

高校の通知表を開いたら、数字とアルファベットと単位が並んでいて……。どこから読めばいいのか、迷子になりました。

紙の上で迷子なら、まだ救助しやすいね(笑)。まず評定で全体を見て、3観点で理由を探そう。

では、評定3を見て3秒落ち込む儀式は省略してもいいですか?

もちろん(笑)。落ち込むより、次に変える行動を一つ決めたほうが通知表をずっと上手に使えるよ。
【今回の真実】
高校通知表は、評定の数字だけで良し悪しを決める紙ではありません。評定で全体像をつかみ、3観点、単位・出欠、進路への使われ方を確認して、次の行動を一つ決めるための資料です。
①高校通知表は5手順で読めば迷わない
②評定と3観点は役割が違う
③テストの点数だけでは評定を説明できない
④単位・出欠・所見も確認しよう
⑤大学受験では通知表と調査書を分けて考える
⑥次の評価までに変えることを一つ決めよう
①高校通知表は5手順で読めば迷わない

高校の通知表を受け取ったら、最初に評定の合計や平均を計算したくなりますよね。
数字を見ること自体は悪くありませんが、そこで「良かった」「悪かった」と結論を出すのは少し早いです。
高校通知表は、次の5手順で読むと今の状態と次の課題が整理できます。
●各科目の評定で全体像を見る
●3観点のA・B・Cで評定の背景を探す
●修得単位数や出欠など、学校生活の記録を確認する
●希望する進路で成績がどう使われるか調べる
●次の評価までに変える行動を一つ決める

通知表の様式や載っている項目は、すべての高校で同じとは限りません。
文部科学省も、通知表は生徒や保護者へ学習状況を伝え、その後の学習に役立てるために各学校が工夫して作るものと説明しています。
つまり、他校の通知表やネット上の換算表をそのまま当てはめるのではなく、自分の学校が示している評価規準と見比べることが出発点です。
②評定と3観点は役割が違う

高校の成績には、各教科・科目の学習状況をまとめた「評定」と、その中身を分けて見た「観点別学習状況」があります。
評定は、各科目の学習状況を総括して示す数字です。
国の指導要録では5段階で、5は「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」、4は「十分満足できる」、3は「おおむね満足できる」、2と1は努力を要する状況として整理されています。
一方、観点別学習状況は次の3つです。
それぞれをA・B・Cの3段階で捉え、評定を決める基本的な要素にします。
評定は結果の全体像、3観点は「どの力を次に伸ばすか」を探す手がかりと考えるとわかりやすいでしょう。
なお、「主体的に学習に取り組む態度」は、静かに座っている、たくさん挙手するといった見た目だけの話ではありません。
自分の理解を振り返り、勉強の進め方を調整しようとしたかまで含む観点です。
③テストの点数だけでは評定を説明できない

「定期テストでは友達より高かったのに、なぜ自分の評定は同じなの?」という疑問は、高校生からよく出ます。
これは、定期テストが大切ではないという意味ではありません。
テストのどの問題をどの観点で見るかに加えて、レポート、発表、実技、授業内の課題など、科目に合った複数の材料から学習状況を捉えるためです。
また、観点別評価から評定へまとめる具体的な方法は、各学校が定めます。
ですから、「80点なら必ず4」のような全国共通の点数表はありません。
評定に納得できないときは、先生を問い詰める必要はありません。
次のように、評価材料と改善点を聞いてみましょう。
今回の評定では、3観点のどこが課題でしたか?
次の評価までに、テスト・レポート・授業内課題のどれをどう改善するとよいですか?
「どうしてこの数字なんですか」だけよりも、次の行動へつながる答えをもらいやすくなります。
④単位・出欠・所見も確認しよう

高校では科目ごとに単位を修得し、卒業へ積み上げていきます。
通知表に修得単位数が載っている学校では、評定の数字と一緒に確認しましょう。
ただし、評定2や1が一つあっただけで、全国一律に留年が決まるわけではありません。
単位認定や進級の扱いは学校の規程に関わるため、心配な科目があるなら担任や教科担当へ早めに確認することが大切です。
出欠欄がある場合は、欠席・遅刻・早退の記録に間違いがないかも見ます。
欠席が多いときは、体調や生活上の事情を責める材料にせず、授業で抜けた範囲と、単位認定に必要な手続きを学校へ相談してください。
所見には、数字だけでは見えにくい成長や学校での様子が書かれていることがあります。
評定だけで本人全体を評価せず、単位・出欠・所見まで見て初めて通知表を一枚読んだことになります。
⑤大学受験では通知表と調査書を分けて考える

高校通知表は進路を考える材料になりますが、その紙をそのまま大学へ提出するとは限りません。
大学入試で高校が作成する正式な書類は「調査書」で、通知表とは目的も様式も別です。
調査書には各教科の学習成績や、全体の学習成績の状況などが記載されます。
ただし、その成績が出願条件になるのか、選考材料になるのか、参考資料として扱われるのかは、大学・学部・年度・選抜方式で違います。
「高校1年の通知表は関係ない」「一般選抜なら成績は見られない」と一律には決められません。
受験を考え始めたら、志望大学の最新の募集要項で確認しましょう。
指定校推薦を考えている場合は、大学の条件だけでなく、高校内で推薦者を決める基準もあります。
校内基準は外部へ公開されないこともあるので、進路指導の先生に確認するのが確実です。
一方、思ったより評定が低かったからといって、大学進学の道が閉じたわけではありません。
選抜方式ごとに使われる資料は違うため、今の成績から選べる方法と、これから上げる余地を分けて考えましょう。
⑥次の評価までに変えることを一つ決めよう

通知表を上げたいとき、「次は全部頑張る!」と決める生徒さんは多いです。
気持ちは立派ですが、科目も評価材料も多い高校では、全部を同時に変えようとすると続きにくくなります。
思っていたより低い数字があれば、落ち込むのは自然なことです。
でも、そこで自分を「勉強ができない人」と決めなくて大丈夫ですよ。
まずは一つの科目を選び、3観点のうち一つへ絞ってください。
「知識・技能」が課題なら、テストの間違いを知識不足と解き方不足に分け、授業で扱った問題を何も見ずに解き直します。
「思考・判断・表現」が課題なら、答えだけでなく、理由・途中式・根拠まで自分の言葉で書く練習を増やします。
「主体的に学習に取り組む態度」が課題なら、期限を守るだけで終わらず、振り返りを次の課題でどう直したかまで残しましょう。
1000人以上を指導してきて感じるのは、成績が動き始める生徒さんほど「もっと頑張る」で終わらず、先生に不足を聞き、次の一手を具体的にしているということです。
これは特定の一人だけの成功談ではなく、多くの生徒に共通する傾向です。
今日決めるのは、一科目・一観点・一つの行動で十分です。
高校通知表は判決文ではありません。
次の学期を少し良くするための資料として、上手に使っていきましょう!




知識・技能:学んだ知識や技能を身につけているか
思考・判断・表現:知識や技能を使い、考えたり表現したりできるか
主体的に学習に取り組む態度:粘り強く取り組み、自分の学習を調整しようとしているか