

漢字は読めるのに、漢文になると読む順番まで迷子になります……。

漢文ではよくある迷子です(笑)。最初から訳そうとせず、まずは道しるべの訓点を追いましょう。

返り点を読んで、書き下して、それから意味を考えるんですね!

その順番です。漢文は一気に訳す教科ではなく、段階を踏むとちゃんと読める教科ですよ。
【今回の真実】
漢文の読みは、いきなり現代語訳を考えるのではなく、訓点で読む順番を決め、書き下し文を作り、語句・句法と文脈から意味を取る3段階で進めます。止まった段階まで戻れば、苦手の正体も見つかります。最初から全部を覚え直す必要はありません。
①「漢文」の読みと、文章を読む方法を分けよう
②第1段階は訓点から読む順番を決める
③第2段階は書き下し文にして声に出す
④語句と句法は一文の中で確かめる
⑤第3段階は主語とつながりから意味を取る
⑥読めない原因を分けて練習しよう
①「漢文」の読みと、文章を読む方法を分けよう

まず、言葉としての「漢文」の読みは「かんぶん」です。
一方、学校の国語で「漢文をどう読むの?」と聞くときは、漢字だけで書かれた中国の古典などを、日本語の語順と文法に合わせて読む方法を指すことが多いでしょう。
この読み方を「訓読」といいます。
漢字だけの原文は白文、白文に返り点や送り仮名などを付けたものは訓点付きの漢文、訓読したとおり日本語の語順で書いたものは書き下し文です。
つまり、目の前にある漢字を上から音読みしていくわけではありません。
漢文は「読む順番を決める→日本語の形にする→意味を取る」の3段階で考えると、何をすればよいかが見えます。
文部科学省の高等学校学習指導要領解説でも、訓読のきまりとして返り点・送り仮名・句読点などが挙げられ、断片的な知識だけで終わらず、読む学習につなげることが重視されています。
返り点を暗記することがゴールではない、ということですね。
②第1段階は訓点から読む順番を決める

漢文を見たら、意味を予想する前に訓点を確認します。
訓点は、返り点・送り仮名・句読点など、漢文を日本語として読む助けになる印です。
返り点がない字は、原則として上から下へ読みます。
レ点はすぐ下の字を先に読んでから一字上へ戻り、一二点は一点まで読んでから二点へ戻ります。
たとえば「読レ書」なら、下の「書」を先に読み、「読」へ戻るので「書を読む」です。
慣れないうちは漢字の横に①②と番号を書き、目ではなく指で順番を追って構いません。
ここで大切なのは、返り点の名前を言えることより、実際にどの字からどの字へ動くかを再現できることです。
「一二点は覚えたのに読めない」という人は、頭の中だけで処理しようとしていることがよくあります。
短い一文に読む順番を書き込み、番号どおりに音読する練習から始めましょう。
③第2段階は書き下し文にして声に出す

読む順番が決まったら、その順に並べただけで終わりではありません。
送り仮名や助詞・助動詞を補い、日本語として読める書き下し文にします。
書き下し文では、原文の漢字は基本的に漢字のまま残し、送り仮名や助詞・助動詞は平仮名で書きます。
訓読文で片仮名になっている送り仮名も、書き下し文では平仮名に直します。
そして、置き字は原文にあっても書き下し文には書かず、再読文字は一度目を漢字、二度目を平仮名で書くのが基本です。
書き下し文ができたら、必ず一度は声に出して、日本語としてつながるか確かめましょう。
音読すると、送り仮名の不足や、不自然な語順に気づきやすくなります。
ただし、声に出して滑らかなら必ず正解というわけではありません。
教科書や解答と照らすときは、違っていた字に丸を付けるだけでなく、「返り点」「送り仮名」「置き字」「再読文字」のどこでずれたかまで確認してください。
④語句と句法は一文の中で確かめる

書き下し文にできても意味が分からないなら、次に語句と句法を確認します。
ここで、漢文単語帳や句法一覧を最初から全部覚え直そうとする必要はありません。
目の前の一文にある分からない部分へ絞りましょう。
●語句:その漢字が文中でどんな意味になるか
●句法:否定・疑問・反語・使役・受け身など、文の意味を決める型
●助字:文の関係や語調を示す字
同じ漢字でも、いつも同じ意味や読みになるとは限りません。
句法も「反語は、いや~ないと訳す」と訳だけを覚えるより、目印・読み・意味を一文の中で結びつけたほうが使えます。
「何と読むか」と「この文でどういう意味か」をセットで確認するのが、読解へつながる覚え方です。
ノートには単語だけを書き写さず、短い書き下し文と現代語訳まで一緒に残しておくと、復習するときにも文脈が戻ってきます。
⑤第3段階は主語とつながりから意味を取る

語句と句法が分かったら、最後に現代語訳へ進みます。
このとき、書き下し文を一語ずつ現代語へ置き換えるだけでは、人物の行動や話の流れを取り違えることがあります。
漢文では、前後から分かる主語が省かれることもあるためです。
まず「誰が」「何をした」を探し、会話なら誰の発言か、指示語なら何を指すかを確かめましょう。
そのうえで、接続を表す字や前後の出来事を見て、理由・対比・結果などの関係を取ります。
●主語は誰か
●動作の相手や目的語は何か
●否定や反語の範囲はどこまでか
●前の文と、理由・対比・結果のどれでつながるか
●訳した内容が文章全体の流れに合うか
一文だけで訳を決めず、前後へ戻って意味が通るか確かめるところまでが「読む」です。
選択問題でも同じで、知っている語が入っている選択肢を選ぶのではなく、主語と出来事の関係が本文と一致しているかを見ましょう。
⑥読めない原因を分けて練習しよう

漢文が苦手な人ほど、「全部分からない」とひとまとめに考えがちです。
でも実際には、止まっている場所によって戻る勉強が違います。
●読む順番が分からない→短文で返り点を練習
●書き下し文にできない→送り仮名・置き字・再読文字を確認
●書き下せるが訳せない→語句と句法を確認
●一文は訳せるが内容を誤る→主語・指示語・文と文のつながりを確認
指導で見ていると、漢文が読めないと思っていた生徒さんでも、短文ではきちんと訓読でき、長い文章で主語を見失っていただけ、ということがあります。
その場合、返り点を最初からやり直すより、人物ごとに印を付けて行動を整理するほうが早く前へ進めます。
逆に、返り点で止まっているのに難しい句法集へ進んでも、土台が不安定なままです。
間違えた一文を「訓点・書き下し・語句と句法・文脈」のどこで止まったかに分け、必要な場所だけ戻りましょう。
漢文は、漢字だらけなので最初は難しそうに見えます。
けれど、訓点という道しるべがあり、読む順番にも決まりがあります。
まず短い一文で3段階を再現し、できたら少し長い文章へ進んでください。
「なんとなく訳を見る」勉強から、「どこまで自分で読めたかを確かめる」勉強へ変わると、漢文はぐっと取り組みやすくなりますよ!




●文を句読点で小さく区切る
●送り仮名と読み仮名を見る
●返り点のない字は上から読む
●レ点を処理する
●一二点など、大きく戻る印を処理する