

数学、時間があれば解けるんです。でもテストは僕が最後のページを開く前に終わります。

テストだけ先にゴールしているね(笑)。でも「遅い」の中身が分かれば、練習する場所は絞れるよ。

計算を全部ダッシュすればいいですか?

その前に、一問のどこで時間を使っているか測ろう。急ぐ練習はそれから!
【今回の真実】
数学を解くのが遅いとき、計算だけを速くしても解決するとは限りません。一問を「読む・方針を決める・処理する」に分け、最も時間を使う区間に合った練習をすると、正確さを守りながら速度を上げられます。
①数学を解くのが遅いなら、まず急がず止まる場所を測ろう
②一問を3区間に分けると遅い原因が見える
③遅い区間ごとに練習を変えよう
④正確さを落とさず速くする4手順
⑤テスト本番は解ける順番で時間を守る
⑥速くならないときは教材の難しさを見直そう
①数学を解くのが遅いなら、まず急がず止まる場所を測ろう

「解くのが遅いから、計算問題をたくさんやろう」と考える生徒さんは多いです。
もちろん、基礎計算に時間がかかっているなら有効です。
しかし、問題文を何度も読んでいる、使う公式が決まらない、一問を見直し続けるという遅さは、計算練習だけでは直りません。
私が生徒さんの解き方を見ていると、計算している時間よりも、最初の式を書くまでの時間が長いことがあります。
本人はずっと考えているので、全部まとめて「計算が遅い」と感じてしまうんですね。
頑張りが足りないのではなく、直す場所がまだ見えていないだけというケースも多いです。
だから、最初にやることはスピード勝負ではありません。
一問を解く時間を区切り、どこで止まったかを見える形にすることが第一歩です。
これは「遅い自分」を責めるための計測ではありません。
直す場所を一つに絞り、遠回りを減らすための計測です。
また、数学の力は速さだけでは決まりません。
じっくり考えられることは長所ですし、丁寧な途中式も捨てる必要はありません。
テストという制限時間のある場面に合わせて、考える時間と進む時間を使い分けられるようにしていきましょう。
②一問を3区間に分けると遅い原因が見える
学校ワークや返却されたテストから、「答えを見れば分かるけれど、自力では少し時間がかかる問題」を一問選びます。
難問ではなく、今の自分なら正答を目指せる問題が向いています。
ストップウォッチを動かしたら、次の3つの時刻を余白へ書いてください。
①までが長ければ「読む」、①から②が長ければ「方針を決める」、②から③が長ければ「計算や答案にする」区間が主な改善場所です。

正解したかどうかも必ず一緒に記録します。
時間だけ短くなって誤答が増えたなら、速くなったのではなく、必要な確認や途中式を削りすぎた可能性があります。
文部科学省の中学校学習指導要領解説でも、見通しをもって問題を解き、その過程や結果を振り返る活動が重視されています。
計測後は「遅かった」で終わらず、どの区間で何をしていたかまで振り返るのがポイントです。
③遅い区間ごとに練習を変えよう

読む区間が長い場合
問題文へ戻る回数が多い人は、数字、単位、求めるもの、条件へ短い印を付けます。
文章題や図形なら、頭の中だけで抱えず、図・表・数直線へ移しましょう。
米国教育省系の数学の問題解決に関する研究ガイドでも、問題解決の過程を自分で点検して振り返ることと、図などの視覚的な表現を使うことが推奨されています。
きれいな図を描く必要はなく、条件を一度で拾うためのメモで十分です。
方針を決める区間が長い場合
解説を読んで分かった問題を、翌日にもう一度だけ白紙から解きます。
そのとき、答えより先に「なぜこの公式・考え方を選ぶのか」を一言で説明してください。
「二点があるから傾きを出す」「相似を使いたいから平行を探す」のように、条件と最初の一手を結びます。
解法名の暗記ではなく、問題のどの条件がその解法の合図なのかを覚えることが大切です。
処理する区間が長い場合
符号、分数、展開、方程式など、止まった計算だけを教科書の例題レベルへ戻します。
同じ種類を短く続け、正答できるようになってから時間を測ります。
文字を雑に小さくする必要はありません。
式を縦にそろえる、分数線をはっきり書く、図の横に必要な長さを書くほうが、やり直しを減らせます。
④正確さを落とさず速くする4手順

ここからは、正確さを守りながら速くする練習を4手順で進めます。
①正答を狙える同じ種類の問題を3問選ぶ
②3つの時刻と正誤を記録する
③最も長い区間に合う練習をする
④翌日に似た問題で、時刻と正誤を比べる
1回目と2回目は、同じ難しさの問題で比べます。
いきなり難しい問題へ変えると、練習の効果なのか難度の差なのか分からなくなってしまいます。
記録は「全体で何分」だけでも構いませんが、最初のうちは3区間に分けたほうが改善点をつかみやすいです。
慣れてきたら、毎問ではなく単元の最初の数問だけ測れば十分でしょう。
前回より速いかだけでなく、正答のまま速くなったかを確認してください。
誤答が増えたら、途中式を一段戻す、時間設定を緩める、問題を易しくするのどれかを選びます。
タイマーは友達と順位を競う道具ではなく、昨日の自分と比べる道具です。
焦りが強くなる人は、制限時間内に終える方式ではなく、まず「普通に解くと何分か」を測るだけで大丈夫です。
⑤テスト本番は解ける順番で時間を守る

普段の練習で速くなっても、一問に粘り続ければ最後まで届きません。
テストが始まったら、最初から問題番号順に完答しようとせず、短時間で方針が立つ問題から答案を作ります。
一度読んでも最初の式が出ない問題には印を付け、次へ進みます。
戻ったときは、分かっている条件や使えそうな公式を余白へ書くと、思考を再開しやすくなります。
●すぐ方針が立つ問題を解く
●方針はあるが計算が長い問題へ戻る
●方針が立たない問題を最後に考える
●空欄、単位、符号、解答欄のずれを見直す
「全部に同じ時間を使う」のではなく、「取れる問題へ先に時間を使う」ことが得点を守る基本です。
大問ごとの目安時間は、試験の問題数や自分の得意不得意で変わります。
誰かの配分をそのまま借りるより、過去のテストで自分が各大問に使った時間を測り、次回の上限を決めるほうが現実的です。
⑥速くならないときは教材の難しさを見直そう

時間を測っても速くならず、最初の式も出ない問題が続くなら、速度より理解を先に直す段階かもしれません。
この状態でタイマーだけ厳しくすると、「分からないのに急ぐ」という苦しい練習になります。
教科書の例題へ戻り、解説を読んだあとに閉じて、最初から自力で再現できるか確かめましょう。
そこで止まるなら、前の単元の公式や計算へもう一段戻ります。
反対に、時間をかければ正答でき、3区間の一つだけが長いなら、今回の区間別練習が合っています。
「理解不足」と「解けるけれど遅い」を分けると、戻る勉強と速める勉強を混ぜずに済みます。
数学を速く解くとは、手を慌てて動かすことではありません。
条件を一度で拾い、使う考え方を選び、ミスを増やさない形で答案にすることです。
まずは今日、一問だけ3つの時刻を記録してみてください。
遅さの正体が見えれば、「もっと急がなきゃ」という焦りは「ここを練習しよう」という作戦に変わります。
一問ずつ、落ち着いて速くしていきましょう!




①問題文を読み終えた時刻
②最初の式・図・方針を書いた時刻
③答えまで出た時刻