

先生、一年で偏差値を20上げたいです。20を12で割って、毎月1.7ずつ上げれば間に合いますよね?

計算はきれいですが、偏差値はポイントカードのように毎月たまるものではありません(笑)。ただ、一年あれば本気で狙う道筋は作れますよ。

では、今月増えていなくても、すぐ失敗とは限らないんですね。

その通り!同じ模試で現在地を測り、基礎、再現、実戦の順で進めましょう。今日は12か月の使い方を具体的に説明します。
【今回の真実】
一年で偏差値20アップは簡単でも保証できる目標でもありませんが、現在地によっては狙えます。20を月割りせず、同じ模試を基準にして「基礎の穴埋め→標準問題の再現→時間内の得点化」の3段階で進めることが大切です。
①一年で偏差値20上げるのは可能?最初に条件を確認
②20アップを正しく測るため同じ模試を基準にする
③1〜3か月目は答案診断と基礎の穴埋め
④4〜8か月目は標準問題を自力で再現する
⑤9〜12か月目は時間内に得点へ変える
⑥3か月ごとの途中判定で計画を直す
①一年で偏差値20上げるのは可能?最初に条件を確認
まず結論から言うと、一年で偏差値20上げることは不可能ではありませんが、誰でも必ず届く目標ではありません。
同じ20アップでも、現在の偏差値、受験科目、残っている基礎の穴、使える時間によって難度が大きく変わるからです。
たとえば、習った内容を忘れていて基礎問題を落としている人は、戻って学び直すことで回収できる点がたくさんあります。
一方、すでに基礎問題をほぼ取れている人は、応用問題や時間配分で上位の受験者を追い越す必要があります。
「今が低いから無理」「一年あるから大丈夫」と、偏差値だけで決めることはできません。
最初に確認したいのは、次の4点です。

志望校の合格可能性は、偏差値だけで決まるわけではありません。
過去問の得点、内申や評定、入試科目と配点も確認し、必要なら「偏差値20」ではなく「合格に必要な科目であと何点」と目標を置き直しましょう。
大きな数字に気合いを入れる前に、今の答案で回収できる点を数えることが出発点です。
②20アップを正しく測るため同じ模試を基準にする

偏差値は「(得点-平均点)×10÷標準偏差+50」で求められます。
平均点と標準偏差が同じだと仮定すると、偏差値20の差は標準偏差2個分の得点差です。
ただし、実際には模試ごとに問題も受験者も変わります。
受験者層が違えば、同じ得点でも偏差値は変わります。
東京都立三鷹中等教育学校の進路資料でも、受験する生徒の層が異なれば偏差値は別物になると説明されています。
ベネッセ教育情報も、学力の推移を見るなら、なるべく同じ模試で偏差値を比較することを勧めています。
ですから、一年間の伸びは、同じ主催・同じ科目数・同じ受験区分の模試を軸に比べましょう。
校内偏差値と全国偏差値、3教科と5教科、別会社の模試を混ぜると、本当に伸びたのか判断しにくくなります。
基準にする模試を一つ決めたら、成績表から次の数字を同じ表へ記録します。
●総合偏差値
●教科別の得点と偏差値
●平均点
●設問別の正誤や正答率
偏差値だけを記録するより、「どの教科の、どの失点が減ったか」まで追うほうが、次の勉強を決めやすくなります。
③1〜3か月目は答案診断と基礎の穴埋め
一年の計画は「1〜3か月」「4〜8か月」「9〜12か月」の3段階に分けます。
最初の3か月でやることは、難しい問題集へ進むことではありません。
まず、直近の模試を使って間違いを次の3種類に分けます。
●知識不足:用語・公式・単語を知らなかった
●解法不足:知識はあったが、使い方や手順が分からなかった
●実戦不足:時間切れ、読み違い、計算ミスで落とした

この時期は、知識不足が多い単元から教科書や学校教材へ戻ります。
広く一周して安心するのではなく、例題を見ずに説明でき、基本問題を自力で正解できるところまで仕上げてください。
1〜3か月目の合格ラインは偏差値の上昇ではなく、基礎問題の空欄と同じ間違いが減ったかです。
指導でよく見るのは、最初の数か月は偏差値がほとんど動かなくても、答案の空欄や同じ間違いが先に減っていくケースです。
ここで「自分には無理だ」と決めなくて大丈夫です。
教材を次々に替えるより、埋まり始めた基礎をもう一度自力で使えるか確かめましょう。
1週間ごとに単元を一つ決め、週末に答えを閉じて再テストしましょう。
正解したかだけでなく、なぜその解き方になるか説明できれば、次の段階へ進めます。
④4〜8か月目は標準問題を自力で再現する
基礎が埋まったら、4〜8か月目は標準問題を「分かった」から「自力で解ける」へ変えます。
解説を読んで納得しただけでは、模試の得点にはなりません。
おすすめは、次の4手順です。
1.まず時間を決めて自力で解く
2.解説を読み、止まった一手を確認する
3.解説を閉じ、白紙から解き直す
4.数日後に類題で再現できるか確かめる

正解を覚えるのではなく、問題文のどの条件から最初の一手を選んだかを言葉にしましょう。
英語や国語なら、答えの根拠が本文のどこにあるかを示します。
数学や理科なら、使った公式や考え方を選んだ理由まで確認します。
すべての教科を同じ強さで伸ばそうとすると、時間が薄く広がります。
回収できる失点が多い教科を「伸ばす教科」、安定している教科を「守る教科」に分けるとよいでしょう。
月末には、初見に近い問題を時間を測って解きます。
そこで再現できなければ、新しい教材を足す前に、同じ単元の基礎か解き直しへ戻ります。
⑤9〜12か月目は時間内に得点へ変える

最後の4か月は、身につけた力を試験時間内に出す練習へ移ります。
過去問や模試形式の問題を使い、解く順番、時間配分、見直す場所まで決めましょう。
ここで大切なのは、難問へ突撃することではありません。
基礎・標準問題を取り切れないまま難問に時間を使うと、総得点が安定しません。
本番練習では「解けなかった問題」だけでなく、「解けたはずなのに落とした問題」を最優先で回収します。
時間切れなら解く順番を変え、計算ミスなら見直す箇所を決め、知識が抜けていたら該当単元へ戻ります。
模試を受けた日は、手応えだけで反省を終えないでください。
翌日までに自己採点し、返却後は正答率と答案を見て失点を分け直します。
本番形式を解くたびに次の一週間の課題が一つ決まる状態が理想です。
なお、入試が12か月より前に来るなら、この3段階を残り期間に合わせて圧縮します。
ただし、基礎を飛ばして実戦演習だけにするのではなく、学習時間の配分を変えると考えてください。
⑥3か月ごとの途中判定で計画を直す
一年後まで結果を待つ必要はありません。
3か月ごとに、偏差値、得点、答案の中身を並べて計画を直しましょう。
計画を直すのは失敗ではなく、今の自分に合う道へ近づける作業です。
1.同じ模試の総合・教科別偏差値を見る
2.素点と平均点との差を見る
3.基礎・標準問題の正解数を見る
4.知識・解法・実戦のどこで失点したか分ける
5.次の3か月で直す教科と単元を一つに絞る

偏差値が動かなくても基礎問題の正解が増えているなら、方向は合っている可能性があります。
反対に、偏差値が一度上がっても、たまたま得意単元が多かっただけなら安心はできません。
複数回の答案で同じ変化が続いているかを見ましょう。
保護者の方は「あと何上がった?」だけでなく、「今回はどの失点が減った?」「次はどの一つを直す?」と聞いてあげてください。
数字の監視役ではなく、作戦を整理する相手になるほうが、生徒本人も結果を見せやすくなります。
一年で20に届かなかったとしても、合格に必要な得点へ近づいていれば、取り組みが無駄になったわけではありません。
逆に20上がっても、志望校の配点で必要な教科が弱ければ作戦の見直しが必要です。
一年という長さを味方にするコツは、毎月の偏差値に一喜一憂することではなく、答案を見て次の一手を変え続けることです。
まずは直近の模試を一枚出し、回収できる失点を三つに分けるところから始めてみてください!




●どの模試の、何教科の偏差値を上げるのか
●現在の得点と偏差値はいくつか
●間違いは基礎・標準・応用のどこに多いか
●志望校まで本当に20アップが必要なのか