

漢文にも英単語帳みたいな分厚い一冊が必要ですか? 買う前から本棚の空きを作っています!

準備が一歩早いですね(笑)。でも、漢文は学校の副教材や今の参考書にある重要語で足りる人も多いですよ。

では、買うかどうかは本棚ではなく、私の間違い方を見て決めるんですね。

その通り! 語彙で止まっているのか、句法や読み順で止まっているのかを先に見分けましょう。
【今回の真実】
漢文単語帳は全員の必需品ではありません。まず手持ち教材の重要語を使い、初見文で語彙が原因の失点を繰り返す人だけ専用教材を足すのが、遠回りしない選び方です。
①漢文単語帳は全員に必要ではない

最初に結論からお伝えすると、漢文単語帳は、漢文を勉強する高校生全員が買うものではありません。
古文では単語帳を一冊決めて進めることが多いため、漢文にも同じ形が必要だと思いやすいですよね。
ところが漢文では、学校で配られた副教材や句法参考書の中に、重要語彙がまとまっていることが少なくありません。
今ある教材で弱点を直せるなら、本を増やさない判断も立派な勉強の作戦です。
まずは手元の本の目次や索引で、「重要語」「用字」「キーワード」「語彙」といったページを探してみてください。
そこに知らない語が十分載っているなら、新しい一冊を増やす前にそのページを使えば大丈夫です。
一方で、「句法は分かるのに、語の読みや意味で本文が止まる」「模試で同じ重要語を何度も落とす」という人には、語彙をまとめて見直せる教材が役立ちます。
文部科学省の学習指導要領解説でも、古典の語句は意味や用法を理解し、文脈に即して身につけることが重視されています。
公開資料には全員共通の必修語数が示されているわけではありません。
そのため、「何語載っているか」だけでなく「自分の失点を直せるか」で選ぶのが大切です。
②買う前に3問で必要性を診断する
まず、学校の問題集や模試から、間違えた漢文を一題用意しましょう。
解説を見る前に、次の3問を自分へ投げかけます。
一つ目で止まるなら、先にレ点や一二点など訓読の基本へ戻ります。
二つ目で止まるなら、必要なのは単語帳より句法教材です。
一つ目と二つ目はできるのに三つ目で止まるなら、単語帳を足す価値があります。

指導の場で答案を一緒に見ると、「単語が分からない」と思っていたのに、実は否定の範囲や主語を取り違えていた、ということもあります。
反対に、句法は正しく取れているのに「故」「卒」「数」などの読み分けで内容が崩れるなら、語彙が弱点です。
本を選ぶ前に、直近3題の失点を「訓読・句法・語彙・文脈」に分けると、買うべき教材がかなり見えやすくなります。
③目的別に漢文単語帳を選ぶ

必要性が確認できたら、収録数の多さではなく目的で選びます。
ここでは、公式情報を確認できる教材を例に、3つの選び方を整理します。
手持ちの句法参考書で済ませたい人
まずは、学校の副教材や現在使っている句法参考書の語彙欄を使いましょう。
たとえば『漢文早覚え速答法 パーフェクト版』には「コレだけ漢字91」があり、句法と重要漢字を一冊で確認できます。
句法も語彙もこれから固める段階なら、別々の本へ手を広げないほうが管理しやすいでしょう。
古文と漢文を一冊で回したい人
尚文出版の『ダブルスタイル550』は、古文単語340語と漢文用字210字を収録し、漢文は品詞や例文中の句法も確認できる構成です。
ただし公式サイトでは学校採用品と案内されています。
気になる場合は、学校で採用されているか、個人で入手できるかを先生や販売元へ確認してください。
語の違いまで深く引きたい人
同じく尚文出版の『漢文語彙字典』は、高校段階向けの必修漢字450字を字典形式で扱い、読み・意味・用例・確認テストを備えています。
こちらも学校採用品です。
共通テスト中心で要点を素早く回したい人より、記述問題まで見据えて、同訓異字や語の使い分けを調べたい人に向くタイプです。
最初の一冊は「いちばん多い本」ではなく、毎日の問題演習と往復できる本を選びましょう。
④単語は4点セットで覚える

漢文の語彙は、漢字と現代語訳を一対一で結ぶだけでは足りません。
一つの字に複数の読みや意味があり、置かれた文脈で働きが変わるからです。
おすすめは、次の4点を一枚のカードやノートの同じ場所にまとめる方法です。
●漢字・語句
●読み
●その文での意味
●短い例文、または出てきた本文の一部
たとえば「数」を見て「数字」とだけ覚えるのではなく、本文で「しばしば」と読むなら、その読みと文中での意味を一緒に残します。
さらに、同じ字に別の読みが出たときは、新しいカードを増やすのではなく同じカードへ追記します。
文部科学省の解説にもある通り、古典の語句には中心的な意味だけでなく派生的な意味があり、文脈に即した理解が大切です。
単語だけを眺める時間より、例文を読んで意味を選ぶ時間を長くすると、初見文で使える知識になります。
⑤1週間で読解へつなぐ使い方

単語帳を最初のページからただ読み進めても、「見たことはあるけれど本文では出てこない」という状態になりがちです。
次のように、入力と読解を短い間隔で往復させましょう。
1日目は10〜15語を仕分ける
意味を隠し、すぐ答えられた語には印を付け、迷った語だけを残します。
知っている語まで同じ回数を繰り返す必要はありません。
2〜4日目は例文で再現する
漢字を見て読みと意味を言い、次に例文全体を声に出します。
答えられなかったら、その場で一回書き写して終わりにせず、少し時間を空けてもう一度隠してください。
5〜7日目は初見文へ戻す
問題集や過去問で、覚えた語を実際の文から探します。
見つからなくても問題ありません。
別の語で止まったら、それを自分の単語帳へ足せば、教材が少しずつ自分仕様になります。
完成の基準は一周したことではなく、本文の中で読みと意味を決められることです。
⑥伸びないときは戻る場所を変える

語彙を覚えたのに点数が伸びないと、「もっと多くの単語を覚えよう」と考えたくなります。
でも、その前に誤答をもう一度分けてください。
●返り点の順に読めなかった
●句法の形を見落とした
●語の意味を取り違えた
●人物関係や話の流れをつかめなかった
語彙以外の印が多いなら、単語帳を増やしても原因は解決しません。
訓読なら教科書の基本へ、句法なら例文へ、文脈なら短い読解問題へ戻りましょう。
反対に語彙の印が続くなら、今の単語帳で間違えた語だけを再テストします。
漢文単語帳は、持っているだけで安心する本ではなく、読解中に止まった場所へ戻るための本です。
まずは今日、手持ち教材の語彙ページを開き、直近の誤答を3題だけ分類してみてください。
必要な一冊を増やすか、今の一冊を使い切るか、その答えがきっと見えてきますよ。
焦って本棚を埋めなくても大丈夫です。




●返り点どおりの順番で読めるか
●使役・受身・否定・反語など、文の形を見分けられるか
●読み順と句法が分かった後も、重要な漢字の意味で止まるか