

返り点の横に数字を書く問題、途中から数字が渋滞して見えます……。

数字は渋滞していませんよ(笑)。戻る場所を一つずつ処理すれば大丈夫です。

一二点なのに、二を先に見つけたら二から読みたくなるんです。

そこが最大のひっかけです。返り点の数字と、答えとして書く読む順番の数字を分けて考えましょう!
【今回の真実】
漢文の返り点問題は、文全体を一気に並べ替えようとすると混乱します。数字の役割を設問で確かめ、上から進む・いったん飛ばす・内側から戻る・全字を確認する、の4動作に分ければ解けます。迷った場所には矢印を残しましょう。
①返り点問題の数字には二つの役割がある
②レ点・一二点・上下点のルールを整理
③読む順番を数字で答える4ステップ
④数字どおりになる返り点の付け方
⑤3問で読む順番を練習しよう
⑥間違えた問題は戻り方を言葉にする
①返り点問題の数字には二つの役割がある

まず結論からいきましょう!
漢文の返り点問題で出てくる数字は、主に二つの役割に分かれます。
●返り点に従って、読む順番を①②③……と答える数字
●指定された数字の順に読めるよう、レ点や一二点を付けるための数字
似ていますが、解く向きは反対です。
前者は「返り点から数字を作る問題」、後者は「数字から返り点を作る問題」ですね。
さらに教材によっては、漢字のそばの小さな数字が「上から何文字目か」を表し、読む順番ではない場合もあります。
最初に設問を読み、数字が「読む順」なのか「元の位置」なのかを確かめることが第一歩です。
ここを確認せずに解き始めると、返り点の知識が合っていても答えがずれてしまいます。
なお、文部科学省の学習指導要領解説でも、返り点や送り仮名は漢文の訓読に必要な基礎として扱われています。
難しい句法へ進む前に、数字で読み順をたどれる状態を作っておきましょう。
②レ点・一二点・上下点のルールを整理
返り点は、漢文を日本語の語順で読むための案内です。
返り点は漢字の左下、送り仮名は右下に付くので、まず見る場所を間違えないようにしましょう。
「二点が上にあるから、二を先に読む」と考えるのは逆です。
一二点は、一点を先に読み、そのあと二点へ戻ります。
上下点も同じで、上点を先に読み、あとで下点へ戻ります。
一二点と上下点が同じ文にあるときは、戻り道が入れ子になっていると考えると整理しやすいです。

小さい戻りである一二点のまとまりを処理してから、上下点の大きな戻りを閉じます。
③読む順番を数字で答える4ステップ

では、実際の問題をどう解くか見ていきましょう。
おすすめは、次の4ステップです。
ステップ1 数字の意味と答え方を読む
「読む順番を書きなさい」なのか、「数字の順になるよう返り点を付けなさい」なのかを確認します。
置き字を数えるかどうかなど、注記があればそこも先に読みます。
ステップ2 上から進み、飛ばす字に印を付ける
返り点のない字は、基本的に上から読みます。
レ点が付く字、二点や下点が付く字は、その場では読まずに飛ばします。
鉛筆で小さな弧や矢印を書いておくと、戻る場所を見失いにくくなります。
ステップ3 内側の戻りから処理する
一レ点ならレ点を先に処理し、一二点と上下点が重なるなら内側の一二点から片づけます。
迷ったら「今開いている戻り道のうち、いちばん小さいものを先に閉じる」と考えましょう。
ステップ4 全ての字を一度ずつ読んだか確認する
最後に①から数字を指でたどります。
同じ字を二度読んでいないか、飛ばしたままの字がないかを確かめます。
ただし、置き字には読む順の数字を付けない形式もあるため、問題の指示を優先してください。
正解を見たら数字だけ直すのではなく、どの返り点で戻ったかまで説明できれば定着します。
④数字どおりになる返り点の付け方

今度は逆向きです。
漢字の横に読む順番の数字が示され、その順になるよう返り点を付ける問題を考えます。
まず、数字を①から順に線で結びましょう。
線が一字だけ上へ戻るならレ点、二字以上離れて戻るなら一二点の候補です。
一二点の戻りをまたいで、さらに大きく上へ戻るなら上下点を使います。
返り点の種類を先に決めず、数字を線で結んで「何字戻るか」「別の戻りをまたぐか」を見ます。
例えば、上から「読・漢・文」と並び、読む順が「漢①・文②・読③」なら、「読」に二点、「文」に一点を付けます。
すると「読(二点)・漢・文(一点)」となり、「漢文を読む」の順になります。
レ点と一点の働きが同じ字に必要なら一レ点です。
このときも、一レ点ではレ点の一字返りを先に行い、そのあと一二点の戻りを処理します。
数字をそのまま返り点の横へ写すのではありません。
数字はゴールの読み順、返り点はその順を実現する道案内です。
⑤3問で読む順番を練習しよう

ここからは短い問題で確認しましょう。
紙に①②③……を書いてから答えを見てください。
問題1 レ点
上から「読(レ点)・書」と並んでいます。
どちらを先に読みますか?
書①→読②です。
レ点が付いた「読」を飛ばし、すぐ下の「書」を読んでから一字上へ戻ります。
問題2 一二点
上から「読(二点)・漢・文(一点)」と並んでいます。
読む順番はどうなりますか?
漢①→文②→読③です。
「読」をいったん飛ばし、「漢」「文」と進んで一点まで読んだら、二点の「読」へ戻ります。
問題3 上下点と一二点
上から「有(下点)・朋・自(二点)・遠・方(一点)・来(上点)」と並んでいます。
読む順番を数字で示してみましょう。
朋①→遠②→方③→自④→来⑤→有⑥です。
まず一二点の内側を処理して「遠・方」から「自」へ戻り、「来」の上点まで読んでから、最後に下点の「有」へ戻ります。
問題3のポイントは、一二点の小さな戻りを終えてから、上下点の大きな戻りへ進むことです。
もし間違えても、全部を覚え直す必要はありません。
「飛ばす場所」と「戻るきっかけ」のどちらを見落としたか、一つだけ特定しましょう。
⑥間違えた問題は戻り方を言葉にする

指導していると、返り点の名前を言えるのに、複合問題になると数字がずれる生徒さんは少なくありません。
知識がないというより、頭の中だけで何本もの戻り道を処理しようとしていることが原因です。
その場合は、次の形で解き直してみましょう。
●飛ばした字に薄く印を付ける
●戻る線を弧で一本ずつ書く
●「一点まで読んだから二点へ戻る」と声に出す
●最後に①から指でたどる
答えの数字を暗記するのではなく、数字がそう並ぶ理由を一文で言える状態を目指します。
練習は、レ点だけ、一二点だけ、組み合わせの順で十分です。
最初から上下点や一レ点が重なる長い問題へ行くと、どのルールで間違えたのか分からなくなります。
返り点で止まっているだけなら、「漢文そのものが苦手」と決めつけなくて大丈夫です。
戻る動作を一種類ずつ練習すれば、ちゃんと前へ進めます。
同じ問題を見て分かった気になるより、翌日に返り点を隠し、もう一度数字を書けるか確かめるほうが実力になります。
返り点は、漢文の内容理解へ入るための入口です。
数字を落ち着いてたどれるようになれば、書き下し文や句法にも進みやすくなりますよ!




レ点:すぐ下の一字を先に読み、上の字へ戻る
一・二点:二点の字をいったん飛ばし、一点の字まで読んでから二点へ戻る
上・下点:一二点をはさむ、さらに大きな戻りに使う。上を読んだあと下へ戻る
一レ点:一点とレ点が重なった形。まずレ点の動きを処理し、その後で二点へ戻る