整数問題の良問はどれ?高校入試・大学入試別の選び方と4つの着眼点

明るい図書館の書棚で、私服の高校生が自分のレベルに合う数学の問題集を1冊選び出している様子
ステコ
整数問題の良問を探したら、難しそうな問題が無限に出てきました。整数だけに終わりがないんでしょうか……。
野口先生
整数は無限でも、受験勉強に使う問題は絞って大丈夫です(笑)。難しさより「何を学べるか」で選びましょう。
ステコ
解けずに一日終わる超難問より、次にも使える考え方が残る問題ですね。
野口先生
その通り!高校入試と大学入試に分けて、良問の探し方と力に変える解き方を整理します。

【今回の真実】

整数問題の良問とは、ただ難しい問題ではなく、因数分解・余り・範囲の絞り込みなどの着眼点を一つ増やせる問題です。高校入試と大学入試では必要な知識が違うため、自分の受験段階に合う問題を選び、解法を白紙から再現してこそ力になります。

 

①整数問題の良問は「解法が一つ増える問題」

塾の面談テーブルで、講師が着眼点を示した1枚のカードを指さし、私服の高校生が気づいた表情で聞いている場面

「良問」と聞くと、ものすごく難しく、鮮やかな発想が必要な問題を想像するかもしれません。
しかし、受験勉強で本当に役立つ良問は、解いた後に別の問題へ持っていける考え方が残ります。

良問を選ぶ基準は、難易度ではなく「この1問で何の見方を練習できるか」です。

たとえば、式を積の形にする問題、余りで分類する問題、整数だからこそ候補を有限個に絞れる問題です。
解説を読んで「すごい解き方だった」で終わる問題より、「次に似た条件を見たら、まずこれを試そう」と言える問題を優先しましょう。

ここで注意したいのが、「整数問題 良問」という検索語には高校入試と大学入試の両方が出てくることです。
中学生が合同式や高度な数論まで追いかけたり、高校生が中学範囲の計算問題だけを続けたりすると、頑張っているのに対策がずれます。

まず自分の目的を、難関高校入試の対策か、大学入試の数学対策かに分けてください。
そのうえで、基本問題を自力で解ける段階にあるかも確認します。

 

②高校入試向けの良問は3段階で選ぶ

放課後の明るい教室で、制服の中学生がホワイトボードに3枚の色違いカードを易しい順に並べ、段階を追って問題を選ぶ様子

高校入試向けなら、最初から最難関校の大問へ飛び込む必要はありません。
次の3段階で、一段ずつ上げると選びやすくなります。

第1段階:式変形で候補を絞る問題

平方の差を因数分解し、積になる整数の組を調べる問題が入口です。
2019年の西大和学園高校の問題を扱った上位記事では、式を因数分解して2019の約数の組へ落とし込み、最後に問題の条件に合う整数だけを残しています。

この問題で身につけたいのは答えそのものではなく、「二乗の差を見たら積へ変える」という最初の一手です。

第2段階:範囲や規則性を使う問題

次は、因数分解だけで決まらず、不等式で値の範囲を狭めたり、並べた数の周期を見つけたりする問題です。
上位記事では、2020年の東大寺学園高校、2018年の開成高校の問題がこの段階の演習例として扱われています。

第3段階:複数の見方をつなぐ問題

仕上げは、式変形の途中で整数条件を使い、候補をすべて検討する総合問題です。
2021年の灘高校の大問3を扱った解説では、式を因数分解して積が4になる組まで絞り、各候補が元の条件を満たすか確かめています。

学校名だけで怖がらなくて大丈夫です。
難関校の名前を見るだけで、問題を開く前から負けた気分になることもありますよね。
でも大問を完答できなくても、「最初の式変形はできた」「候補を並べる所まで進めた」と、今回得る技術を一つに絞れば立派な演習になります。

 

③大学入試向けは典型から総合問題へ進む

大学図書館風の自習スペースで、私服の高校生が分野別教材と総合問題集の2冊を見比べて選んでいる場面

大学入試向けでは、教科書の例題を解けることを出発点にします。
現行の高等学校学習指導要領解説では、数学Aの「数学と人間の活動」で、整数の約数や倍数、ユークリッドの互除法、二進法などを扱うとされています。

まずは約数・倍数、最大公約数、余りによる分類を説明できる状態にしましょう。
その後で入試問題へ進むと、解説に出てくる道具の意味が見えやすくなります。

無料で1問試したいなら、2005年の東京大学の整数問題を解説したページが候補です。
積の形、素因数分解、場合分けという基本的な着眼点を一つの問題で確認できます。

整数分野だけをまとめて演習したい人は分野別教材、数学全体を仕上げたい人は総合問題集を選ぶと、教材が増えすぎません。

河合出版の『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 整数-改訂版-』は、高2・高3を対象とし、入試問題約2000題から例題・類題・力だめし問題の計83題を選んだ分野別教材です。
整数だけを順序立てて練習したい人に向いています。

旺文社の『数学の良問問題集』改訂版は、数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・Cの入試問題307問を3段階に分け、第4章に整数の性質を収録しています。
他分野も含めた実戦演習の中で整数を鍛えたい人向けです。

どちらも、基礎事項があいまいなまま「良問」という名前だけで選ぶと重く感じます。
購入前に見本を見て、最初の段階の問題なら半分ほど方針が立つかを確認しましょう。

 

④最初に試したい4つの着眼点

整数問題は、使える公式を探し回るより、条件を別の形へ翻訳することが大切です。
問題を読んだら、次の4つを順番に試してください。

●積の形:二乗の差や共通因数を使って因数分解できないか
●余り:2、3、4などで割った余りごとに分類できないか
●範囲:正負や大小関係から、整数の候補を有限個にできないか
●約数・最大公約数:互いに素、倍数、割り切れるという条件を言い換えられないか

整数問題で最初に試したい4つの着眼点(積の形・余りによる分類・値の範囲・約数と最大公約数)が中央の整数のマス目に集まることを示した図解

「整数だから、値と値の間に飛び石がある」という感覚を持つと、候補を絞りやすくなります。

たとえば、ある整数が1より大きく2より小さいと分かったら、候補は存在しません。
実数なら幅がある不等式でも、整数条件が付くと一気に結論が出ることがあります。

ただし、4つを全部使う必要はありません。
問題文の条件を見て一つ試し、進まなければ次へ移るためのチェックリストです。

 

⑤良問を力に変える3ステップ

明るいカフェの窓際で、私服の高校生が紙に矢印を書き足しながら解法の方針を作り直している場面

良問は、解説を読んだ回数ではなく、自分で方針を作り直した回数で身につきます。
次の3ステップで取り組みましょう。

1.手を動かして条件を言い換える

いきなり正解の解法を当てようとせず、具体的な数を入れる、因数分解する、余りを書き出すなど、分かる所から始めます。
何も書かずに考え続けるより、自分が試した方針が紙に残るので、解説との差を見つけやすくなります。

2.解説は「最初の分岐」を探して読む

解説の計算を上から写すだけでは、次の問題でまた止まります。
自分の答案と比べて、「どの条件に注目した時点で方針が分かれたのか」を一言で書きましょう。

たとえば「二乗の差を積にする」「割り切れる条件を素因数へ直す」で十分です。

3.翌日、白紙から解き直す

解説を閉じ、式変形の理由を言葉にしながら再現します。
答えを覚えていても、途中の理由が説明できなければ、まだ自分の解法にはなっていません。

再現できたら、ノートには問題全文ではなく「使った着眼点」と「見落とした条件」を残しましょう。
似た問題に出会ったとき、短時間で振り返れます。

 

⑥解けないときは答案の止まった場所を見る

白い答案用紙に書かれた鉛筆の線が途中で止まり、その止まった位置が赤鉛筆で丸く囲まれている机上の接写

指導していると、解説を読んだ直後は分かったのに、翌日に白紙から始めると手が止まる生徒さんは珍しくありません。
これは数学の才能がないのではなく、「解説を理解すること」と「方針を自分で選ぶこと」が別の作業だからです。

そこで、解けなかった問題は次のどこで止まったかを確認します。

●用語や公式が分からなかった
●因数分解などの計算ができなかった
●使う知識は分かったが、最初の方針を選べなかった
●候補を出した後、条件の確認が抜けた

知識で止まったなら教科書へ戻り、方針で止まったなら着眼点だけ見て再挑戦します。
最後の確認が抜けたなら、問題文の条件へチェックを付ける習慣を作りましょう。

解けなかった理由が分かれば、「自分は整数問題が苦手」という大きすぎる悩みが、「因数分解を復習する」「余りで分ける発想を練習する」という今日できる課題に変わります。

良問をたくさん集めるより、選んだ1問から「次に使う一手」を持ち帰ることが整数問題を得意にする近道です。

まずは自分の受験段階に合う問題を1問だけ選び、積・余り・範囲・約数のどれが使えそうか、紙に書くところから始めてみてください。
解けなかった1問も、止まった場所が分かれば、次へ進むための立派な教材になりますよ!