がよく似ているので、勢いで訳すと反対の意味になってしまいます。

「不が何を打ち消しているか」を内側から確認するのがコツです。

ただし、「得」の後ろが名詞なら「得られない」という本動詞の否定もあり得ます。

「不得」を見ただけで可能と決めず、やはり後ろの語まで見ましょう。

 

⑤得ば・得ずで迷わない活用と能・可との違い

机の上で鍵と石とカードを並べ、得・能・可それぞれの「できる」の違いを比べている生徒の手元

「う」と覚えたのに、本文では「得ば」「得ず」「得る」と形が変わるので混乱することがあります。

「得」は文語のア行下二段活用で、得(え)・得(え)・得(う)・得る・得れ・得よと活用します。

答案でよく見る形

得ず=できない、または手に入れない
得ば=できれば、または手に入れれば
得る時=できる時、または手に入れる時

「得ば」は、已然形の「得れ」に接続助詞「ば」が付いた形で、訓読では「得ば」と表されることがあります。

模試の採点資料でも、「其の時を得ば」のような形が使われています。

能・可とどう違う?

可能に関係する字として、「能」や「可」もよく出てきます。

大まかには、「能」は能力があってできる、「可」は許可・可能・当然、「得」は条件や機会が整ってできる、という方向で整理できます。

ただし、実際の訳は文脈で重なることもあります。

まず読み方を「能く」「べし」「〜するを得」に分け、その後で文脈に合う日本語へ直すと安全です。

学校の教科書や先生から指定された書き下しがある場合は、そちらを優先してくださいね。

 

⑥3手順で判定!確認問題に挑戦

最後に、初めて見る文での判定手順をまとめます。

この記事では、後ろを見る→意味を仮置きする→返り点と文脈で確定する、の3手順で判定します。

得を判定する3手順

①得の後ろが名詞か、動作かを見る
②名詞なら「手に入れる」、動作なら「できる」を仮置きする
③返り点・送り仮名・前後の意味が全部合うか確認する

得の後ろを見る、意味を仮置きする、返り点と文脈で確定するという3手順の判定の流れを示した図解

では、学習用の短い3問に挑戦してみましょう。

●問1 得書

●問2 得見友

●問3 不得不学

問1は「書を得」、本を手に入れるという本動詞です。

問2は「友を見るを得」、友に会うことができるという可能です。

問3は「学ばざるを得ず」、学ばなければならないという意味になります。

3問とも、最初に得の後ろを見ると判断しやすくなりますね。

もし間違えたら、「読みを忘れた」で終わらせないでください。

名詞と動作の見分け、返る順番、否定の数のどこで止まったかを分ければ、戻る場所がはっきりします。

漢文は、一字の意味を丸暗記するより、文の中での役割まで説明できるようにすることが大切です。

「得」は短い字ですが、後ろを見る習慣を身に付けるにはちょうどよい教材です。

まずは教科書の本文から「得」を一つ探し、今回の3手順で判定してみましょう!

 

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