

宿題って、やる意味ありますか?答えを写して出しても、先生の机へ紙が一枚増えるだけな気がします。

先生の机を育てる活動ではないよ(笑)。本来は、授業で習ったことを自分だけで使えるか確かめるためにやるんだ。

じゃあ、全部正解することより「一人でできなかった場所」を見つけるほうが大事?

その通り!宿題は、できない自分を怒られるためではなく、次に直す場所を見つけるためのものなんだ。
【今回の真実】
宿題をやる一番大きな意味は、授業で分かったつもりの内容を、自力で再現できるか確かめることです。終わらせるだけではなく、止まった場所を残して解き直せば、宿題は提出作業から学力を伸ばす材料に変わります。
①宿題をやる意味は「自力でできるか」の確認
②宿題には3つの役割がある
③こんなやり方では意味が薄くなる
④提出作業を学力に変える3つの見直し
⑤量や難しさが合わないときの対処法
⑥宿題は次の勉強を決めるために使おう
①宿題をやる意味は「自力でできるか」の確認

「授業で聞いたときは分かったのに、家で一人になると解けない」ことってありますよね。
これは珍しいことではありません。
先生の説明を聞いて納得することと、何も見ずに自分で答えを作ることは別だからです。
宿題は、その二つの間にある隙間を見つける時間です。
つまり、宿題をやる一番大きな意味は、授業の内容を自力で再現できるか確かめることです。
間違いがあったら、その宿題は失敗なのでしょうか。
いいえ、むしろ直す場所を見つけられたので、勉強としては前に進んでいます。
反対に、答えを見ながら全部の空欄を埋めても、自力でできるかは確認できません。
提出物としては完成していても、学習としては途中なのです。
②宿題には3つの役割がある

宿題は内容によって目的が違いますが、学校の勉強では主に次の3つに整理できます。
1.授業で習った知識や解き方を定着させる
漢字、英単語、計算、文法などは、一度説明を聞いただけで自由に使えるとは限りません。
自分の手で思い出したり解いたりすることで、授業の内容を使う練習ができます。
2.分かっていない場所を見つける
宿題を一人で解くと、「用語を覚えていない」「最初の式が立てられない」「問題文の意味を取り違えた」など、止まった理由が見えてきます。
間違いは点数を下げる敵ではなく、次に何を教わればよいかを知らせる情報です。
3.次の授業やテストの準備をする
予習の宿題なら、知らない言葉や理解しにくい部分を先に見つけられます。
復習の宿題なら、次の内容へ進む前に土台の穴を直せます。
英国の教育研究機関Education Endowment Foundationの研究整理でも、宿題は平均すると学習にプラスの影響がある一方、授業内容とつながっていること、目的が明確であること、適切なフィードバックがあることが大切だとされています。
ただし、同機関は根拠の確かさを低いと評価しており、「宿題なら何でも多いほどよい」という話ではありません。
③こんなやり方では意味が薄くなる

宿題そのものに意味がないのではなく、やり方によって意味が薄くなることがあります。
●最初から答えや解説を写し、丸だけをそろえる
●分からない問題を空欄のままにして、理由を確認しない
●丸付けをして終わり、間違えた問題をもう一度解かない
●テレビや動画を見ながら進め、考えた場所が分からなくなる
これらに共通するのは、「終わらせること」が目的になり、自力でできるかを確かめていないことです。
提出期限を守ることは大切です。
ただし、期限を守ることと、内容を身につけることは同じではありません。
「早く終わったから賢い」「時間がかかったからダメ」とも限りません。
短時間でも答えを写しただけなら弱点は残りますし、時間がかかっても止まった理由を直せたなら、その時間には意味があります。
答えを見ること自体は悪くありません。
大事なのは、解説を読んだあとに閉じて、もう一度自分でできるか確かめることです。
④提出作業を学力に変える3つの見直し

宿題のやり方を大きく変える必要はありません。
いつもの宿題に、次の3つを足してみてください。
●最初の一回は、教科書や答えを閉じて解く
●止まった問題に印を付け、止まった理由を一言書く
●解説を読んだあと、翌日に一問だけ何も見ずに解き直す
最初は何も見ずに解く
まずは自力で試さないと、今の力と助けが必要な場所を分けられません。
分からなければ、長時間にらみ続けなくても大丈夫です。
問題番号に三角を付けてから教科書や解説を開けば、「助けが必要だった問題」として記録が残ります。
止まった理由を一言にする
「分からない」だけでは、次に何をすればよいか決まりません。
「公式を忘れた」「単語の意味が不明」「途中式の次が出ない」「時間が足りなかった」のように書いてみましょう。
先生へ質問するときも、ずっと具体的になります。
これまで多くの生徒を見てきましたが、「宿題はやったのに点が伸びない」というときは、丸付けのあとに何を直すか決まっていないことがよくあります。
反対に、止まった問題へ印を残せるようになると、次の授業で直す場所がすぐに決まり、同じ宿題でも使い方が変わってきます。
翌日に一問だけ再テストする
解説を読んだ直後は、分かった気持ちになりやすいものです。
そこで翌日、答えを閉じて同じ問題か似た問題を一問だけ解きます。
できたら、その問題は「教えてもらえば分かる」から「自分でできる」に変わっています。
できなければ、もう一度教わる場所がはっきりします。
宿題の価値は、丸の数より、できなかった一問を自力でできる一問へ変えたかで決まります。
⑤量や難しさが合わないときの対処法

「意味は分かったけれど、量が多すぎて終わらない」「習っていないように感じるほど難しい」という場合もありますよね。
そんなときに、黙って答えを写すか、全部放置するかの二択にしなくて大丈夫です。
まず、どこまで自力でできたかを残します。
次に、止まった問題へ印を付けます。
そして先生に、次のように具体的に相談しましょう。
●この問題までは自力でできた
●ここからは何を使うか分からなかった
●何分取り組んだが終わらなかった
●先に直すべき問題を教えてほしい
「やりたくない」だけで終わらせず、できない理由を見える形にすると、先生も調整や説明をしやすくなります。
保護者の方も、最初から「宿題はやったの?」と詰めるより、「どこまでは一人でできた?」「先生に聞く問題はどれ?」と聞くほうが、子どもの学習状況をつかみやすいでしょう。
体調が悪い日や睡眠時間を削らないと終わらない状態が続くなら、本人の根性だけの問題にせず、学校へ量や難しさを相談してください。
宿題は学ぶための手段であって、生活を壊すためのものではありません。
⑥宿題は次の勉強を決めるために使おう

宿題をやる意味は、提出欄に丸をもらうことだけではありません。
授業の内容を一人で使えるか確かめ、できない場所を見つけ、次の授業やテストへつなげることに意味があります。
ですから、宿題で間違えても落ち込まなくて大丈夫です。
今のうちに見つけられた弱点なら、テストまでに直せます。
今日の宿題では、全部を完璧に変えようとしなくてもかまいません。
まず一問だけ、答えを見ずに解き直してみてください。
宿題は「やらされる紙」ではなく、明日どこを勉強するか決めるための地図として使えます。
一問を自力でできるようにするところから、ちゃんと勉強は前へ進みますよ!




全部埋まったかではなく、何も見ずにどこまでできたかを見る。分からなかった問題は、次に直す場所が見つかった印です。