



【今回の真実】
中学の成績は、テストの点だけでなく「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点を評価し、最後に5段階へまとめます。ただし、材料の配分や評定へのまとめ方は学校が定めるため、自校の説明を確認することが大切です。
①中学の成績は3観点から5段階評定になる
②3観点では何を見られている?
③テスト・提出物・授業はどう使われる?
④評定の換算表が学校ごとに違う理由
⑤自分の成績の付け方を確かめる3手順
⑥次の評定へつなげる動き方
①中学の成績は3観点から5段階評定になる
通知表の数字だけを見ると、「この点数で、なぜこの評定?」とモヤモヤしますよね。
でも、仕組みを順番にたどると、見る場所はかなりハッキリします。
最初に、成績ができる流れを一本につなげましょう。
中学校の必修教科では、教科ごとの目標にどこまで到達したかを3つの観点で見て、観点別の評価を付け、それを総括して1〜5の評定にします。
●授業や単元で、テスト・課題・発表などの評価材料を集める
●「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」を観点ごとに評価する
●観点別評価を総括して、教科の評定を1〜5で示す
文部科学省の指導要録に関する資料では、観点別評価はA・B・Cの3段階、評定は5・4・3・2・1の5段階で示されています。
評定5は「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」、3は「おおむね満足できる」、1は「一層努力を要する」状況です。
つまり、テストの点をそのまま5段階へ割り振る仕組みではありません。
まず観点ごとに学習の状況を捉え、その後で教科全体の評定へまとめる二段階なのです。
また、今の評定は「クラスの上位何%を5にする」という人数枠ではなく、教科の目標への到達状況を見る目標準拠評価です。
友達より上か下かだけで決まるわけではありません。
②3観点では何を見られている?
知識・技能
習った用語や公式、手順などを理解し、使えるかを見る観点です。
定期テストや小テストのうち、基礎知識や技能を確かめる問題は大切な材料になります。
ただ覚えたかだけでなく、別の場面でも使える形で身に付いているかまで見られます。
思考・判断・表現
身に付けた知識や技能を使い、理由を考え、選び、説明できるかを見る観点です。
記述問題、資料の読み取り、レポート、発表、話し合い、作品などが材料になり得ます。
「答えは合っているけれど、理由を書けない」という状態では、この観点に課題が残ることがあります。
主体的に学習に取り組む態度
ここは誤解されやすいところです。
国の資料では、目標へ向けて粘り強く取り組むことと、その途中で自分の学び方を調整しようとすることの両面から評価するとされています。
ですから、「手を何回挙げたか」「ノートがきれいか」だけで決める観点ではありません。
間違いを振り返って方法を変えたか、課題を改善して再提出したかなど、学びを前へ進める姿も大事です。
③テスト・提出物・授業はどう使われる?
同じ評価材料でも、一つの観点だけに使われるとは限りません。
たとえば定期テストには、知識を問う問題も、理由や考え方を問う問題もあります。
前者は主に知識・技能、後者は思考・判断・表現の材料になります。
提出物も「出した・出さない」だけではありません。
ワークの正答状況は知識・技能、レポートの考察は思考・判断・表現、振り返りと修正の過程は主体的に学習に取り組む態度というように、中身に応じて見られます。
授業でも、実験、実技、スピーチ、話し合い、作品づくりなど、教科の目標に合った場面が評価材料になります。
国立教育政策研究所も、毎回の授業で3観点すべてを記録するのではなく、単元や題材のまとまりの中で、実現状況を把握できる場面を選ぶことが重要だと示しています。
成績を知りたいときは「テスト何点なら4?」だけでなく、「この教科は何を、どの観点で見ている?」と考えるのが正解です。
レポート・記述・発表・作品=考えを組み立てて表す状況
振り返り・修正・学習カード=粘り強さと学び方の調整
※実際の対応は教科・単元・学校の評価計画で異なります。
④評定の換算表が学校ごとに違う理由
ネット上では「AAAなら5」「AABなら4」といった表を見かけます。
しかし、その表を自分の学校へそのまま当てはめるのは危険です。
文部科学省は、評定の適切な決定方法を各学校で定めるとしています。
教科や単元によって評価場面が異なるため、全国共通の点数境界やA・B・Cの組み合わせ表はありません。
実際に、学校公式サイトで観点ごとの達成度や評定の基準を公表している中学校もあります。
一方で、年度初めの教科説明資料や評価計画を生徒へ配り、ウェブ上には載せていない学校もあります。
だからこそ、同じテスト点でも必ず同じ評定になるとは言えず、自校の評価規準と評価方法が答えになります。
これは先生が気分で決めてよいという意味ではなく、学校内で規準や方法を明確にし、組織的に評価するということです。
なお、通知表の評定を高校入試でどう点数化するかは、都道府県や選抜方法で別に決まります。
今回は中学校内で評定ができるまでを扱い、入試用の換算内申は分けて考えます。
⑤自分の成績の付け方を確かめる3手順
では、手元の成績について「なぜこの評定なの?」と思ったときは、次の順で確かめてみましょう。
手順1 学校の評価資料を探す
年度初めの教科ガイダンス、シラバス、評価計画、学校ウェブサイトを確認します。
教科ごとの評価規準、使う材料、評価時期が書かれていることがあります。
手順2 通知表と返却物を観点別に並べる
通知表のA・B・C、定期テスト、小テスト、ワーク、レポート、学習カードを並べます。
合計点だけでなく、知識問題、記述、振り返りのどこに弱さがあるかを見ます。
手順3 教科担当へ具体的に聞く
「なぜ3なんですか?」だけでは、質問が広すぎて答える側も困ります。
「4へ上げるには、3観点のどこを、次のどの課題で改善すればよいですか?」と聞きましょう。
責めるためではなく、次の行動を決めるための質問です。
生徒本人が聞きにくければ、保護者会や三者面談で確認しても大丈夫ですよ。
⑥次の評定へつなげる動き方
私が生徒さんの成績を一緒に見るときも、いきなり「もっと勉強しよう」とは決めません。
よくあるのは、テストの勉強だけを増やしているのに思考・判断・表現の記述が空いたまま、あるいは提出だけ急いで中身の直しが残ったままという状態です。
この場合、まず責めるべきは努力不足ではありません。
努力を向ける観点がずれているだけなら、直す場所がわかった瞬間から動き方を変えられます。
まず一教科に絞り、弱い観点と、次に評価される材料を一つ結び付けます。
●知識・技能なら、間違えた基本問題を答えなしで解き直す
●思考・判断・表現なら、理由や根拠まで書いて先生に確認する
●主体的に学習に取り組む態度なら、振り返りを次の修正へつなげる
評定の数字だけを追うより、「次は何をできるようにするか」を一つ決めたほうが、成績は動きやすくなります。
通知表は、お子さんの価値を決める判決ではありません。
今の学習で、どこができていて、どこを次に直すかを知らせる資料です。
付け方がわかれば、やみくもに不安になる必要はありません。
学校の規準を確認し、一教科・一観点・一つの評価機会から、落ち着いて次の一歩を始めていきましょう!









