



【今回の真実】
整数問題の良問とは、ただ難しい問題ではなく、因数分解・余り・範囲の絞り込みなどの着眼点を一つ増やせる問題です。高校入試と大学入試では必要な知識が違うため、自分の受験段階に合う問題を選び、解法を白紙から再現してこそ力になります。
①整数問題の良問は「解法が一つ増える問題」
②高校入試向けの良問は3段階で選ぶ
③大学入試向けは典型から総合問題へ進む
④最初に試したい4つの着眼点
⑤良問を力に変える3ステップ
⑥解けないときは答案の止まった場所を見る
①整数問題の良問は「解法が一つ増える問題」
「良問」と聞くと、ものすごく難しく、鮮やかな発想が必要な問題を想像するかもしれません。
しかし、受験勉強で本当に役立つ良問は、解いた後に別の問題へ持っていける考え方が残ります。
良問を選ぶ基準は、難易度ではなく「この1問で何の見方を練習できるか」です。
たとえば、式を積の形にする問題、余りで分類する問題、整数だからこそ候補を有限個に絞れる問題です。
解説を読んで「すごい解き方だった」で終わる問題より、「次に似た条件を見たら、まずこれを試そう」と言える問題を優先しましょう。
ここで注意したいのが、「整数問題 良問」という検索語には高校入試と大学入試の両方が出てくることです。
中学生が合同式や高度な数論まで追いかけたり、高校生が中学範囲の計算問題だけを続けたりすると、頑張っているのに対策がずれます。
まず自分の目的を、難関高校入試の対策か、大学入試の数学対策かに分けてください。
そのうえで、基本問題を自力で解ける段階にあるかも確認します。
②高校入試向けの良問は3段階で選ぶ
高校入試向けなら、最初から最難関校の大問へ飛び込む必要はありません。
次の3段階で、一段ずつ上げると選びやすくなります。
第1段階:式変形で候補を絞る問題
平方の差を因数分解し、積になる整数の組を調べる問題が入口です。
2019年の西大和学園高校の問題を扱った上位記事では、式を因数分解して2019の約数の組へ落とし込み、最後に問題の条件に合う整数だけを残しています。
この問題で身につけたいのは答えそのものではなく、「二乗の差を見たら積へ変える」という最初の一手です。
第2段階:範囲や規則性を使う問題
次は、因数分解だけで決まらず、不等式で値の範囲を狭めたり、並べた数の周期を見つけたりする問題です。
上位記事では、2020年の東大寺学園高校、2018年の開成高校の問題がこの段階の演習例として扱われています。
第3段階:複数の見方をつなぐ問題
仕上げは、式変形の途中で整数条件を使い、候補をすべて検討する総合問題です。
2021年の灘高校の大問3を扱った解説では、式を因数分解して積が4になる組まで絞り、各候補が元の条件を満たすか確かめています。
学校名だけで怖がらなくて大丈夫です。
難関校の名前を見るだけで、問題を開く前から負けた気分になることもありますよね。
でも大問を完答できなくても、「最初の式変形はできた」「候補を並べる所まで進めた」と、今回得る技術を一つに絞れば立派な演習になります。
③大学入試向けは典型から総合問題へ進む
大学入試向けでは、教科書の例題を解けることを出発点にします。
現行の高等学校学習指導要領解説では、数学Aの「数学と人間の活動」で、整数の約数や倍数、ユークリッドの互除法、二進法などを扱うとされています。
まずは約数・倍数、最大公約数、余りによる分類を説明できる状態にしましょう。
その後で入試問題へ進むと、解説に出てくる道具の意味が見えやすくなります。
無料で1問試したいなら、2005年の東京大学の整数問題を解説したページが候補です。
積の形、素因数分解、場合分けという基本的な着眼点を一つの問題で確認できます。
整数分野だけをまとめて演習したい人は分野別教材、数学全体を仕上げたい人は総合問題集を選ぶと、教材が増えすぎません。
河合出版の『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 整数-改訂版-』は、高2・高3を対象とし、入試問題約2000題から例題・類題・力だめし問題の計83題を選んだ分野別教材です。
整数だけを順序立てて練習したい人に向いています。
旺文社の『数学の良問問題集』改訂版は、数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・Cの入試問題307問を3段階に分け、第4章に整数の性質を収録しています。
他分野も含めた実戦演習の中で整数を鍛えたい人向けです。
どちらも、基礎事項があいまいなまま「良問」という名前だけで選ぶと重く感じます。
購入前に見本を見て、最初の段階の問題なら半分ほど方針が立つかを確認しましょう。
④最初に試したい4つの着眼点
整数問題は、使える公式を探し回るより、条件を別の形へ翻訳することが大切です。
問題を読んだら、次の4つを順番に試してください。
●積の形:二乗の差や共通因数を使って因数分解できないか
●余り:2、3、4などで割った余りごとに分類できないか
●範囲:正負や大小関係から、整数の候補を有限個にできないか
●約数・最大公約数:互いに素、倍数、割り切れるという条件を言い換えられないか
「整数だから、値と値の間に飛び石がある」という感覚を持つと、候補を絞りやすくなります。
たとえば、ある整数が1より大きく2より小さいと分かったら、候補は存在しません。
実数なら幅がある不等式でも、整数条件が付くと一気に結論が出ることがあります。
ただし、4つを全部使う必要はありません。
問題文の条件を見て一つ試し、進まなければ次へ移るためのチェックリストです。
⑤良問を力に変える3ステップ
良問は、解説を読んだ回数ではなく、自分で方針を作り直した回数で身につきます。
次の3ステップで取り組みましょう。
1.手を動かして条件を言い換える
いきなり正解の解法を当てようとせず、具体的な数を入れる、因数分解する、余りを書き出すなど、分かる所から始めます。
何も書かずに考え続けるより、自分が試した方針が紙に残るので、解説との差を見つけやすくなります。
2.解説は「最初の分岐」を探して読む
解説の計算を上から写すだけでは、次の問題でまた止まります。
自分の答案と比べて、「どの条件に注目した時点で方針が分かれたのか」を一言で書きましょう。
たとえば「二乗の差を積にする」「割り切れる条件を素因数へ直す」で十分です。
3.翌日、白紙から解き直す
解説を閉じ、式変形の理由を言葉にしながら再現します。
答えを覚えていても、途中の理由が説明できなければ、まだ自分の解法にはなっていません。
再現できたら、ノートには問題全文ではなく「使った着眼点」と「見落とした条件」を残しましょう。
似た問題に出会ったとき、短時間で振り返れます。
⑥解けないときは答案の止まった場所を見る
指導していると、解説を読んだ直後は分かったのに、翌日に白紙から始めると手が止まる生徒さんは珍しくありません。
これは数学の才能がないのではなく、「解説を理解すること」と「方針を自分で選ぶこと」が別の作業だからです。
そこで、解けなかった問題は次のどこで止まったかを確認します。
●用語や公式が分からなかった
●因数分解などの計算ができなかった
●使う知識は分かったが、最初の方針を選べなかった
●候補を出した後、条件の確認が抜けた
知識で止まったなら教科書へ戻り、方針で止まったなら着眼点だけ見て再挑戦します。
最後の確認が抜けたなら、問題文の条件へチェックを付ける習慣を作りましょう。
解けなかった理由が分かれば、「自分は整数問題が苦手」という大きすぎる悩みが、「因数分解を復習する」「余りで分ける発想を練習する」という今日できる課題に変わります。
良問をたくさん集めるより、選んだ1問から「次に使う一手」を持ち帰ることが整数問題を得意にする近道です。
まずは自分の受験段階に合う問題を1問だけ選び、積・余り・範囲・約数のどれが使えそうか、紙に書くところから始めてみてください。
解けなかった1問も、止まった場所が分かれば、次へ進むための立派な教材になりますよ!









