

先生、漢文の送り仮名って、漢字の気持ちを読んで付けるんですか? 私にはまだ本音を話してくれません……。

漢字と面談する必要はありません(笑)。訓点付きの文を書き下すのか、白文に自分で訓点を付けるのかで、やることを分ければ大丈夫ですよ。

同じ「送り仮名」の問題でも、別の作業なんですね!

そうです。まず問題文に送り仮名があるかを確認しましょう。そこが分かれば、迷いはかなり減ります。
【今回の真実】
漢文の送り仮名は、勘で付けるものではありません。訓点付きの文なら示された読みを平仮名に直し、白文なら読む順・句法・活用・文脈の順に根拠を探すと判断できます。
①送り仮名は問題の種類で決め方が変わる
②訓点付き漢文は4ルールで書き下す
③白文では読む順・句法・活用から補う
④送り仮名で間違えやすい4つのポイント
⑤例文で付け方と書き下し方を確認
⑥3段階の練習で「わからない」を抜け出す
①送り仮名は問題の種類で決め方が変わる

漢文の送り仮名がわからないとき、最初に確認してほしいのは「何を答える問題なのか」です。
結論から言えば、訓点付き漢文の送り仮名は、漢字の右下に小さな片仮名で書かれ、活用語尾や「を・に・と」などを補います。
これを書き下し文にするときは、片仮名を平仮名に直し、歴史的仮名遣いのまま書きます。
大きく分けると、次の二つがあります。
訓点付きの漢文では、漢字の右下に片仮名で送り仮名が示されています。
この場合は、ゼロから送り仮名を考えるのではありません。
返り点に従って読む順番を直し、示された片仮名を平仮名にして書きます。
一方、白文には読み方の手掛かりが付いていません。
漢字の意味だけでなく、句法や前後関係を見て、日本語としてどの形で読むかを決める必要があります。
「写す問題」と「読みを組み立てる問題」を分けることが、最初の一歩です。
なお、漢字の読みそのものを示す振り仮名と、活用語尾や助詞などを補う送り仮名も別物です。
たとえば「読ム」の「ム」は送り仮名で、書き下し文では「読む」とします。
②訓点付き漢文は4ルールで書き下す

訓点付き漢文を書き下し文へ直すときは、次の4ルールを順番に確認します。
1.返り点どおりの順番へ並べる
まず、レ点・一二点などに従って読む順番を決めます。
送り仮名から先に考えると、どの字へつながる仮名なのかを見失いやすくなります。
2.片仮名の送り仮名を平仮名にする
訓点では右下に片仮名で示されますが、書き下し文では平仮名に直します。
古典の文章なので、たとえば「謂フ」は「謂ふ」のように歴史的仮名遣いのまま書きます。
3.助詞・助動詞に当たる字を平仮名にする
「不」を打消しの助動詞として読むなら「ず」、「也」を断定として読むなら「なり」のように書きます。
元の漢文に漢字であったからといって、全部を漢字のまま残すわけではありません。
4.置き字は書かない
「而」「於」「矣」など、訓読で声に出さない置き字は、書き下し文にも書きません。
再読文字は少し特殊で、一度目に読む部分を漢字で、二度目に読む部分を平仮名で書きます。
書き下し文は「片仮名を平仮名にするだけ」ではなく、語順・仮名書き・置き字まで整えて完成です。
③白文では読む順・句法・活用から補う

白文に送り仮名を付ける問題は、訓点付き文より一段難しくなります。
ここで「この漢字はいつもこの送り仮名」と暗記すると、文が変わったときに対応できません。
次の3段階で考えてみましょう。
1.誰が何をする文かをつかむ
まず主語・動作・対象を大まかに考え、日本語ならどの順番で読むかを決めます。
返り点を付ける問題なら、この段階で戻る位置も確認します。
2.句法の目印を探す
否定・使役・受身・疑問・反語などの形があれば、その句法に決まった読み方があります。
たとえば、後ろに打消しが続く動詞は未然形になるため、「読む」ではなく「読ま」の形が必要になることがあります。
3.前後につながる活用形へ直す
最後に、続く助詞・助動詞に合わせて動詞や形容詞の形を整えます。
基本形だけを思い出すのではなく、「この後ろへ何が続くか」を見るのがポイントです。
送り仮名は漢字一字だけで決めず、句法と後ろに続く語までセットで判断しましょう。
白文の訓読には複数の表し方が成り立つ場合もあります。
定期テストでは、自由に意味が通ればよいとは考えず、教科書・授業プリント・先生が示した書き下し文を基準にするのが安全です。
④送り仮名で間違えやすい4つのポイント

送り仮名のミスは、知識不足というより作業の混線から起きることが多いです。
自分がどこで間違えたかを分けてみましょう。
●返り点を処理する前に、上から順に仮名をつなげる
●訓点の片仮名を、書き下し文でも片仮名のまま書く
●動詞をいつも基本形の送り仮名にしてしまう
●現代語訳から想像して、元の訓読にない言葉を足す
特に大事なのは、書き下し文と現代語訳を混ぜないことです。
書き下し文は、漢文を日本語の語順と古典の言葉で読み直したものです。
現代語訳は、その意味を現代の自然な日本語で表したものです。
訳が同じ方向を向いていても、使う言葉や語順は同じとは限りません。
送り仮名を直す段階では、先に書き下し文を完成させ、現代語訳はその後に考えます。
また、教科書と参考書で細かな表記が違うとき、すぐにどちらかが誤りとは限りません。
学校の答案では授業で採用された表記へそろえ、不明なら先生に確認しましょう。
⑤例文で付け方と書き下し方を確認

短い例で、考える順番を確認してみます。
「我 読ムレ 書ヲ。」という訓点付きの文があるとします。
レ点があるので、「書」を読んでから「読」へ戻ります。
送り仮名をつなげると、「我、書を読む。」です。
ここでは「ム」「ヲ」を自分で発明したのではなく、訓点にある読みを平仮名へ直しています。
次に「我 不レ 読マレ 書ヲ。」なら、読む順番は「我→書→読→不」です。
「読」の後ろに打消しの「不」が続くため、「読ま」と未然形になり、「不」は助動詞として平仮名の「ず」にします。
したがって、書き下し文は「我、書を読まず。」となります。
同じ「読」でも、後ろに続く語によって「読む」と「読ま」のように送り仮名が変わります。
答え合わせでは、正解を書き写すだけではもったいありません。
「読む順番」「句法」「活用」「仮名書き」のどこが違ったかを一つだけでも言葉にすると、次の問題へ知識を持っていけます。
⑥3段階の練習で「わからない」を抜け出す

送り仮名を身につけるなら、長い文章をいきなり何題も解く必要はありません。
教科書の短文を使い、次の3段階を繰り返してみてください。
1.訓点を見て、返り点どおりに音読する
2.訓点を見ながら、書き下し文を書く
3.書き下し文を隠し、白文や漢字部分を見て読みを再現する
最初から白文だけで完璧に読もうとすると、返り点・句法・活用の全部を同時に考えることになります。
難しく感じて当然です。
まずは訓点付きの文を正確に書き下せるようにし、その後で一部を隠していきましょう。
指導していても、送り仮名で止まる生徒さんが、実は返り点の順番で迷っていたということはよくあります。
反対に、読む順番は合っているのに、未然形や連用形で崩れている場合もあります。
「漢文が全部わからない」とまとめず、止まった場所を一つに絞れば、戻る勉強も短くできます。
返り点で迷ったら読む順番へ、仮名の形で迷ったら句法と活用へ戻るのが近道です。
送り仮名は、ただの小さな文字ではありません。
その字を文の中でどう働かせるかを示す、大切な手掛かりです。
一問ごとに根拠を確認していけば、書き下し文だけでなく現代語訳も読みやすくなりますよ!




●訓点付きの漢文を書き下し文にする問題
●白文に送り仮名や返り点を付ける問題