

漢文の文法を勉強しようとしたら、返り点、再読文字、句法……と一気に出てきました。これは全部まとめて暗記ですか?

その覚え方だと、頭の中が漢字の満員電車になります(笑)。まず3つの層に分けましょう。

3つなら、どうにか乗り換えられそうです!

大丈夫です。語順で骨組みをつかみ、訓読で日本語の順に直し、句法で意味を決める。この順なら迷いにくくなりますよ!
【今回の真実】
漢文の文法は、用語を端から暗記するより「語順・訓読・句法」の3層で整理すると理解しやすくなります。まず文の骨組みを見て、返り点などに従って読み、最後に否定や使役などの意味を決めましょう。
①漢文の文法は3層で考えよう

「漢文の文法」と検索すると、返り点の説明も句法一覧も出てきます。
同じ言葉が指す範囲が教材によって少し違うので、ここで混乱するのは珍しいことではありません。
「自分だけ授業についていけていないのかな」と心配しなくて大丈夫ですよ。
高校の漢文学習に必要な内容は、次の3層に分けるとすっきりします。
先に語順、その次に訓読、最後に句法と進むのが基本です。
句法だけを覚えても、どの語がどの語にかかるか分からなければ訳は安定しません。
反対に、返り点どおりに読めても、反語や使役の意味を知らなければ内容を取り違えます。
文法は暗記事項の山ではなく、漢文を読むための道具箱です。
全部を同時に開けず、今使う引き出しを一つずつ選びましょう。
全部を覚えてから問題へ進むのではなく、短い文を読みながら必要な道具を増やしていけば十分です。
②語順で文の骨組みをつかむ

漢文の基本的な語順は「主語+述語+目的語」です。
日本語の「王が民を愛する」なら、漢文では「王+愛す+民」の順に並ぶイメージです。
ただし、実際の文章では主語が省かれたり、目的語が前へ出たりすることもあります。
そのため、英語のように記号だけで機械的に区切ればよいわけではありません。
最初に述語を探す
初めて見る文では、まず「どうする・どんなだ」に当たる述語を探します。
次に、誰がその動作をするのか、何に向けた動作なのかを見ます。
●どうする文か
●誰がするのか
●何を・誰にするのか
返り点を追う前に述語と相手を見つけると、読み順の理由が分かります。
漢文が苦手な生徒さんの答案を見ると、レ点の順番は合っているのに、人物関係が逆になっていることがあります。
これは返り点のミスではなく、文の骨組みを見ないまま読み始めたことが原因です。
本人は「句法をもっと暗記しなきゃ」と考えがちですが、戻る場所は句法ではなく語順なんですね。
いきなり現代語訳を作らず、「誰が何をした文か」を短く言ってから訳すと、この間違いを減らせますよ。
③訓読のきまりで日本語の順に直す

訓読とは、もともと中国の文語文である漢文を、国語の文章として読むことです。
文部科学省の学習指導要領解説では、訓読のきまりとして返り点・送り仮名・句読点などが挙げられています。
学校のテストで特に確認したいのは、次の項目です。
●返り点:レ点、一二点、上下点など
●送り仮名:漢字の後ろに添える仮名
●書き下し文:訓読した形を漢字と仮名で書いた文
●置き字:直接は読まないが、語の関係や意味を支える字
●再読文字:一つの字を二度読む字
たとえば「未見其人」の「未」は、まず「未だ」と読み、返って「見ず」と読みます。
書き下し文は「未だ其の人を見ず」です。
ここで大事なのは、返り点をパズルとして動かすだけでなく、書き下した文の意味まで確かめることです。
順番が合っていても、「未」を単なる否定の「不」と同じように扱えば、「まだ見ていない」という時間の意味が抜けてしまいます。
音読して自然な文になるか、意味が前後につながるかまで確認しましょう。
なお、訓読の細かい決まりを無制限に覚える必要はありません。
文部科学省も、教材を読むために必要な範囲で扱い、断片的な知識だけを目的にしない考え方を示しています。
④句法は意味のまとまりで整理する

句法は、決まった形と読み方・意味を結び付ける学習です。
一般には「句形」と呼ばれることもあり、教材によって分類や項目数は異なります。
まずは学校の教科書や副教材の区分に合わせ、次のまとまりを押さえましょう。
●否定・禁止・二重否定
●疑問・反語・詠嘆
●使役・受身
●比較・選択
●限定・累加
●仮定・願望・抑揚
この一覧を見て、漢字を全部覚えようとしなくて大丈夫です。
覚えるときは「形・書き下し・現代語訳・短い例文」を1組にします。
たとえば使役なら、「使A B」という形だけでなく、「AをしてBせしむ」と読み、「AにBさせる」と訳すところまで声に出します。
さらに例文で、させる人と実際に動く人へ印を付けます。
句法名を言えることより、本文の目印を指して訳の根拠を説明できることが大切です。
特に、疑問と反語、使役と受身、部分否定と全部否定は、訳だけを暗記すると混ざりやすいところです。
目印の字、語の位置、前後の文脈の順で確かめましょう。
⑤文法を得点につなげる勉強順

漢文文法は、最初から大きな一覧を一周するより、短い例文を使って段階的に確かめるほうが身に付きます。
1日1例文を4段階で使う
1.述語・主語・目的語に印を付ける
2.返り点と送り仮名を見て書き下す
3.句法の目印を囲み、現代語訳する
4.教材を閉じて、読み方と訳の根拠を説明する
長い文章を何となく読むより、短文一つを最後まで説明できる状態にするのが先です。
翌日は同じ句法を含む別の例文で試し、初見でも目印を見つけられるか確認します。
間違いを3種類に分ける
答え合わせでは、単に赤で直して終わらせません。
●読む順番で止まった→返り点・再読文字へ戻る
●順番は合うが意味が違う→句法・重要語へ戻る
●一文は訳せるが話がつながらない→主語・指示語・文脈へ戻る
「漢文が全部苦手」とまとめず、止まった層だけを直すことが最短ルートです。
漢文は、覚えるものが多く見えて、実は同じ道具を繰り返し使う科目です。
まずは今日の授業やテスト範囲から短い一文を選び、語順、訓読、句法の順に説明してみてください。
どの段階で止まるか分かれば、次に勉強することはもう決まっていますよ!
一つの文を自力で最後まで読めたら、それが次の一文へ進む立派な土台になります。




●語順:誰が、何を、どうする文かをつかむ
●訓読:返り点・送り仮名などに従って日本語として読む
●句法:否定・使役・受身・反語など、形ごとの意味を決める