

「子曰く」を「こ、いわく」と読んだら、先生に静かに首を振られました。漢文の二文字、見た目以上に手ごわいです……。

惜しい!ここは「しいわく」と続けて読むんだ。「子」は子どもではなく、論語では孔子先生を指しているよ。

つまり、いきなり子どもが人生訓を語り始めたわけではないんですね。少し安心しました。

その子はだいぶ達観していそうだね(笑)。読み方だけでなく、誰の発言かまで押さえると、後ろの文章もぐっと読みやすくなるよ。
【今回の真実】
「子曰く」は「しいわく」と読み、論語では「孔子先生がおっしゃることには」という意味です。白文の「子曰」を見たら、まず話者を孔子と押さえ、その後ろを発言内容として読むと迷いにくくなります。
①「子曰く」の読み方と意味
②白文の「子曰」を書き下す3手順
③なぜ「子」が孔子を指すのか
④「いわく」と「のたまわく」はどちらが正しい?
⑤「子曰く」で始まる論語の例文3選
⑥テストで迷わない覚え方
①「子曰く」の読み方と意味

結論からいきましょう。
「子曰く」は「しいわく」と読み、「孔子先生がおっしゃることには」という意味です。
「子」を「こ」、「曰」を「ひ」と一字ずつ現代の読み方に当てはめるわけではありません。
論語の文章では、この二文字が「ここから孔子の発言が始まりますよ」という合図になります。
「曰」は「日」とよく似ていますが、別の漢字で、ここでは「言う」という意味です。
答案で書くときは、読みだけでなく字の形も一度確認しておきましょう。
②白文の「子曰」を書き下す3手順
白文で「子曰」と出てきたら、二文字をばらばらに訳そうとしなくて大丈夫です。
次の順番で処理します。
手順1 「子」を話す人として押さえる
論語の「子曰」なら、「子」は孔子先生です。
まず本文の横に小さく「孔子」と書くだけでも、主語を見失いにくくなります。
手順2 「曰」を「いわく」と読む
「曰」はここでは「曰く」と送り仮名を付けます。
白文の「子曰」は、書き下し文では「子曰く」とするのが基本です。
手順3 後ろを発言内容として読む
「子曰」の直後には、孔子が語った内容が続きます。
書き下し文では、発言部分をかぎ括弧でくくり、最後に「と」を補う形をよく見かけます。
たとえば「子曰、学而時習之」であれば、「子曰く、『学びて時に之を習ふ』と」と読む形です。

ただし、教科書によって送り仮名や表記に違いが出ることがあります。
学校のテストでは、授業で使っている教科書と先生の指示を優先してくださいね。
③なぜ「子」が孔子を指すのか

ここで多い疑問が、「孔子なら、なぜ最初から孔子と書かないの?」というものです。
漢文の「子」には、先生や立派な人物に対する敬称としての使い方があります。
論語は孔子と弟子たちの言葉を集めた書物なので、弟子たちの立場から「先生」と言えば孔子を指します。
そのため、論語で発言者として単独の「子」が出たら、まず孔子先生だと考えます。
ただし、「子」がいつでも孔子になるわけではありません。
「子貢曰く」の子貢は弟子の名前ですし、「孟子曰く」なら孟子が話しています。
大事なのは「子という字を見たら全部孔子」と丸暗記することではなく、作品名と発言者を一緒に見ることです。
●論語で「子曰」なら、孔子先生の発言
●「子貢曰」なら、弟子の子貢の発言
●「孟子曰」なら、孟子の発言
この区別ができると、会話文で「誰が誰に話しているのか」がねじれにくくなります。
④「いわく」と「のたまわく」はどちらが正しい?

資料によっては、「子曰く」を「しいわく」ではなく「しのたまわく」と読んでいることがあります。
辞書にも「曰く」と「のたまわく」の両方の読みが示されており、孔子への敬意を込めて「のたまわく」と読む説明もあります。
ですから、「のたまわく」を見つけても誤植だと決めつける必要はありません。
学校の学習では、教科書に「曰く」とあれば「しいわく」、「曰はく」と表記されていても読みは同じく「しいわく」と押さえれば大丈夫です。
古典には、送り仮名や訓読の仕方が資料によって異なる場合があります。
テスト前には一般論で迷い続けるより、授業で採用された読み方にそろえるのが確実です。
なお、現代語訳では「先生がおっしゃることには」とすると敬意が伝わり、「孔子が言った」とすると話者がはっきりします。
どちらを選ぶにしても、発言者が孔子だと分かる訳にしましょう。
⑤「子曰く」で始まる論語の例文3選

「子曰く」だけを覚えるより、後ろの言葉まで声に出すと使い方が分かります。
学習教材で確認できる形を三つ見てみましょう。
学びて時に之を習ふ
子曰く、「学びて時に之を習ふ、亦た説ばしからずや。」と。
先生がおっしゃった。「学んだことを適切な時に復習するのは、なんとうれしいことではないか。」と。
「説」はここでは「よろこばし」と読みます。
学ぶだけで終わらず、繰り返して自分のものにする喜びを語った文です。
己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ
子曰く、「己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ。」と。
先生がおっしゃった。「自分がしてほしくないことは、他人にもしてはいけない。」と。
「勿かれ」は「〜するな」という禁止です。
「自分が嫌なことを相手にもしない」と置き換えると、内容がつかみやすいですね。
故きを温めて新しきを知る
子曰く、「故きを温めて新しきを知らば、以て師と為るべし。」と。
先生がおっしゃった。「昔に学び、そこから新しい知識や考えを得られれば、人の先生となることができる。」と。
四字熟語「温故知新」につながる有名な一節です。
どの例文でも、「子曰く」で話者を決め、その後ろを孔子の教えとして読む構造は同じです。
⑥テストで迷わない覚え方

「しいわく」と十回書くだけでも読みは覚えられますが、本文問題にはもう一歩必要です。
おすすめは、次の四点を一組にすることです。
●白文は「子曰」
●書き下し文は「子曰く」
●読みは「しいわく」
●意味は「孔子先生がおっしゃることには」
まず白文を見て四点を声に出し、次に教材を閉じて同じことを言い直します。
最後に、「子曰」の後ろへ短い例文を一つつなげて読めれば仕上がりです。
完成の目安は、読み方を答えられることではなく、「誰の発言がどこから始まるか」まで説明できることです。
漢文は、一字ずつ訳そうとすると急に難しく見えます。
でも「子曰」は発言開始の合図だと分かれば、最初の二文字で立ち止まる必要はありません。
まずは「しいわく、孔子先生がおっしゃることには」と声に出し、後ろの教えへ進んでいきましょう!




白文:子曰
書き下し文:子曰く
読み:しいわく
現代語訳:先生がおっしゃることには/孔子が言うには