

模試の偏差値が下がりました……。前回の私より、今回の私は弱体化したのでしょうか?

ゲームの能力値のように決めつけなくて大丈夫です。まず、同じ条件で比べられる数字かを確認しましょう。

条件ですか?偏差値はどの模試でも共通の物差しだと思っていました。

そこが今回の大事なところです。偏差値は便利ですが、物差しごと持ち替えたら数字だけでは比べられないんですよ。
【今回の真実】
模試の偏差値は、今回の受験者集団の中での位置を示す数字です。平均50だけで良し悪しを決めず、同じ模試の目標値と照合し、教科別・設問別の結果から次に直す一つを決めると役立ちます。違う模試の数字をそのまま比べないことも大切です。
①模試の偏差値は今回の受験者の中での位置
②同じ点数でも偏差値が変わる理由
③比べてよい偏差値・いけない偏差値
④模試の成績表は4か所を順に読む
⑤偏差値が下がったときに確認すること
⑥偏差値を次の一週間へつなげよう
①模試の偏差値は今回の受験者の中での位置

結論からお伝えしましょう。
偏差値は、平均点を取った人を50として、同じ模試を受けた集団の中で自分がどの位置にいるかを表す数字です。
偏差値50なら、その模試の受験者の平均と同じ位置です。
60点を取ったから偏差値60、80点を取ったから偏差値80、という意味ではありません。
また、偏差値は頭の良さを固定する数字でも、将来を決める数字でもありません。
「この実施回の、この科目を受けた人たちの中での現在地」と考えると、ずっと分かりやすくなります。
ここを理解すると、偏差値50を超えたかどうかだけで、自分の全部を評価する必要はないと分かります。
志望校によって必要な位置は違いますし、今後の勉強で位置も変わるからです。
最初に見るべきなのは、偏差値の高さだけではなく、「誰と比べた、どの模試の数字か」です。
②同じ点数でも偏差値が変わる理由

偏差値の計算式は、次のようになっています。
標準偏差という言葉は少し難しく見えますが、得点がどれくらい散らばっているかを示す数字です。
標準偏差は得点の散らばり具合を示す数字で、平均点と同じく模試や科目によって毎回変わります。
ですから、自分が同じ70点を取っても、平均点が高い回と低い回では偏差値が変わります。
平均点が同じでも、受験者の得点が平均付近に集まった回と、広く散らばった回では数字が変わります。

点数だけを見て「前回より10点上がったから、偏差値も必ず上がる」とは言えないんですね。
反対に、点数が少し下がっても、難しい回で全体の平均も下がっていれば偏差値が上がることがあります。
計算式を暗記する必要はありません。
「点数だけでなく、平均点と得点の散らばりも使う」と分かれば十分です。
③比べてよい偏差値・いけない偏差値

偏差値は、条件が近いときに力を発揮する物差しです。
目安として、次の項目をそろえて比べましょう。
●同じ実施会社・同じシリーズの模試
●同じ学年や受験学年
●同じ科目、または同じ科目構成の総合偏差値
●記述型・マーク型など、近い形式
特に大切なのは、志望校の目標偏差値と自分の偏差値を、同じ模試の資料で照合することです。
進研模試で取った偏差値を、別会社の模試が出した大学の目標偏差値へそのまま当てはめる、といった比べ方はできません。
なぜなら、模試が違えば受験者の集まりが変わるからです。
さらに、模試が違えば、受験者の集まりだけでなく、総合偏差値の集計方法まで異なる場合があります。
中学校で受けた地域模試と、高校で全国の高校生が受ける模試を比べる場合も同様です。
数字が下がって見えても、急に学力が落ちたとは限りません。
別会社の模試同士/中学時代と高校時代/1教科と3教科総合/本人の模試偏差値と出典不明の学校偏差値
条件が違う数字に換算表を当てるより、成績表に載っている志望校判定と、その模試専用の目標値を見ましょう。
④模試の成績表は4か所を順に読む

ではここから、模試の成績表を読む順番を4段階に整理します。
偏差値だけを丸で囲んで終わりにせず、原因まで一段ずつ降りていきましょう。
1.総合偏差値で全体の位置を見る
まずは受験に使う科目構成と同じ総合偏差値を見ます。
国数英3教科で受験するなら、1教科だけでなく3教科総合が入口です。
2.教科別偏差値で差を見つける
総合が上がった、下がっただけでは理由が分かりません。
英語は維持、数学は上昇、国語は下降というように、教科へ分けます。
3.設問別結果で直す場所を探す
偏差値が低かった教科でも、全単元が苦手とは限りません。
正答率の高い問題を落としたのか、特定単元で連続して失点したのか、時間切れだったのかを答案と一緒に見ます。
4.志望校判定で距離を確認する
判定はゴールの宣告ではなく、現在の結果を志望者データなどへ当てはめた目安です。
判定だけを見て志望校を変える前に、どの教科であと何点を取りたいのかまで確認しましょう。
たとえば全統模試の個人成績では、総合・科目別・志望校別・設問別・成績推移を確認できます。
成績表は「位置を見る紙」で終わらせず、「次に直す問題を選ぶ紙」にすると価値が上がります。
⑤偏差値が下がったときに確認すること

偏差値が下がると、勉強してきたことまで否定された気持ちになるかもしれませんよね。
でも、そこで勉強量をいきなり2倍にするのは少し待ちましょう。
まず、次の順に確認します。
●前回と同じ模試・科目構成か
●素点と平均点はどう動いたか
●下がったのは総合か、特定の教科か
●設問別では、どこで失点したか
同じ条件の模試なら一回の上下より推移を見て、条件が違う模試なら数字を直結させないことが基本です。
多くの生徒の成績表を見てきて感じるのは、総合偏差値だけを見て落ち込み、直しやすい失点を見逃しているケースが少なくないことです。
計算ミスが数問続いたのか、未習に近い単元が出たのかでは、次にやることがまったく違います。
結果が悪かった日は、落ち込むなと言われても難しいですよね。
その日は答案と成績表を一か所に置くだけでも構いません。
翌日、数字ではなく問題を開けば、気持ちを作戦へ切り替えやすくなります。
下がった偏差値そのものを直すのではなく、答案に残った失点原因を直しましょう。
⑥偏差値を次の一週間へつなげよう

最後は、模試の結果を一週間の行動へ変えます。
間違えた問題を、次の3つに分けてみてください。
●知識不足:用語・公式・語彙を知らなかった
●解き方不足:解説を読めば分かるが、自力で方針を作れなかった
●実戦不足:時間切れ、読み違い、計算やマークのミスがあった
知識不足なら該当範囲を短く覚え直し、何も見ずに答えられるか確かめます。
解き方不足なら、解説を読んだあとに閉じ、白紙から手順を再現します。
実戦不足なら、時間を計って近い形式の問題を解きます。
全部を一度に直そうとすると、模試の復習は重たくなります。
まずは正答率が高いのに落とした問題や、次回も出そうな基本問題から、一教科・一単元に絞りましょう。
一週間後に同じ問題を、答えを見ずにもう一度解きます。
できたなら、しっかり前進です。
その模試はもう「悪い結果」だけではありません。
次の得点へ変わる材料になっています。
偏差値はあなたの上限ではなく、次の作戦を考えるための現在地です。
数字に振り回されず、比較条件をそろえ、答案から一つ直す。
そこまでできれば、模試の受けっぱなしは卒業ですよ。




偏差値=(自分の得点-平均点)÷標準偏差×10+50