

先生、高三の定期テストって本気でやるべきですか?受験勉強もあるので、予定表がもう満員電車です。

全部を同じ重さで抱えたら、それは混みますね(笑)。でも「定期テストを全部捨てる」か「受験勉強を全部止める」かの二択ではないよ。

科目ごとに乗る電車を変える感じですか?

その通り。入試方式、学校の単位ルール、受験科目との重なりを確認すれば、優先順位はかなりすっきり決められます。
【今回の真実】
高三は原則として受験勉強を軸にしますが、定期テストを一律に捨てるのは危険です。入試方式・単位・科目の重なりを確認し、科目ごとにかける時間を変えましょう。
①高三の定期テストは受験勉強より優先する?
②まず入試方式で定期テストの重さを決めよう
③赤点より先に単位と学校ルールを確認しよう
④全科目を3つの箱に分けると迷わない
⑤テスト前も受験勉強の一本を止めない
⑥返却後は点数より受験に持ち帰るものを見る
①高三の定期テストは受験勉強より優先する?

先に結論を言うと、一般選抜を中心に考えている高三なら、勉強の軸は受験勉強です。
ただし、定期テストを全科目まとめて「もう関係ない」と切るのはおすすめしません。
理由は、同じ高三でも入試方式が違い、科目によって受験勉強との重なりも違うからです。
さらに、評定や単位認定、追試の扱いは自分の高校のルールに従います。
つまり、「定期テストか受験か」ではなく、次の3点を順番に確認します。
●一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜のどれを使うか
●卒業や単位認定のために、各科目で何が必要か
●その定期テスト範囲が、受験で使う内容とどれだけ重なるか
なお、高三の定期テストがいつまであるかは学校によって違います。
ネットの一般論ではなく、自校の年間行事予定と進路日程を並べて確認してください。
②まず入試方式で定期テストの重さを決めよう

定期テストの優先度を決める最初の分かれ道は、志望校の難しさではなく入試方式です。
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、一般選抜は学力検査や小論文などを主な資料とし、調査書なども組み合わせて評価する方法とされています。
(参考:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」)
ですから一般選抜では、志望校の出題科目、配点、現在の弱点に合った勉強を中心にするのが基本です。
ただし、「一般選抜なら学校の成績は完全に無関係」とまでは言えません。
大学ごとの募集要項で、選抜方法と調査書の扱いを確認しましょう。
一方、同じ要項で学校推薦型選抜は、高校長の推薦に基づき、調査書を主な資料とする入試方法とされています。
総合型選抜も評価方法は大学ごとに異なるため、出願条件に評定があるかを確認する必要があります。
推薦や総合型を少しでも候補に残すなら、「たぶん一般で受けるから」と自己判断で評定を落とさないこと。
入試方式を確定していない時期ほど、選択肢を自分で閉じない動きが大切です。
③赤点より先に単位と学校ルールを確認しよう

「赤点は何点ですか?」と聞きたくなる気持ちは分かります。
ただ、全国共通の点数を探すより、自校の単位認定の条件を確認するほうが先です。
国の基準では高校卒業に必要な修得単位数は74単位以上ですが、各高校はそれを上回る必要単位数や、修得すべき科目を定められます。
詳しくは文部科学省の高等学校学習指導要領解説に示されています。
定期テスト1回の点数だけで卒業が決まるわけではありません。
しかし、考査、提出物、出席、追試や補習などをどう単位認定へ使うかは学校によって異なります。
生徒手帳、シラバス、評価資料を見ても分からなければ、教科担当か担任へ次のように聞きましょう。
●この科目の単位認定には何が必要ですか
●今回の考査以外に、提出物や授業内課題はどう評価されますか
●基準に届かなかった場合、追試・補習・追加課題はありますか
「赤点だけ避ければよい」と点数を決め打ちせず、単位を取る条件を自校の資料で確認する。
これが受験勉強の時間まで守る、いちばん現実的な安全策です。
④全科目を3つの箱に分けると迷わない
ここから実際に、科目を「入試と重なる」「評定・出願に関わる」「卒業条件を守る」の3つに分けます。

A:入試と重なる科目
志望校の受験で使い、定期テスト範囲も入試対策につながる科目です。
ここは定期テスト対策を別仕事にせず、基礎の理解確認や弱点発見として使います。
ただし、教科書本文の丸暗記など入試本番の形式と離れた作業に時間を使いすぎないようにしましょう。
「この勉強は志望校のどの問題につながるか」を一度考えるだけでも、やる範囲を絞れます。
B:評定・出願に関わる科目
推薦や総合型の出願条件、校内選考で評定が必要になる科目です。
テストだけでなく、提出物や授業内課題も含めて評価方法を確認し、落とせない材料から仕上げます。
C:卒業条件を守る科目
入試では使わず、出願条件への影響も小さい科目です。
ここは高得点競争をするのではなく、単位認定に必要な学習と提出を確実に終えます。
大事なのは、Cを「ゼロにする科目」ではなく「学校の条件を守り、時間をかけすぎない科目」と考えることです。
指導の場でよく見るのは、全部を捨てて補習や追加課題を抱えるケースと、反対に全科目を同じ熱量で仕上げて受験勉強が止まるケースです。
どちらも本人の頑張り不足ではなく、優先順位のつけ方で損をしています。
⑤テスト前も受験勉強の一本を止めない

科目を分けたら、予定表には時間ではなく「終わる条件」を書きます。
たとえばAなら「問題集を2時間やる」ではなく、「指定範囲のうち間違えた問題を、答えを閉じて解けるようにする」。
Bなら「提出物を終え、評価対象の課題を見直す」。
Cなら「単位認定に必要な課題を出し、基準を下回りそうな範囲を解き直す」と決めます。
そして一般選抜を軸にする人は、テスト前でも受験勉強の一本を残してください。
英単語、志望校で使う数学、過去問の復習など、今止めると戻すのに時間がかかるものを一つ選びます。
1.提出期限と単位に関わるものを片づける
2.定期テストと入試が重なる範囲を進める
3.受験用に毎日続ける一本へ戻る
4.余力があれば、入試で使わない科目の上積みをする
全教科を均等に回すより、目的に合わせて濃淡をつけ、受験勉強をゼロの日にしない。
これなら定期テスト後に、また助走からやり直さずに済みます。
⑥返却後は点数より受験に持ち帰るものを見る

定期テストが終わったら、「終わった!」と答案を封印するのは少しもったいないです。
受験で使う科目だけは、間違いを次の3つに分けてください。
●知識が抜けていた
●解き方は知っていたが、自力で再現できなかった
●時間配分や読み違いで落とした
一番多かった原因から一問だけ選び、答えを閉じて解き直します。
この短い作業で、定期テストが受験勉強の弱点診断に変わります。
反対に、受験で使わない科目は、単位や提出に問題がないと確認できたら引きずらなくて大丈夫です。
次の考査までに守る条件だけメモし、受験計画へ戻りましょう。
高三の定期テストは、全部に全力を出す大会でも、全部を捨てる邪魔者でもありません。
自分の進路に合わせて役割を決めれば、学校の勉強と受験勉強はかなり整理できます。
今日やることは、志望校の募集要項、自校の評価・単位ルール、定期テストの科目一覧を机に並べることです。
そして各科目へA・B・Cの印を一つ付けてみてください。
そこまでできれば、次に勉強する一冊はもう決まりますよ。




志望大学の最新募集要項にある「出願資格」「選抜方法」「提出書類」を見ます。学校推薦型なら、それに加えて自校の校内選考基準も進路担当の先生へ確認しましょう。