

先生、テスト前は睡眠を削って勉強したほうが、点数は上がりますよね?

その作戦、勉強時間は増えても授業中の起動時間が減るかもしれないぞ(笑)。

僕の頭、朝はアップデート中で動かないんですよ。

それは睡眠不足の可能性があるね。睡眠時間と成績の関係は単純ではないけれど、睡眠を削る勉強には落とし穴がある。順番に見ていこう!
【今回の真実】
中学生の成績は睡眠時間だけでは決まりません。ただし、睡眠不足や平日と休日の大きな生活リズムのずれは、授業中の眠気や学習効率を通して成績の土台を崩します。まず8〜10時間を参考に、起床時刻から就寝時刻を逆算しましょう。
①睡眠時間だけで成績は決まらない
②中学生は8〜10時間を参考にしよう
③成績上位ほど長く寝るとは限らない
④睡眠不足を3つのサインで点検
⑤生活リズムを整える4つの行動
⑥睡眠を削らず勉強時間を作ろう
①睡眠時間だけで成績は決まらない

最初に結論を言うと、「何時間寝れば何点上がる」という全国共通の換算表はありません。
成績には、授業の理解度、家庭学習、もともとの知識、体調など多くの要素が関わるからです。
では、睡眠は成績と無関係なのでしょうか。
それも違います。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、こどもの睡眠不足によって学業成績が低下することが報告されていると説明しています。
睡眠には心身を休めるだけでなく、学習した内容を定着しやすくする役割もあります。
夜に問題集をもう1ページ進めても、翌日の授業中に眠くて説明を聞き逃したら、収支が合いませんよね。
睡眠は成績を直接上げる裏技ではなく、授業と家庭学習の力を出し切るための土台です。
「睡眠さえ増やせば大丈夫」とも、「勉強のためなら削ってよい」とも考えないのが大切です。
②中学生は8〜10時間を参考にしよう

厚生労働省の同ガイドは、中学生・高校生について8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するよう勧めています。
これは全員にぴったり同じ時間を強制する数字ではなく、生活習慣による睡眠不足を防ぐための目安です。
必要な睡眠時間には個人差もあるため、時間だけでなく日中の状態も一緒に見ましょう。
決め方は「眠くなったら寝る」ではなく、学校がある日の起床時刻から逆算するのが簡単です。
いきなり10時間を目指して家庭の予定が崩れるなら、まずは今より30分早く寝るところからで構いません。
起床時刻を先に固定し、そこから眠る時刻を決めると、睡眠と勉強の両方を予定に入れられます。
③成績上位ほど長く寝るとは限らない

ここは検索すると少し混乱しやすいところです。
ベネッセ教育総合研究所の2021年調査では、中学生の平日の平均睡眠時間は7時間29分でした。
成績層別に丸めた数値を見ると、下位・中位・上位のいずれも平日は7.5時間で、ほとんど差がありません。
休日は、むしろ成績上位層の睡眠時間がわずかに短い結果でした。
だからといって、「睡眠を短くすると成績が上がる」と読むのは逆です。
この調査は睡眠時間と自己申告の成績を比べたもので、睡眠を削ったことが好成績の原因だと証明したものではありません。
上位層は平日・休日の起床や就寝が比較的早く、週末の生活リズムのずれも小さい傾向でした。
また、日本心理学会誌に掲載された公立中学校13校、4,392人の調査では、平日と休日の起床時刻が2時間以上ずれる生徒は38.4%でした。
その大きなずれは、日中の眠気やイライラ、学業成績の低さと関連していました。
これも「ずれだけが成績低下の原因」という証明ではありませんが、時間の長さだけでなく規則性を見る理由にはなります。
米国の中等教育段階を対象にした研究をまとめたメタ分析でも、睡眠時間と成績の相関は単純ではなく、睡眠の質との関連も小さいものでした。
大事なのは、友達の睡眠時間をまねることではなく、自分が日中に力を出せる長さとリズムを探すことです。
④睡眠不足を3つのサインで点検
「うちは7時間だから不足」「9時間だから完璧」と、数字だけで判定する必要はありません。
まず1週間、次の3点を簡単に記録してみましょう。
●布団に入った時刻と起きた時刻
●授業中や家庭学習中の眠気
●平日と休日の起床時刻の差

休日だけ大幅に遅く起きる、授業中に何度も眠くなる、朝なかなか動けない状態が続くなら、平日の睡眠が足りない可能性があります。
同時に、「机に向かっていた時間」ではなく「何も見ずに解けた問題が増えたか」も記録してください。
睡眠を30分増やして勉強時間が少し減っても、翌日の授業理解と自力で解ける量が上がるなら、その変更には意味があります。
強い眠気、朝起きられない状態、寝つけない状態などが続き、遅刻や欠席、日常生活に影響している場合は、本人の意志の問題と決めつけないでください。
養護教諭や医療機関などへ早めに相談しましょう。
睡眠の記録は反省文ではなく、翌日に力を出せる条件を探す実験です。
⑤生活リズムを整える4つの行動

では、今日から何を変えればよいのでしょうか。
全部を一度に完璧にする必要はありません。
次の4つから、最も崩れているものを一つ選んでください。
1.起床時刻を休日も大きく動かさない
平日の不足を休日の朝寝坊だけで取り返そうとすると、夜に寝つきにくくなり、月曜日がさらにつらくなることがあります。
まず起きる時刻をそろえ、朝に光を浴びましょう。
2.スマホの終了時刻を決める
「寝る直前まで」では終わりが見えません。
充電場所を布団から離し、何時に置くかを先に決めるほうが実行しやすいです。
3.朝食と日中の活動を守る
厚生労働省は、朝の光、朝食、日中の運動、夜ふかしを習慣化しないことを勧めています。
夜だけを無理に操作せず、朝と昼からリズムを作るのがコツです。
4.入浴と翌日の準備を前倒しする
宿題が終わったのに、入浴や学校の準備で就寝が遅れる生徒さんは珍しくありません。
勉強の休憩時に準備を済ませるだけでも、夜の渋滞は減らせます。
最初の1週間は、一つの行動と就寝・起床時刻だけを記録しましょう。
できなかった日は叱る材料にせず、「何が予定を押したのか」を一緒に確認すれば十分です。
⑥睡眠を削らず勉強時間を作ろう

テスト前ほどやることが増えるので、睡眠を削りたくなる気持ちはよく分かります。
しかし、削る順番は睡眠からではありません。
まず、スマホを何となく見ている時間、答えを写して終わる時間、何をやるか迷っている時間を減らしましょう。
次に、学校の授業を「説明を聞く時間」だけで終わらせず、その場で疑問に印を付けます。
帰宅後は、その印と間違えた問題から始めれば、最初から全部やり直さずに済みます。
家庭学習では、読むだけでなく、答えを閉じて自力で解けるかを確かめてください。
勉強時間の長さではなく、自力でできる問題を増やすことが成績につながります。
睡眠を守るために学習の優先順位を付けることは、さぼりではなく立派な作戦です。
「部活と宿題でどうしても8時間を確保できない」という場合は、平日の予定を紙に書き、学校の先生や塾の先生、保護者と一緒に動かせる時間を探しましょう。
オンライン家庭教師ステラでも、勉強内容だけでなく、生活に無理のない学習計画を一緒に考えています。
今夜はまず、明日の起床時刻から就寝時刻を逆算し、寝る前にやめることを一つ決めてみてください。




朝6時30分に起きるなら、8時間を確保する就寝時刻は22時30分です。
朝7時に起きるなら23時が目安になります。
布団に入ってすぐ眠れるとは限らないので、入浴や明日の準備も含めて少し早めに夜の予定を終えましょう。