

中1の子の成績が想像より悪くて……。このまま高校まで一直線に下がるのでしょうか?

成績に下り専用エスカレーターはありません(笑)。中1なら、今の結果から原因を見つけて勉強の型を直す時間は十分ありますよ。

では、問題集を5教科分買ってきます!

ちょっと待ってください(笑)。先に3枚の資料を並べましょう。教材を増やすより、どこで止まったかを見つけるほうが先です。
【今回の真実】
中1で成績が悪くても、手遅れではありません。ただし「もっと勉強する」だけでは原因が残ります。返却答案・テスト範囲表・通知表や提出記録を重ね、最初に止まった場所を一教科だけ直しましょう。
①中1で成績が悪くても手遅れではない
②小学校と同じ勉強では届きにくい理由
③3枚の資料で悪かった原因を見抜く
④原因ごとに戻る場所を変える
⑤一教科を7日間で立て直す
⑥保護者は判定役ではなく作戦係になる
①中1で成績が悪くても手遅れではない

中1のテストや通知表を見て、「この成績ではもう遅いのでは」と不安になる保護者の方は少なくありません。
けれども、最初の結果は将来の決定通知ではなく、中学校の勉強へ切り替えられているかを教える資料です。
中1で成績が悪くても手遅れではありませんが、同じやり方を続けたまま様子を見るのはおすすめできません。
まず、「成績が悪い」の中身を分けましょう。
定期テストの点が低いのか、通知表の評定が低いのか、前回より下がったのかでは、確認する場所が違います。
点数だけを見て「頭が悪い」「努力が足りない」と本人の評価にしてしまうと、本当に直すべき場所が見えなくなります。
むしろ中1のうちに勉強のズレが見つかったなら、今後ずっと使える直し方を覚えるチャンスです。
定期テストなら、平均点、目標点、どの問題で失点したかを見ます。
通知表なら、テストだけでなく学校から示された評価方法と観点別評価も確認します。
中学校の学習評価は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で整理され、評定は教科の学習状況を総括したものです。
点数と評定をいったん分けるだけで、「何を直せばよいか」という話に変えられます。
②小学校と同じ勉強では届きにくい理由

中1で成績が下がると、「急に勉強ができなくなった」と見えます。
実際には、子どもの能力が急に変わったのではなく、学校生活とテストの仕組みが大きく変わった可能性があります。
小学校では、比較的短い範囲のテストに向けて、授業中に練習する機会も多くあります。
中学校では複数教科の広い範囲を同じ時期に準備し、部活動や委員会と両立しながら、提出物の予定まで自分で管理する場面が増えます。
「授業を聞いて宿題を出せば取れた」という小学校の成功パターンが、中学校では足りなくなることがあるのです。
英語と数学は、前に習った内容を使って次へ進む場面が多い教科です。
たとえば英語は、小学校で学んだ語に加えて、中学校3年間で1600~1800語程度の新語を扱うことが学習指導要領解説に示されています。
数学も、小学校の分数・小数・割合などが不安定なままだと、正負の数や文字式で計算が止まりやすくなります。
ですから、中1の成績低下を「やる気がない」の一言で片づけないでください。
小学校内容の穴、中学校で必要になった勉強のやり方、予定管理のどこにズレがあるかを分けて考えます。
③3枚の資料で悪かった原因を見抜く

原因探しに、特別な診断テストは必要ありません。
机に「返却答案」「テスト範囲表」「通知表」の3枚を並べます。
まだ通知表が返っていない時期なら、学校ワークや課題の提出記録で代用しましょう。
返却答案では「間違え方」を見る
答案の点数を隠して、間違えた問題へ短い印をつけます。
●習っていないように感じた
●勉強したが、自力では答えを作れなかった
●時間不足や読み違いで落とした
同じ50点でも、範囲の半分を勉強していない状態と、全範囲を勉強してミスが重なった状態では対策が違います。
範囲表では「準備の抜け」を見る
教科書、学校ワーク、プリント、漢字や単語など、指定された材料に完了日を書きます。
テスト直前に答えを写して終えた教材は、「完了」ではなく「自力確認が未了」と考えましょう。
通知表では「点数以外」を見る
観点別評価の低い場所と、学校が示した評価材料を照らします。
理由を推測で決めず、分からなければ教科担当へ「どの観点を、次のどの課題で改善できますか」と聞けば大丈夫です。
3枚を重ねる目的は犯人探しではなく、最初に止まった一か所を見つけることです。
④原因ごとに戻る場所を変える

資料を見たら、原因と行動を一対一で結びます。
全部に心当たりがあっても、最初は一番上にある原因から直しましょう。
これまで1000人以上を指導してきましたが、長く机に向かっているのに伸びない子には、解説を読む、答えを写す、ノートを整えるところで勉強が終わっている傾向があります。
これは怠けではなく、テストで必要な「何も見ずに答える練習」が抜けている状態です。
勉強時間を増やす前に、最後を必ず「閉じて解く」へ変えてみてください。
⑤一教科を7日間で立て直す

成績が悪いと、5教科を一気に救出したくなります。
しかし、やることが多すぎる計画は、予定を作っただけで疲れてしまいます。
最初の7日間は、直す原因がはっきりした一教科に絞りましょう。
●1日目:答案と範囲表から、戻る単元を一つ決める
●2日目:教科書や解説を読み、例題の考え方を説明する
●3日目:基本問題を答えを見ずに解く
●4日目:間違えた問題だけ解き直す
●5日目:何も見ず、もう一度同じ問題を解く
●6日目:似た問題で使えるか確かめる
●7日目:正解数と止まった場所を記録し、次の一単元を決める
7日後に見るのは勉強時間ではなく、「何も見ずに解ける問題が増えたか」です。
増えていれば、その方法を次の単元や教科へ広げます。
増えていなければ、努力を否定せず、戻る単元か問題の難度を変えましょう。
⑥保護者は判定役ではなく作戦係になる

悪い結果を見た直後は、保護者も不安です。
だからこそ、「どうしてこんな点なの」「スマホばかりだから」と結論を急がず、まず本人に三つだけ聞いてみてください。
●いちばん困った教科はどれだった?
●勉強しなかったのか、勉強したけれど解けなかったのか、どちらに近い?
●家で手伝ってほしいことはある?
比べる相手は友達やきょうだいではなく、昨日の本人です。
保護者が答えを決めるのではなく、資料を一緒に並べ、7日間を実行できる環境を整える役に回りましょう。
必要なのは「成績の悪い子」という判定ではなく、「次に何を試すか」という作戦です。
もし、睡眠の乱れ、強い疲れ、登校のつらさなどが続いているなら、成績対策より先に生活と心身の状態を整えます。
家庭だけで抱えず、担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど学校の相談先を頼ってください。
中1の今なら、結果を見て、方法を変えて、もう一度確かめる経験そのものが今後の強みになります。
一度の結果で、お子さんの力を決める必要はありません。
まず今日、3枚の資料を机に置くところから一緒に始めましょう!




●範囲が終わっていない
→テスト日から逆算し、学校ワークを毎日のページ数へ分ける
●答えを見れば分かるが、自力で解けない
→解説を閉じ、翌日に同じ問題をもう一度解く
●英語や数学の最初から分からない
→今の単元を押し切らず、最初に解けなくなる前の単元まで戻る
●疲れや予定の多さで続かない
→部活、帰宅、食事、睡眠を書き出し、実行できる時間帯へ置き直す