

中学では成績が今ひとつだった子でも、高校から伸びることはありますか?

もちろんありますよ。ただし、高校の制服を着た瞬間に学力まで着替わるわけではありません(笑)。

では、入学をきっかけに勉強のやり方を着替える必要があるんですね。

その通りです。中学の順位より、高校で自分の学び方を調整できるかを見ていきましょう!
【今回の真実】
高校から成績が伸びる子は、最初から何でもできる子ではありません。目標を自分の言葉で決め、授業で止まった場所を小さく直し、結果を見てやり方を変えられる子です。高校入学は才能が突然開く瞬間ではなく、学習習慣を作り直す好機なのです。
①高校から成績が伸びる子は「自分で調整できる子」
②高校入学が伸びるきっかけになる理由
③伸びる子に共通する4つの学習習慣
④入学後の1週間で作る小さな勉強の型
⑤成績が伸びたかは3種類の数字を分けて見る
⑥保護者は管理より相談相手になる
①高校から成績が伸びる子は「自分で調整できる子」

結論からお伝えすると、高校から成績が伸びる可能性は十分にあります。
ただし、「中学では本気を出していなかったから、高校では自然に伸びるだろう」と待つだけでは変わりません。
伸びる子の中心にあるのは、勉強が得意かどうかより、結果を見て次の行動を変えられることです。
テストで失点したときに「難しかった」で終わらせず、覚えていなかったのか、解き方を選べなかったのか、時間が足りなかったのかを確かめる。
授業が分からなかったときに「数学が苦手」と大きくまとめず、どの説明から止まったかを言える。
こうした小さな調整を続けられる子は、高校からでも伸び始めます。
文部科学省の学習指導要領に関する解説でも、学習の見通しを立て、学んだことを振り返り、学習方法や自己評価を自ら調整していくことの大切さが示されています。
これは特別な才能ではなく、練習して身につけていく学び方です。
反対に、「素直な子なら必ず伸びる」「部活をやめれば伸びる」のように性格や生活の一部分だけで将来を決めることはできません。
今できていない習慣があっても、ここから一つずつ作れば大丈夫ですよ。
②高校入学が伸びるきっかけになる理由

高校入学は、教科書、先生、友人、通学時間、部活動などが一度に変わる時期です。
変化が多いぶん大変ですが、これまでの勉強の癖を見直しやすい時期でもあります。
中学では「テスト前にワークを終わらせれば何とかなった」という子も、高校では授業の進み方や課題の出され方が自分に合うとは限りません。
そこで中学と同じ方法をただ増量するのではなく、今の学校と自分に合う方法へ変えられるかが分かれ道になります。
もう一つ注意したいのが順位です。
高校では比較する集団が中学と変わるため、校内順位が上がった、下がったという事実だけでは学力の伸びを判断できません。
高校入学を「中学の成績を消すリセット」と考えるより、「勉強の仕組みを組み直すスタート」と考えましょう。
最初のテストで思うような結果が出なくても、それは高校での現在地が見えたということです。
落ち込んで終わる答案ではなく、次の作戦を作る材料にできます。
③伸びる子に共通する4つの学習習慣

高校から伸びる子に見られる行動を、後から身につけられる4つに整理します。
1.勉強する理由を自分の言葉で言える
「親に言われたから」だけでは、勉強の主語が自分になりません。
行きたい学部がある、好きな教科をもっと学びたい、次のテストで前回を超えたいなど、今の本人が納得できる理由で十分です。
2.分からない場所を小さく言える
「英語が全部無理」では、直す場所が広すぎます。
「単語は分かるけれど、この文の主語が見つからない」まで小さくできると、先生への質問も復習も具体的になります。
3.説明を聞いた後に自力で確かめる
分かりやすい解説を聞くと、できるようになった気がします。
しかし点数になるのは、解説を閉じても自分で解ける問題です。
その場で一度、翌日にもう一度と、何も見ずに再現してみましょう。
4.計画を守るより修正できる
計画どおりに進まない日は誰にでもあります。
伸びる子はそこで全部を投げず、「今日は英単語だけ」「数学は例題一問だけ」と小さくつなぎ直します。
4つすべてがそろっている必要はなく、今いちばん変えやすい一つから始めればよいのです。
1000人以上を指導してきた中でも、成績が動き始める生徒は、ある日突然長時間勉強できるようになるわけではありません。
「ここまでは分かる」「次はこれを試す」と、自分の状態を少しずつ言葉にできるようになることが多いです。
④入学後の1週間で作る小さな勉強の型

高校生活が始まったら、立派な勉強計画を作るより、授業と復習をつなぐ一つの型を作りましょう。
高校1年生の数学を対象にした授業実践では、単に振り返りを書かせるだけでなく、つまずきの種類や課題設定例を示した振り返りシートを使うことで、解法や公式の根拠を意識した記述が増え、振り返りと実際の復習のつながりも見られました。
一つの学校での実践なので全員に同じ結果を保証するものではありませんが、「振り返って終わり」ではなく「次の復習を決める」ところまで行うヒントになります。
一週間で見るのは勉強時間の長さではなく、印を付けた問題を自力で解ける状態に変えられたかです。
部活で帰宅が遅い日にもゼロにしないよう、最小単位を一問にしておくのがコツです。
慣れてきたら、教科や問題数を少しずつ増やせば十分です。
⑤成績が伸びたかは3種類の数字を分けて見る
「成績が伸びた」を確かめるときは、違う数字を一緒にしないことが大切です。
●定期テスト:学校で習った範囲をどこまで再現できたか
●通知表の評定:考査だけでなく、学校が目標や内容に照らして評価する学習状況
●模試の偏差値や判定:その模試を受けた集団の中での位置と志望校までの距離
定期テストが上がったのに模試が変わらないこともありますし、その逆もあります。
測っているものが違うので、どちらかが無意味なのではありません。

比べるなら、同じ種類の数字を同じ条件で並べ、そのうえで答案の中身まで見ましょう。
校内順位だけで一喜一憂するより、前回できなかった種類の問題が今回は自力で解けたかを確認すると、次の一手が見えます。
数字がまだ動かない時期にも、解ける問題が増えていれば成長の途中です。
⑥保護者は管理より相談相手になる

保護者の方ができるのは、毎日の勉強を細かく監視することではありません。
本人が目標を決め、試して、振り返るための相談相手になることです。
「何時間やったの?」だけでなく、「今週、自力でできるようになった問題はどれ?」と聞いてみてください。
結果が悪かったときも、先に責めるのではなく、「次に変えるなら何がよさそう?」と一緒に考えます。
文部科学省は、一人ひとりの興味や関心が異なることを前提に、自分の特徴やよい所に気づき、自己肯定感をもって学校生活を送れるよう支える重要性も示しています。
親が答えを決めるより、本人が自分の学び方を説明できる会話を増やすほうが、高校から伸びる土台になります。
中学までの成績は、高校での上限ではありません。
ただし、環境が変わるだけで自動的に伸びるわけでもありません。
まずは今日の授業で止まった一か所に印を付け、解き直し、翌日にもう一度確かめる。
その小さな一周から、高校での伸びを始めていきましょう!




●授業中:分からなくなった最初の行に印を付ける
●その日のうち:教科書や解説を見て、印の一問だけ解き直す
●翌日:何も見ずに同じ考え方を使えるか確かめる