

先生、中学の内申点って、通知表を全部足せばいいんですか?電卓は準備しました!

電卓の準備はすばらしいです!ただ、足した数字をそのまま入試に使うとは限らないんですよ。

えっ、内申点にも変身前と変身後があるんですか?

あります(笑)。通知表を単純合計した「素内申」と、地域の入試ルールで計算した点は分けて考えましょう。

なるほど。まず何を見ればいいのか、順番に教えてください!
【今回の真実】
中学内申点は、通知表の評定を高校入試のルールに沿って点数化したものです。全国共通の計算式はないため、素内申を出したあと、受験年度・地域・志望校の選抜方法まで確認しましょう。
①中学内申点とは?通知表・内申書との違い
②まずは9教科45点満点の素内申を出そう
③入試用の内申点は地域・年度・高校で変わる
④内申点の元になる評定は3観点で決まる
⑤内申点を上げる最初の3手順
⑥高校受験では内申点と当日点をセットで見る
①中学内申点とは?通知表・内申書との違い

まず結論からいきましょう!
中学内申点とは、調査書に載る各教科の評定を、高校入試のルールに沿って点数化したものです。
似た言葉が多いので、ここで一度きれいに整理します。
調査書には評定だけでなく、学校生活に関する記録も含まれます。
一方、一般に「内申点」と呼ぶ数字は、主に教科の評定を計算したものです。
つまり、通知表、調査書、内申点はつながっていますが、まったく同じものではありません。
「通知表の数字」と「志望校の選抜で使う点」を分けると、情報を読み違えにくくなりますよ。
②まずは9教科45点満点の素内申を出そう

最初に出すのは、通知表の評定をそのまま足した「素内申」です。
対象は国語・数学・英語・理科・社会の主要5教科と、音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科です。
各教科が5段階なら、一学年分の素内申は9教科を足した45点満点になります。
たとえば9教科がすべて3なら、3×9=27点です。
すべて4なら36点、すべて5なら45点ですね。
ここまでは電卓の出番です(笑)。
ただし、27点や36点という素内申だけを見て、「この高校へ行ける」「偏差値はこのくらい」とは決められません。
なぜなら、高校入試では都道府県ごとに、使う学年や教科の倍率、学力検査との比率が違うからです。
素内申は現在地を整理する数字であり、合格を単独で決める数字ではないと覚えておきましょう。
③入試用の内申点は地域・年度・高校で変わる

ここがいちばん大切なポイントです。
「内申点は中1から入るの?中3だけ?」という質問には、全国共通の答えがありません。
中1から中3まで使う地域もあれば、中3だけを使う地域もあります。
中3を重くしたり、実技教科を2倍したりする方式もあります。
たとえば令和8年度の東京都立高校入試では、5教科の学力検査を行う場合、学力検査を行う5教科の評定は1倍、行わない実技4教科は2倍にして、65点満点の換算内申を作る方式が示されています。
全日制の第一次募集では、学力検査点と調査書点の比率は原則7対3です。
一方、令和9年度の神奈川県公立高校入試では、学力検査と調査書の取扱い比率を学校・学科ごとに設定します。
同じ県内でも志望校によって内申点の重みが変わるわけです。
●受験する年度
●都道府県
●志望校の学科・コースと選抜方式
●対象学年、教科倍率、当日点との比率
ネットの計算例が間違いとは限りませんが、自分とは年度や地域が違えば使えません。
最終確認先は、受験年度の教育委員会の入試案内と志望校の募集要項です。
この4項目を確認せずに数字だけ比べるのは、100点満点のテストと50点満点のテストを比べるようなもの。
数字の大きさより、どのルールで出した数字かを見ましょう。
④内申点の元になる評定は3観点で決まる

では、通知表の1〜5は何から決まるのでしょうか。
文部科学省の資料では、中学校の学習状況を次の3観点で捉えます。
●知識・技能
●思考・判断・表現
●主体的に学習に取り組む態度
観点別の評価をもとに、各教科の学習状況を総括したものが5段階の評定です。
評定をどう決めるかは各学校が定めるため、「テストで80点なら必ず4」のような全国共通の点数表はありません。
定期テストはもちろん重要です。
しかし、記述問題、レポート、発表、実技、授業内の課題など、教科と観点に合った複数の材料が使われます。
ここで注意したいのが、「先生に気に入られれば内申が上がる」と考えることです。
目指すのは印象操作ではなく、授業で求められている学びを、評価される場面で形にすることです。
通知表を見るときは評定だけで終わらず、その横にある3観点まで見ると、次に直す場所がかなり具体的になりますよ。
⑤内申点を上げる最初の3手順

「テストも提出物も授業態度も、全部もっと頑張ろう!」では、やることが多すぎて続きません。
内申点を上げたいなら、まず一教科に絞って次の順に進めましょう。
手順1 弱い観点を一つ選ぶ
通知表の3観点と返却された答案、レポート、提出物を並べます。
そのうえで、評価が低い観点を一つ選びます。
手順2 先生に評価材料を聞く
「どうすれば成績が上がりますか?」だけでは、答える先生も困ってしまいます。
「思考・判断・表現を上げるには、次の単元でどの課題を改善すればよいですか?」のように、観点と次の機会を分けて聞きましょう。
手順3 次の評価機会に行動を合わせる
知識・技能が課題なら、基本問題を答えを閉じて解き直します。
思考・判断・表現なら、理由を書く問題やレポートの説明を見直します。
主体的に学習に取り組む態度なら、振り返りや課題を、学び直した跡が伝わる内容に変えます。
指導現場でも、伸び始める生徒さんは「全部」ではなく、次に変える一つがはっきりしています。
一教科・一観点・次の一機会まで絞ることが、動きやすく結果も振り返りやすい方法です。
⑥高校受験では内申点と当日点をセットで見る

内申点がわかったら、最後は志望校との距離を測ります。
今の数字が思ったより低くて焦っている方も、ここで「もう無理」と決めなくて大丈夫です。
このとき、内申点だけで合否を予想しないでください。
多くの公立高校入試では、調査書と学力検査の両方が選抜資料になります。
地域や学校によっては、特色検査や面接などが加わる場合もあります。
●地域の方式で計算した内申点
●同じ地域の高校受験向け模試
●志望校の過去問と最新の選抜基準
内申点が少し足りなくても、当日点の比重が大きい学校なら学力検査対策が重要です。
反対に調査書の比重が大きい学校や推薦を考えるなら、次の定期テストや評価課題を早めに確認する必要があります。
内申点は判決ではなく、受験作戦を立てるための材料です。
数字に落ち込むより、「地域の計算式を確認する」「弱い一観点を選ぶ」「当日点の目標を出す」と、次の行動に変えていきましょう。
仕組みがわかれば、内申点はただ怖い数字ではなくなります。
今の成績から変えられる所を一緒に見つけて、今日から一歩ずつ進めていきましょう!




●通知表:学校から家庭へ学習状況を伝えるもの
●調査書(内申書):中学校から受験先へ提出する公式書類
●内申点(調査書点):調査書の評定を入試用に点数化したもの