

「見」があったら受け身ですよね。見た瞬間に受け身と見抜く……これで完璧です!

その覚え方だと、「見た」のか「見られた」のかで迷子になります(笑)。一字ではなく、誰が誰に何をされたかを見ましょう。

漢字を見つけるだけでは足りないんですね。

はい。でも判断の順番は三つだけです。形を整理してから、例文で使える状態にしていきましょう!
【今回の真実】
漢文の受け身は、見・被・為A所B・於の形だけを暗記するより、「される側は誰か」を先に確かめると見分けやすくなります。目印、書き下し、現代語訳を三手順でつなげれば、主語と動作主の逆転も防げます。
①漢文の受け身は「される側」が主語
②受け身の基本形を一覧で整理
③見・被は直後の動詞とセットで読む
④為A所Bは為と所を離して見ない
⑤於と目印のない受け身は文脈で決める
⑥受け身を3手順で見分けて得点につなげる
①漢文の受け身は「される側」が主語

漢文の受け身とは、主語がほかの人や物から動作を受ける表現です。
「人が私を笑う」なら、「人」が動作をする側で「私」が受ける側ですね。
これを受け身にすると「私は人に笑われる」となり、動作を受ける「私」が主語になります。
最初に探すのは受け身の漢字ではなく、「この文では誰が何をされるのか」です。
ここが決まると、書き下し文の「る・らる」も、現代語訳の「~される」も同じ方向につながります。
逆に、見・被・為・所・於をばらばらに丸暗記すると、見つけた漢字だけで受け身と決めてしまいがちです。
まず人物や物の関係をつかみ、その後で形を確認しましょう。
②受け身の基本形を一覧で整理

高校漢文でまず押さえたい受け身の基本形は、「見+動詞」「被+動詞」「為A所B」「動詞+於A」の四つです。
| 形 | 書き下しの型 | 現代語訳の型 |
|---|---|---|
| 見+動詞 | 動詞の未然形+る・らる | ~される |
| 被+動詞 | 動詞の未然形+る・らる | ~される |
| 為A所B | AのBする所と為る | AにBされる |
| B於A | AにBせらる | AにBされる |
たとえば「見疑」なら「疑はる」、「被謗」なら「謗らる」と読みます。
「為人所笑」なら「人の笑ふ所と為る」、「治於人」なら「人に治めらる」です。
表のAは動作をする側、Bは動作を表す語だと考えてください。
ただし、教科書や参考書によって、見と被を一つにまとめたり、為だけの形や目印のない受け身を加えたりと、分類の仕方には違いがあります。
学校の定期テストでは、授業で使った教科書・句法集の表記を答案にそろえるのが安全です。
③見・被は直後の動詞とセットで読む

「見」や「被」が動詞の前に置かれ、主語がその動作を受けるなら、受け身として読みます。
見疑 → 疑はる → 疑われる
被謗 → 謗らる → 悪く言われる
書き下し文では、受け身の助動詞「る・らる」をひらがなで書きます。
どちらを使うかは、直前の動詞を未然形にした音で判断します。
「疑ふ」の未然形は「疑は」なので「疑はる」、「見る」の未然形は「見」なので「見らる」となります。
「見があるから受け身」ではなく、「見の後ろに動詞があり、主語がその動作を受ける」ところまで確認してください。
「見」は本来の動詞として「みる」と読むこともあります。
一字だけに丸を付けて終わらず、直後の語と主語の関係をセットで見るのがコツです。
④為A所Bは為と所を離して見ない
「為A所B」は、途中にAが入るため、為と所が離れます。
そのため、受け身だと気づかずに能動の文として訳してしまいやすい形です。
「為」を見つけたら、少し後ろに「所」がないかを探す習慣をつけましょう。

「為A所B」は、「AのBする所と為る」と書き下し、「AにBされる」と訳します。
為人所笑
書き下し文:人の笑ふ所と為る。
現代語訳:人に笑われる。
この形で大切なのは、Aが動作をする側だということです。
「人の笑ふ所と為る」という書き下しにつられて意味が曖昧になったら、「人に笑われる」と現代語へ直し、動作の向きを確認してください。
AがBされるのではなく、文の主語がAにBされる形だと押さえれば、主客を逆にしにくくなります。
⑤於と目印のない受け身は文脈で決める

「動詞+於A」の形では、Aが動作をする側になり、「Aに~される」と読むことがあります。
治於人
書き下し文:人に治めらる。
現代語訳:人に治められる。
ただし、「於」は受け身専用の字ではなく、場所や対象などを示す場合もあります。
於を見た瞬間に受け身と決めず、前の動詞と後ろの名詞をつなぎ、「後ろの人物から動作を受ける」と考えると文意が通るかを確かめましょう。
また、漢文には見・被・為・所・於のような目印がなくても、文脈から受け身に読む文があります。
たとえば主語が処罰される人物で、動詞が「罰する」という意味なら、「罰せらる」と読むことで人物関係が自然になる場合です。
発展的な形ほど、単語探しだけでは解けません。
主語が動作をする側か、受ける側かを前後の文脈で決めることが最後の判断材料になります。
⑥受け身を3手順で見分けて得点につなげる

ここまでを、問題を解くときの三手順にまとめます。
この順番なら、「見があったから受け身」「於があったから受け身」という早合点を防げます。
書き下し文を答える問題では「る・らる」まで書けるか、現代語訳では「誰に何をされたか」が入っているかを確認しましょう。
正解したかどうかだけでなく、形・書き下し・訳のどこで止まったかを分けると、復習する場所がはっきりします。
●形を見落としたなら、為と所を線で結ぶ
●書き下しで止まったなら、動詞の未然形と「る・らる」を声に出す
●訳で逆になったなら、主語へ向かう動作の矢印を書く
短い例文で「往復」してみよう
受け身の練習では、長い文章を何本も解く前に、短い一文を白文から訳まで往復するのがおすすめです。
たとえば「為人所笑」を見て、最初に「為と所がある」と答えます。
次に「人の笑ふ所と為る」と書き下し、最後に「人に笑われる」と訳します。
今度は現代語訳だけを見て、白文のどこが動作主で、どこが動作かを指してみてください。
形から訳へ進むだけでなく、訳から形へ戻れるかを試すと、わかったつもりを減らせます。
一度で全部できなくても心配はいりません。
形で止まったのか、読みで止まったのか、人物関係で止まったのかが分かれば、戻る場所はもう見つかっています。
文部科学省の高等学校学習指導要領解説でも、古典を読むために必要な文語のきまりや訓読のきまりについて理解を深めることが示されています。
一覧を眺めて終わるのではなく、教科書の本文で一つ見つけ、書き下しと訳まで自分で再現してみてください。
「誰が誰にされるか」を言えるようになれば、受け身の形が少し変わっても対応できます。
復習するときは、句法集の受け身ページを最初から何度も写す必要はありません。
一回目は形を見て書き下しと訳を言い、二回目は訳だけを見て元の形を思い出します。
間違えた例文には、「目印」「る・らる」「人物関係」のどこで止まったかを短く書いておきましょう。
次に開くときは、その印が付いた例文から始めれば、できている問題まで全部やり直さずに済みます。
定期テスト前なら、学校の範囲表や授業プリントから受け身を含む文だけを拾い、この往復をしてください。
句法集と教科書で送り仮名や表記が異なるところは、提出先である学校の授業表記へそろえれば大丈夫です。
受け身だけを孤立させず、本文の中で「この人物はなぜ動作を受けたのか」まで確認すると、内容説明の問題にもつながります。
最初は四つの基本形からで大丈夫です。
一つずつ、目印と動作の向きをつないでいきましょう!




●主語と動作主を探し、誰が動作を受けるか決める
●見・被・為~所・動詞+於の形を確認する
●書き下し文を作り、「~される」と訳して人物関係を照合する