

漢文の訓読って、漢字を音読みすれば終わりですか? それなら僕、漢字テストの勢いでいけそうです!

惜しい! 訓読は、中国語の語順で書かれた漢文を日本語として読むための方法です。音読み大会ではありません(笑)。

じゃあ、返り点を見て順番を変えるのが訓読?

それが大事な一部です。送り仮名や句読点も使って、最後に書き下し文へできるところまで一緒に整理しましょう!
【今回の真実】
漢文の訓読とは、中国の文語文を日本語の語順と文法で読む方法です。返り点だけを追うのではなく、送り仮名と句読点も合わせ、書き下し文を自分で作れるところまでが基礎になります。
①漢文の訓読とは、日本語として読む方法

先に結論からお伝えします。
漢文の訓読とは、もともと中国の文語文である漢文を、日本語の文章として読むことです。
文部科学省の学習指導要領解説でも、この意味で説明されています。
中国語と日本語では、言葉の並ぶ順番や、文の関係を示す方法が同じではありません。
そこで、漢字の読みを日本語に置き換え、必要な助詞や活用語尾を補い、ときには読む順番も変えます。
これが訓読です。
たとえば「読書」という二字を、ここでは「読書(どくしょ)」という熟語ではなく、漢文の短い文として考えてみましょう。
元の漢文の並びは「読む・書物」ですが、日本語では「書を読む」となります。
漢字を一字ずつ音読するのでも、最初から自然な現代語へ言い換えるのでもありません。
原文の漢字を残しながら、日本語として読める形へ組み替えるのが訓読のポイントです。
ここを押さえると、返り点を「よく分からない記号」として丸暗記しなくて済みます。
返り点は、日本語の順番へ組み替えるための案内表示なのです。
②白文・訓読文・書き下し文の違い

訓読を勉強すると、似た言葉が一気に出てきます。
記号と用語が一度に並ぶと、ちょっと身構えますよね。
ここで混ざると、その後の問題で「何を答えればいいの?」となりやすいので、役割を分けておきましょう。
「読書」を例にすると、漢字だけの「読書」が白文です。
「読」にレ点を付け、読むための仮名を補ったものが訓読文で、それを日本語の語順に直して書いた「書を読む」が書き下し文です。
訓読文は読むための案内が付いた原文、書き下し文はその案内どおりに日本語の形で書いた結果、と考えると分かりやすいです。
では、現代語訳はどこに入るのでしょうか。
「書を読む」は、古典の形を残した書き下し文です。
文章によっては、それをさらに今の自然な日本語へ直して意味を説明します。
これが現代語訳です。
つまり、書き下し文と現代語訳は同じではありません。
テストで「書き下し文にせよ」と言われたのに、意味だけを自然な日本語で書くと、内容が合っていても設問への答えにはなりません。
③訓読を支える3つの道具
学校で最初に押さえたい訓読の道具は、返り点・送り仮名・句読点です。

返り点は読む順番を示す
返り点が付いていないところは、原則として上から下へ読みます。
日本語と語順が異なるところでは、返り点に従って下の字から上の字へ返ります。
レ点はすぐ下の一字を先に読んで戻り、一・二点は離れた場所から戻るときに使います。
最初から返り点を全部探すより、上から進みながら「この字はいったん保留」と考えるほうが読みやすいですよ。
送り仮名は日本語の文法を補う
漢文には、日本語の助詞や活用語尾に当たる文字が十分にはありません。
そこで「ヲ」「ニ」「ス」「ズ」などを補い、日本語として関係が分かるようにします。
訓読文では漢字の右下に小さく付いている仮名です。
句読点は文の切れ目を示す
句点や読点があれば、文の終わりや意味のまとまりをつかみやすくなります。
返り点だけ正しく追えても、文の切れ目を間違えると意味を取り違えることがあります。
訓読は「返り点だけ」の作業ではなく、返り点で順番、送り仮名で文法、句読点で区切りを確かめる作業です。
置き字や再読文字も訓読に関わりますが、初めから全部を一度に詰め込む必要はありません。
まずこの3つで短い文を読めるようになってから、必要な決まりを足していけば大丈夫です。
④白文から書き下し文へ進む3手順

では、初めて見る短い漢文をどう読めばよいのでしょうか。
おすすめは、次の3手順です。
1.句読点を見て、文のまとまりを決める
2.返り点に従い、漢字を読む順番に並べる
3.送り仮名を補い、書き下し文として声に出す
例として、先ほどの「読書」にレ点と送り仮名が付いた訓読文を考えます。
まず一つの短い文だと確認します。
次にレ点を見て、「書」を先に、「読」を後に読むと判断します。
最後に送り仮名を合わせて、「書を読む」と声に出し、同じ形で書きます。
頭の中だけで処理せず、読む順番を指で追い、最後に書き下し文を声に出すのがコツです。
これまで多くの生徒さんを見ていても、返り点の名前は言えるのに書き下し文で止まることがあります。
これは「自分には漢文の才能がない」という話ではありません。
知識不足というより、記号を「読む動作」へ変える練習が足りていない状態です。
返り点を見たら、どの字を保留し、どこから戻るのかを口で説明してみましょう。
説明できれば、複雑な文になっても自分で順番を立て直しやすくなります。
なお、書き下し文は原則として古典文法と歴史的仮名遣いに従います。
学校の問題では、教科書や授業で習った送り仮名、表記にそろえるのが安全です。
⑤読めない原因を分ければ練習しやすい

漢文が読めないと、「句法を全部覚え直さなきゃ」と考えがちです。
でも、訓読の入口で止まっているなら、先に戻る場所はもっと手前です。
読む順番で止まる:レ点・一二点を短い文で練習する
仮名の補い方で止まる:教科書の送り仮名と書き下し文を対応させる
書けるが意味が分からない:重要語や句法、主語を確認する
翌日には忘れる:訓読文を隠し、白文からもう一度再現する
「漢文が苦手」と一まとめにせず、読む順番・送り仮名・意味のどこで止まったかを分けましょう。
練習するときは、いきなり長文へ行かなくて大丈夫です。
教科書の一文を使い、訓読文を音読したら、書き下し文を隠してもう一度読みます。
次に返り点と送り仮名も隠し、白文から再現できるか試します。
できなかったところだけ訓読文へ戻れば、全部を最初からやり直す必要はありません。
文部科学省の解説でも、訓読のきまりは断片的な知識の暗記だけを目的にせず、古典を読むために必要な範囲で扱う考え方が示されています。
ですから、細かな記号の名前をたくさん言えることより、短い白文を、訓点の助けを借りながら書き下し文へ直せることを最初の目標にしてください。
「返り点を覚えた」から「自分で読めた」へ進むと、漢文はぐっと見通しがよくなりますよ!




白文:返り点や送り仮名などが付いていない、漢字だけの原文
訓点:返り点・送り仮名・句読点など、訓読を助ける印や文字
訓読文(訓点付きの漢文):白文に訓点を施し、日本語として読めるようにした文
書き下し文:訓点に従い、日本語の語順で漢字仮名交じりに書いた文